理科室の悪魔
第一部
二十七
ふと我に返った美津子は嘗て自分が通っていた小学校で起きた忌まわしい出来事を思い出していた自分に気づく。それは長く自分の記憶の奥底に封じ込めていたものに違いなかった。
(あの三階の奥の教室だった筈・・・。あそこで何かに自分は磔にされて下半身丸裸にされたのだ。そしてあの屋上・・・。あそこに閉じ込められたのだったわ。もしあの時、樫山クンが駆けつけてくれなかったら、どうなっていただろう・・・。)
新校舎はあの後すぐに完成して美津子たちは新しい教室に移ることになった。樫山とは最終学年を最後まであの校舎の三階で学級委員と副委員を一緒に務めたのだった。しかしあの事件以降、二人の仲は進展することもなく淡々と続いただけだった。そして中学までは一緒の学校だったがもう同じクラスにはなることはなく、高校以降は別々の学校に進学して何時の間にか音信不通になっていったのだった。
(そう言えば、あの理科の先生はどうしたのだっけ・・・。)
はっきりとした記憶ではなかったが、あの事件のすぐ後に田舎の学校に転勤になって移っていったのだったようだ。当時、それは転勤ではなく何かの問題でクビになったのだという噂も立っていた。何か女子生徒のいけない写真を所持していたことが発覚したのだと一部では言われていた。
(それに、あの時見た理科準備室の不思議な人体模型・・・。)
美津子はあの事件の後、何度か理科準備室にも出入りしてみたのだが、股間に男性器を付けた状態での模型はあの時の理科教師が辞めた後には二度と目にすることが無かったのだけは思い出したのだった。
第一部 完
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