理科室の悪魔
第一部
二十三
目隠しの布袋が外されたことで、目の前に並ぶお面を被った男子等の視線を直接に感じて余計に辱められる結果になってしまった。眦には薄っすらと涙まで浮んできていた。それでも美津子の気丈な性格が泣きじゃくってしまうことを許さなかった。惨めな気持ちを必死で抑えつけながらお面で表情は窺うことの出来ない男達をただ睨みつけるのだった。
「ねえ、貴方たち。何時まで私をこんな格好にしておくつもり? 貴方達の目的は私が小川真弓を助けたことへの復讐なのでしょ? だったらもう充分にその目的は果たしたのじゃない? 今縄を解いてくれたらこれまでのことは無かった事にしてあげるっ。だから縄を解いてっ。」
美津子の言葉は屈辱に満ちたものだった。しかし今この災難から逃れるにはそういう提案をするしかないのだと思ったのだ。
お面を被った男達は美津子が磔にされている場所から少し離れて囁くような声でひそひそと何やら相談していた。そのうち、男たちのうちの一人が美津子に近づいてきた。
「ほ、解いてくれるのね・・・。」
しかし美津子の期待は甘かった。男はポケットからあらかじめ用意して来たらしい黒い帯を取り出した。そしてそれを美津子の目に当てて頭の後ろで縛り、再び美津子に目隠しをしたのだ。
「な、何っ? まだ何かするつもりなの・・・?」
今度は二人掛かりで美津子を磔にしていた縄を手首からは解かずに括り付けていた手製の磔台の方から縄を緩め始めたのだ。何をされているのか分からない美津子はただ男たちのすることを待っているしかなかった。やがて磔台の方から縄は外れたらしく美津子は肩を押されて教室の床に正座させられる。手首に結わえ付けられた縄の端はしっかりと男たちの手に握られているようだった。その二本の縄が美津子の背中で合わせられ、今度は後ろ手に縛り直されるのだった。
「何してるの? 縄を解いてくれるんじゃなかったの?」
そう美津子が叫んだ時にはすでに美津子の両手首は背中で繋ぎ合わされてしまっていてその残りの縄も美津子の胸元を締め付けるようにぐるぐる巻きにされたのだった。
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