妄想小説
プール監視員
その5
やっとの思いで、両手を縛っていたロープを解いた美沙子だったが、身に着けるものは白いソックスと靴の他は何ひとつ無い真っ裸の状態だった。あたりに誰もいないことを確かめると、個室の戸をそっと開け、隣の個室を調べてみた。
そこには先ほど、命令されるままに自分の着ていた服も下着も入れたバッグが置かれていた。が、中には美沙子の服は残されてはおらず、赤い布切れが一枚入っているきりのようだった。美沙子がその布切れを出して広げてみると、それは超ミニのワンピースなのだった。更にバッグの奥には紙切れのメッセージが残されていた。
(服は返してやらない。そのワンピースを着て帰れ。これからはそのワンピースを着てプールには来ること。言いつけを守らなければ写真をどんどん貼り出すぞ。)
美沙子は仕方なくそのワンピースを個室の中で身に着けてみた。それは恐ろしく短い丈で、脚の長い美沙子の腿は殆ど露出してしまうものだった。ヒザ上40センチは悠にありちょっと屈んでしまえば、股間は丸見えになってしまいそうだった。それに、身体にぴったりフィットするように出来ていて、バストとお尻の線を露骨に剥き出しにしていた。
しかし、今の美沙子にはその頼りない小さな布切れの服を着て出るしか無かったのである。それもノーパン、ノーブラであった。
美沙子は夕刻時の人の少なくなった頃を見計らって、男子トイレから超ミニの姿で飛び出し、こそこそと監視員控室に向かった。幸い、監視員は全員出払っていたので、自分のロッカーから水着を取ると、素早く控室を出て、身体を小水臭さから清める為に、シャワールームへ向かったのだった。
パンティもブラジャーも奪われ、膝上40センチの超ミニのスカートの下はノーパンのまま帰されたあの日は、さすがに自転車で帰るという訳にはいかなかった。サドルをまたげば、スカートは更にずり上がり、股間は丸出しになる。しかも、ハンドルを両手で持てば手で隠す訳にもいかない。
仕方なくバスで帰ることにした。が、その時間帯のバスは通勤客で相当混んでいるのは美沙子もよく知っていた。
案の定、バスは寿司詰めの状態だ。そして怖れていたとおり、痴漢等の格好の餌食になった。バスが揺れる度に、身体の線が剥き出しのお尻のあたりをいい様に触られた。その度にスカートがずり上げられないように、必死でスカートの裾を下に引っ張っていなければならなかった。
家に入るときも、着てきた服でないし、飛んでもない格好であるのを見られる訳にいかず、こっそりと誰も見ていないところを見計らって、自分の部屋へ直行しなければならなかった。
どうにか誰にも見つからずに部屋には戻れた美沙子は、恨めしい超ミニのワンピースを脱ぎ捨てた。そのままゴミにして捨ててしまいたかったが、あの命令は、次にプールへ行く時もその服を着て行くことをきつく命じていたのだった。
美沙子は万一親に見つかるといけないので、その服をクロゼットの一番奥に他の上着の中に畳み込むようにしてしまいこんでおいた。
そして次の日、その仕舞い込んだミニのワンピースを出して着ていかねばならないのだった。よっぽど監視員のアルバイトを休んでしまおうかと思った。が、そんなことをしても家まできっと脅迫の手紙がやってくるだけだ。家にまで、あんな写真が送り付けられてきてはたまらないと美沙子は思ったのだ。
さすがに、ミニのワンピースだけの格好で家を出る訳にはいかないので、いつもの白のセミロングドレスを着て、ミニは袋に入れて家を出た。
駅のトイレで着替えると着てきた服のほうを袋に入れ、バスで公営プールに向かった。
行きのバスは幸いなことに今度はガラガラに空いていた。後ろのほうの席に腰を下ろした。真ん中あたりに座っていた中年の男の視線が何となく感じられ、下を向いてハッとなた。シートに座った為に短いスカートが更に上にずり上がってパンティが丸見えになっているのに気付かなかったのだ。慌てて袋を膝の上に載せて剥き出しの腿を隠した。
今更ながらに、ミニを穿き慣れていない自分のうかつさを思い知った。里美はいつもこんな短いスカートを穿いているが、パンティが覗いてしまったというようなことは一度もなかったのを思いだしていた。
それにしても、美沙子の超ミニは男達の視線を集めた。バスを降りる時も、降りてからプールに走っていく間も、覗かれっぱなしだった。美沙子はそんなはしたない姿を晒していたくなかったので、監視員控室に急いで、早めに監視員の制服の水着に着替えてしまおうと思った。
その美沙子を入り口のすぐ前にある売店のおばさんが呼び止めた。
「ちょっと、ちょっとっ . . . あなた。監視員の早坂さんじゃない。. . . そうね。確か真っ赤なミニスカートを穿いているって言ってたから。そうじゃないかと思ったのよ。」
「えっ、誰がミニを穿いているって言ったんですか。」
美沙子がいぶかし気に思いながら尋ねると、おばさんはエプロンのポケットから手紙を出して手渡しながら言った。
