理科室の悪魔
第一部
十二
以前のように布で隠されては居らず剥き出しの状態の人体模型の股間はつるっとした肌だけでペニスも睾丸も生殖器と呼べるような器官はいっさい付いていなかったのだった。
(えっ? そんな筈は・・・。)
改めて近くに寄って人体模型の股間部分に手を触れてみる。模型の股間部分は全体としてはつるっとして何も無いのだが、中央部分に何かを嵌め込めるような孔のようなものが付いているのが分かった。
(もしかしたら、ここに差し込まれていたのかしら・・・?)
美津子は腰を屈めてその孔部分を下の方から覗き上げようとしてみる。その時だった。
「何か捜し物かね?」
突然背後から掛けられた声に、美津子の心臓は止まりそうになる。
「えっ? あ、あの・・・。」
振り向いた美津子の眼に映ったのは逆光ですぐには誰か見定められなかったものの、それはこの理科準備室の主である理科教師の須藤に間違いなかった。
「あ、あの・・・。えーっと、こ、この前、ここに実験器材を片付けに来た時に落とし物をしたらしくて・・・。」
咄嗟のことで上手い言い訳がすぐには浮かんでこなかった。落とし物と思わず言ってしまったのだが、それが何であると言うつもりかは浮かんでこなかった。
「ふうん。君が落としたっていうのはこれのことじゃないのかい?」
美津子は須藤先生が背後に隠し持っていたらしいものを手のひらに乗せて美津子の前に差し出したのを見て、美津子は再び心臓が止まりそうになり顔が蒼くなる。
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