理科室の悪魔
第一部
十四
(えっ、これって・・・?)
「しっかり握るのだ。そしてその変化を自分でよおく感じ取るのだ。先生がいいと言うまで手を離してはいけないよ。」
(変化・・・?)
何を言っているのか分からないで美津子が戸惑っているうちに、手の中のモノはどんどんその硬さを増していた。そればかりかただ柔らかだったものが次第に硬直してくるのがはっきりと感じられた。
(も、もしかして・・・。)
しかし先生から勝手に手を離すことを禁じられた美津子は手の中のそのモノが次第に反り返って硬く大きくなっていくのを初めて人体模型に取り付けられた男性のあの局部を想像しながら握り続けるしかないのだった。
「折角の滅多に経験出来ない機会だ。君の唇でも感触を確かめてみなさい。」
「えっ? く、唇で・・・?」
「そうだ。両手で握ったまま、自分の唇に近づけてそれを当ててみるのだよ。」
(そんな事、出来ません)と自分では言いたいのに、それで秘密を守って貰えるのならという気持ちの方がまさっていた。震える両手で手の中のその硬いモノを引き寄せようとするとそのモノ自身が美津子の顔面に近づいてくるようだった。
突然、そのモノの先端が美津子の唇に触れた。それはそれを握りしめている両手が感じているより更に熱く感じられた。
「口を開いて咥えてみなさいっ。」
それは将に催眠術師が被験者に命じたかのように拒むことの出来ない命令のように感じられた。
「は、はいっ・・・。」
美津子は言われるがまま薄く唇を開く。するとその薄く開けた唇をこじ開けるかのように肉棒が奥に突き立てられた。
「うぐっ・・・、あふ、あふあふっ・・・。」
最初は苦しく感じられたものが、次第に鼻で息をすることに気づいて少し楽になってきた。それでも涎を垂らしてしまいそうで不安で仕方なかった。
果てしない時間が続いたように美津子には思われたが、それは一瞬の出来事だったのかもしれなかった。
「もういいよ。」
そういう理科教師の声がして口から肉の塊が引き抜かれると同時に両手からもそのモノが引き離される。と同時に冷たい硬い塊が、形だけはそれまでのモノと似たような形のものが手に握らされたのだった。
「目隠しはもう取っていいよ。」
理科教師の声に漸く美津子は両手に握らされたものを片手に持ち替えて眼を蔽っていた布を解いたのだった。目隠しが取れると、自分が握らされていたモノが自分が壊したとされる人体模型のあの部分だと気づかされた。
「せ、先生っ・・・。これは・・・?」
「ああ、それだったらそこに置いてゆきなさい。理科教材研究費で修理を依頼しておくから。ただこのことはここだけの秘密だよ。いいね、わかるよね?」
「は、はいっ。わかりました。お願いします。」
美津子は冷たく硬いプラスチック製のその部品を理科準備室の机の上に置くと、唇の端から流れ出そうになっていた涎を手で拭いながら理科準備室を走り出たのだった。
走り去っていく女生徒の後ろ姿を見守りながら、理科教師、須藤は密かにほくそ笑む。
(賢そうにしているが、所詮は小娘に過ぎないのだな。男性器の模型が取りつかないようにしていた細工には気づかなかったようだ。本当に自分が壊したのだと思い込んだようだから、自分から今日の事を持ち出すことはないだろうな。本当はあの娘に男性の生理である射精までも実体験させたかったのだが、あまり欲張らないでおくことにしようか。)
そんな事を考えながらペニス型の部品が人体模型にうまく嵌まり込まないように詰め物をしていたものを取り出すと、理科教師は人体模型を元の位置に戻しておくのだった。
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