pool watcher

妄想小説

プール監視員



 作者より:
 この小説は約二年前からアップしていましたが、この度続きを完結編として追加しましたので短編から長編に移し、復習を含めて最初からアップし直します。

 その1

 美沙子と里美は、一緒に公営温水プールの監視員のバイトをやっている仲良し同志である。美沙子は色白ですらりとしたほうだが、案外肉付はいい着痩せするタイプである。一方の里美は男勝りの大柄な体格で、長い脚の腿も見事である。
 美沙子が清純な乙女タイプとすると、里美はボーイッシュなスポーツギャルという対照的な性格である。
 だが二人とも、水泳が好きで得意中の得意である。二人とも市内の名門女子高の水泳部のレギュラーを務めていたが、高校三年になってからは部活動は殆ど引退して、受験勉強のかたわら、市内のプールで監視員のバイトをやるのみである。

 里美はボーイッシュだが、格好は決して男っぽくなく、いつも長い脚の魅力を充分に引き出す為にタイトなボディコンの超ミニを穿いて、男たちの熱い視線をいつも下半身に集めている。
 美沙子は大抵はロングスカートが好きで、フレアのついた薄手の生地のワンピースということが多い。
 里美が肩までのセミロングのヘアをソバージュにしているのに比べ、美沙子は腰まで届くほどのロングヘアをいつもリボンで後ろにまとめ上げている。

 家が比較的裕福な美沙子は、必要があってという訳ではなく、どちらかというと親友の里美に頼みこまれてという形で、監視員のバイトを始めたのだった。だから、今ではすっかり慣れて里美のいない日でも、ひとりでバイトに行くことがあるものの、元々人付き合いの得意でない引っ込み思案の美沙子は、他の男子監視員等にも自分から気軽に話しかけたり、男等の誘いに気軽に乗ったりということが出来ないのであった。
 他にも女子監視員は数人居たが、時々話しはするものの、打ち解けた親友というのは、美沙子にとっては里美しかいなかった。

 その日も、里美と一緒に監視員のバイトをすることになっていて、本当は一緒に学校を出る筈だったのが、帰り間際に進路指導の五十嵐教務主任に呼ばれ急な面接を受けることになってしまったので、里美には先に行っていて欲しいと伝言して、後から駆けつけることにしたのだった。
 五十嵐教諭の指導は思いのほか手間取ってしまって、美沙子が学校を出たのは監視員の交代の約束の五時の十分前になってしまっていた。美沙子は走るようにして学校の裏の自転車置場に急いだ。
 学校は美沙子の家からは割合近くて、歩いても一五分程度なので、いつもは歩いて学校へ通っているのだが、バイトをしているプールは街外れにあるので歩いては行けないのでバイトのある日だけは自転車で通学し、そのままプールへ行くことにしていた。
 美沙子はスイミングウェアをいれたバッグを自転車の篭に放り込むと、一気にプールめがけて走り出した。

 プールは、夏の最盛期には混むので監視員も大幅に増員されるが、今のように冬場の時期には来る人も少なく、監視員も大抵は男子四人に女子二人の少ない体制になっている。美沙子等は今日は夕方のシフトになっているので、五時から閉館の八時までの勤務になっている。バイトは時間給であるが、ばれない限り多少の遅刻をしても問題ない。ただし、その分、他の監視員に迷惑をかけることになるので、あまり大っぴらに遅れる訳にはいかない。それで、美沙子はスカートの裾が乱れるのも顧みず大急ぎでプールへ急いだのだった。
 おかげで美沙子がプールの駐車場を抜け出たのが、交代の五分前だった。二階の監視員控室の窓を見上げると、里美の顔が向こうをむいているのが見て取れた。
 階段を駈け上がった美沙子だったが、監視員の部屋へ通じるドアの前まで来たとき、気紛れに美沙子の心の中に、里美を驚かしてやろうという気が起こった。
 そおっと音がしないように気を付けてドアのノブを回すとゆっくりドアを薄めに開いて半身に身体を滑り込ませた。美沙子はそっと里美の背後に忍び寄り、肩をわっと叩いて驚かすつもりでそっと音を立てない様にして近づくつもりだった。
 最初に美沙子の目にはいったのは、里美の長くセクシーな脚であった。それは監視員控え室の椅子の上に大胆に広げて載せられた魅力的な脚線美とも言えた。が、その根元に向かって何かを持った腕がせわし無気に行き来していた。
 最初、美沙子には何が起きているのか全く理解出来なかった。が、美沙子はいつしか、荒く苦しげに部屋に響き渡る息づかいに只ならぬものを感じていた。
 美沙子は気付かれないように、ゆっくりと歩を進めた。