「これ渡してくれって言った人よ。」
美沙子はどきんとしながら尋ねた。
「そ、そのひと。どんな人でした。」
「そうねえ、ふつうの若いひとでしたよ。そう、サングラスしてたから顔はよく分からなかったけれど。」
「そのひと、まだいるの。. . . プールのほう。」
「さあ、どうかしら。多分、プールの入り口のほうへ行ったように思うけど。」
「おばさん、お願い。その人。もう一度見かけたら、私に教えて。監視員控室かプールに居るから。」
(多分、そんなことでは正体は割れないだろう。)と美沙子は思った。これまでの用意周到さは、並みのものではなかったからだ。
美沙子は、監視員室に行く前にロビーになっているホールの隅でこっそり手紙を開いて読んでみた。
(いつものトイレの個室にお前宛の紙包みが置いてある。その中にステレオヘッドホンが入っているから、付けて待っていろ。)
簡単な内容だった。美沙子は再び男子トイレに入って行かなければならない屈辱にやるせないものを感じた。が、命令には逆らえる状況ではなかった。
今度も、人の途切れたのを見計らって、素早く男子トイレに駆け込んで、例の個室に入ると取り合えず鍵を掛けた。
手紙にあった通り、個室の床の隅に何やらしわくちゃの紙袋が置いてあった。これなら誰かがこのトイレを使ったとしても、何か汚いもののようなので、開けたりすることはないだろう。袋を開いて見ると、手紙にあったとおりヘッドホンステレオが入っている。しかもそれはFMラジオ受信機付きのものである。選局ダイヤルは壊されていて、テープのようなものが貼ってある。美沙子は取り合えずイヤホンを耳にしてスイッチを入れて見ることにした。
最初はサーッというノイズが聞こえるだけで、何も聞こえなかったが、コツッという音がして急にサーッというノイズが途絶えた。
すこし、シーンという沈黙の後に、男の声が聞こえてきた。
(聞こえたら、表のロビーに出てこい。二階の階段の上のバルコニーの所に立って待っていろ。) 美沙子の耳にはっきりそう聞き取れた。どうやら、相手はFMワイヤレスマイクで美沙子に話し掛けているようだった。美沙子はヘッドホンのスイッチを入れたまま男子トイレを滑り出た。ホールの階段上のバルコニーはすぐ目の前だった。
バルコニーの階段手すりのところまで来て下を眺め下ろした。一階のホールには人が沢山たむろしている。その中に、自分に指令を送っている男が居るのかも知れないと美沙子は思った。が、それらしい人物は分からない。とにかくじっと待つことにした。
まもなく、また音声がFM受信機に入ってきた。
(よく命令どおりに来たな。これから俺が命令する通りに動くんだ。分かったな。分かったら頷いてみろ。)
美沙子は何処から男が命令しているのか分からないまま、仕方なく首を縦に振った。
男は何処から美沙子のほうを覗いているのか分からなかったが、確かに美沙子の動きは把握しているようだった。その証拠にすぐさま次の命令が飛び込んで来たのだった。
(俺の命令に服従するしるしを見せてもらおう。お前のその短いスカートの裾をもっと持ち上げろ。両手を腰のところに当てて、少しずつスカートをずり上げてゆくんだ。俺がいいと言う迄、ずり上げてゆくんだ。さあ、やれっ。)
男の命令は非情であった。美沙子はしかしそれに背くことが出来ない。
美沙子は仕方なく、両手をスカートの両腰の部分に当てて、それでなくても短いスカートを少しずつずり上げていった。
(そう、そうだ。もう少し。. . . もう少しあげろ。)
イヤホンから聞こえてくる男の命令に従って、美沙子は階段のバルコニーの上でスカートを捲り上げていった。
最初は下の階の他の人が気付きはしないかと、おそるおそる下を見渡しながらスカートの裾を上げていったのだが、もう明かにパンティが覗いてしまう位になると恥ずかしさに目も開けられなくなって、うつむいて、ただ男に命じられるまま自分の下半身を剥き出しにしていったのだった。
(ふふふ、よし。いい眺めだ。その位で許してやろう。もうスカートを下ろしていいだろう。)
その言葉が聞こえるや否や、美沙子はスカートの裾を抑え両脚をすぼめるようにして自分の股間を隠した。が、男の責めはそれで終りではなかったのだった。
(今度はホールの真ん中のソファの所に行って座るんだ。)
(そう、そこだ。その席にそのまま腰を下ろせ。駄目だ。手で隠すんじゃない。両手は背中の後ろに回せ。そう、そうやって股間のところは丸出しにするんだ。)
「い、嫌っ。恥ずかしいわ。」
しかし、男の命令は非情だった。
(もっと丸出しになるように爪先を立てろ。. . . 立てろ。. . . そうだ。もっと脚の力を抜け。どうせ、お前のパンティは正面から覗いたら丸見えだ。観念して存分に覗かれるんだな。もっと脚の間を開け。. . . 駄目だ。もっとだ。. . . )
