監禁妻への折檻
八
「温泉まで引いてあるとは、さすが数馬も自慢するだけのことはあるな。」
「ああ。そうだな、忠男。」
忠男と一緒に倫子が薦めてくれた温泉を引いた個人宅としては広めの浴槽に浸かりながら、琢也も忠男の言葉に同意する。
「なあ、どう思った? みっちゃんの事。」
「ふうむ。そうだな・・・。」
「来る前、お前だいぶ心配してたろ。無理やり田舎に引っ込まされたんじゃないかって。意外と元気そうじゃないか、みっちゃんも。」
「ああ。だけど、ちょっと表情がぎこちない気がするんだ。あのさ、忠男。みっちゃんって、いつもあんな短いスカート、穿いてたっけ。」
「ああ、そういやあ若く見えるなあって思ったけどミニスカートのせいかな。あれは数馬の趣味だな。昔はあんましミニスカートなんて穿いてなかったよな、みっちゃんは。せいぜいテニスの時のスコートぐらいだろ。あんな短いのは。」
「数馬の趣味かあ・・・。そうかもな。あんまりミニスカート、穿き慣れてるって感じじゃなかったものな。妙におどおどしてたもんな。」
「そうかあ? お前の気の回し過ぎなんじゃないかあ。」
「この山荘ロッジ、場所は結構田舎だけど。これだけ設備が整っていれば結構するんだろうな。」
「ああ、そうだな。確かみっちゃんちの実家を処分して資金に充てたって数馬が言ってたな。すると殆どがみっちゃんの資産かな。相当な遺産相続だったらしいからな。」
「お金持ちのお嬢様って感じだったもんな。」
「あとで遺産相続はどうやったんだって聞いてみるか。」
「よせよ。他人の家のことには口を差し挟まないほうがいいぞ、忠男。」
「ま、そうだな。そろそろ上がるか。どうせまた呑むんだろうから、のぼせちまう前にさ。」
「ああ、そうだな。」
琢也はもう少し話したいことがあったのだが、それは喉の奥にしまい込んだのだった。
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