 里美の手に握られていたものは、モーターの付いた黒くて太い棒のような塊だった。それが何であるのかについて、育ちのいい美沙子は見知ったものではなかったが、それとなく察することは出来た。
 その黒いものは、男等を魅了する里美の美しい脚の奥底に埋め込まれるかのように深々と突き立てられ、そしてゆっくりと引き抜かれていく。その動きに合わせて里美の息が荒く乱れた。
 美沙子は、見てはならぬものを見てしまった恐ろしさを感じ、身体じゅうが震えるのを抑えることも出来ずにいた。
 とにかく、ここにじっとしていることは出来ないと、息を殺しながら後ずさりで監視員控室を出ようとした。ドアの取っ手に手を掛けた時、ガチャリという音がして一瞬美沙子は息が止まった。
 が、里美は自分のことに陶酔していたと見えて、気がつかなかったようだった。
 そのまま、そおっと息を潜めるようにして美沙子はドアを擦り抜けた。
 廊下を走るように足早に、しかし足音は立てぬように気をつけながらホールを抜け、二階の大きなガラス張りのプールを見下ろせる待合室まで来た。ガラスに身を持たせかけるようにして美沙子は大きく息を整えた。
 幸い、プールは空いていて、待合室には誰もいない。眼下のプールでは二十人位が泳いでいるだけだ。監視員も先に来ている大学生の、美沙子はあまりよく知らない二人が回っていた。
 目を閉じると、嫌でもさっきの衝撃的な光景が浮かんでくる。美沙子は自分の股間にあの黒光りするモノが押し込まれるような気がして、知らずしらずのうちに両脚を少しずつ開いていった。手の甲を腰骨のあたりに押し当て、そしてその手が次第に身体の中心にゆっくり滑っていく。
 (駄目、いけないわ。. . . )
 そう思って、手をどかそうと思うのだが、手が自由に動かない。
 その時、後ろでがたんと音がした。続いて笑い声が響いて、中学生らしい少女等が三人はしゃぎながら階段から上がって来るのが見えた。
 美沙子は何食わぬ顔で三人組と擦れ違い、二階の奥の女子化粧室に向かった。

 その後、美沙子が監視員室にいったのは、一五分ほど遅れてであった。里美の姿はなくさっき監視員として見回りをしていた大学生の草野という男が一人、タオルで髪を拭いていた。
 「ああ、みさちゃん。遅れちゃ駄目だよ。そう里ちゃん、入って回っているから。平井が代りにスタンドに座っているから、早く行って替わってやってくれよ。」
 「あっ、ど、どうも済みません。. . . いま、行きますから。」
 そう言うと、美沙子は奥の更衣室になっているカーテンで仕切られただけのコーナーへ水着を持って急いだ。
 監視員室の更衣室は男女兼用である。控室に男と女が二人だけで裸になって着替えるのは、監視員になって相当慣れた今でも、やはり抵抗があった。
 美沙子は出来るだけ音を立てないようにして、着ているものを脱いだ。カーテンの向こうの少し離れたところからは、草野の鼻歌が聞こえてくる。
 下穿きを取った時、いつもより心持ち濡れている気がした。が、クロッチの二重になった部分の裏側を見る勇気がなかった。
 監視員のコスチュームであるハイレグ気味のワンピースの水着と白いサンバイザーを身に付けると、草野には視線を合わさないようにしてプールへ向かった。
 「じゃあ、行ってきます。」
 「ああ、じゃあな。」
 背後に草野の声だけを聞きながら、後ろを振り向かずにプールへのドアを目指した。何故か今日に限って、殆ど裸に近い自分の後ろ姿が草野の視線に晒されて恥ずかしい目にあっているような気がしてならなかった。


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