美沙子は男に命じられるまま、待合室のソファで腰を低く落して短いスカートが更にずり上がってパンティが丸出しになっているのを手で隠すことも許されずに、晒しものにされたのだった。
待合室は次から次へと人が通っていく。美沙子の白い太腿の長い脚はそれでなくても目立った。若い男達は美沙子の両腿の間に覗く白いパンティを目敏く横目で見ながら通っていく。中年男は露骨に嘗めるように股の間を食い入るように覗いていく。女達は眉を潜めて淫乱女を侮蔑の目で見るようにして通り過ぎていく。
美沙子は恥ずかしさに顔を上げることも出来ずにじっと堪えていた。この美沙子の醜態を、あの男はきっとどこかで見つめているに違いないと思いながらも、美沙子にはどうすることも出来なかった。
じっと耐える美沙子の耳に、あの男の声が飛び込んできた。
(どうだ、恥ずかしいか。男達がみんなお前のスカートの中を覗きこんでいるぜ。おっと、手で隠すんじゃない。手を後ろに回したままにしておくんだ。. . . そうだ、その格好だ。どうだ、覗かれて感じてきてあそこを濡らしているんじゃないのか。染みがついたパンティを丸出しにしてるんじゃないのかい. . . フフフ。)
男の指摘に美沙子はハッとなった。
(ま、まさか。. . . )
しかし、男にそう言われると濡れているのではないかという不安が拭いきれなくなってきたのだった。思わず、両脚をぎゅっと力を込めて閉じた。
(ほう、そんなに脚を慌てて閉じるところをみると、図星みたいだな。覗かれて感じているのか. . . )
美沙子は唇を噛んで口惜しがった。
(どこかで、私のことを覗いているんだわ。)
美沙子は、顔を上げてホールをずっと見回してみた。男等の視線が痛いように感じられた。慌てて目をそらすものもいる。が、それらしい男は見つからなかった。
そのうち、浮浪者風の男がホールに現われた。美沙子は嫌な予感がした。が、その予感は見事に的中した。男は目敏く美沙子の剥き出しの腿を視覚に捕えた。男は露骨に美沙子の脚の付け根を注視しながら、美沙子の真正面まで歩いてきた。そして、なんとそのまま美沙子の座っているベンチの真正面の位置を占めると、そのまま床にペタンと座りこんでしまったのだ。
美沙子はたまらず、両脚をきつく閉じた。が、あまりにスカートは短く、パンティは白い三角形の形で丸見えになって覗いているに違いなかった。
男は食い入るように、美沙子の脚の間を覗き込んでいる。その姿には、全く遠慮会釈は無かった。美沙子は、その浮浪者に対して恥ずかしさを感じるというより、まわりの人々に、そんな男に覗かれていながら股間を隠しもせずにパンティを覗かせたままでいるという恥じ知らずな行為をしていることがむしろ恥ずかしかった。
男は明らかに、股間を勃起させているらしく、汚らしいズボンの前を膨らませていた。
(お願い、もう許して。)
美沙子は心の中でそう叫んだが、例の男には聞こえる筈もなかった。
「どうだ、恥ずかしいか。そんな浮浪者みたいな男にパンティを覗かれて。. . . そいつはお前の股の間を見て、すっかりチンチンおっ立ててるぜ。. . . さて、そろそろ許してやろうか。もう、立っていいぞ。」
男の声が、ワイヤレスマイクを通して美沙子の装着しているヘッドホンステレオに聞こえてきた。
「そうだ。立ったら、ゆっくりその浮浪者のほうに歩いていくんだ。. . . そう、ゆっくり。. . . そうだ。もっと、近づけ。. . . そう、そこでちょっと止まれ。」
美沙子は命じられたまま、短いスカートから剥き出しの腿の下を覗かれながら、浮浪者の近くまで歩いていった。そしてその男のすぐそばを通り抜けようとした瞬間、イヤホンから立ち止まるように命令されたのだった。
美沙子は一瞬足を止めた。その時、浮浪者の手が美沙子の短いスカートの中に伸びてきていたのを、美沙子自身、初めは気付かないでいたのだった。
「きゃああっ、. . . 」
股の付け根の部分をパンティの上からではあるが、ぎゅっと掴まれて、美沙子は慌てて大声を挙げてしまった。ホールじゅうに人々が美沙子のほうを振り返ったのが分かった。
美沙子は、唯ただ、恥ずかしさにホールを走って出ていった。
ホールを抜けて階段を駈け降り、一階の待合所の隅で息を付く美沙子の耳に、まだ男の声は追ってきていた。
「あんな男にXXXXを掴まれていい気持だったろう。. . . さて、今日最後の命令をする。これから、おまえの監視員のバイトの時間になるだろう。いつものように監視員の制服の水着を着けたら、股から淫毛をはみ出させてプールを回るんだ。分かったな。誰が見てもはっきり分かるように、股の毛を目一杯はみ出すんだ。もし、淫毛が見えなかったら、お前の恥ずかしい写真があちこちにばら撒かれるから覚悟するんだぜ。」
プチっという音とともに男の声が途切れ、あとはシャーっというノイズだけになった。
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