目隠し吊り

監禁妻への折檻



 十五

 (え、何・・・?)
 倫子は身体に巻かれた縄で自分の身体が持ち上げられていくのを感じる。山小屋風の造りになっている二人の山荘ロッジはリビングの天井に太い丸太の梁が通っていたのを思い出した。
 (梁に縄を通して、吊り上げているのかしら・・・?)
 その時、梁に通した縄で吊られてしまったらトイレに駆け込むことも叶わなくなることに気づいて倫子は慌てた。
 「ねえ、何をしているの。私をどこかに吊り上げようとしてるの?」
 そう言っている間にも倫子は床にやっとつま先が届くぐらいまで吊り上げられてしまっていた。
 「ね、お願いっ。おトイレに行かせて欲しいの。ちょっとでいいから縄を解いて。ああ、縛ったままでもいいから、おトイレにだけ行かせてっ。」
 「トイレに行きたいのかい? どっちの方?」
 「え、どっちのって・・・。ああ、あの・・・、お、おしっこです。ああ、もう洩れそうなの。」
 「トイレに行くんだったらパンティは邪魔だよね。」
 そう言うと、数馬の両手が腰の辺りに伸びてきたのを倫子は感じとる。スカートをたくし上げているらしいと思った次の瞬間にはその下のショーツを下されて足から抜き取られてしまう。
 「あ、いやっ。下着だったら自分で脱ぎます。だから、この縄を解いてちょうだいっ。」
 「駄目だよ。これは罰なんだ。もうじき彼がやって来るから、それまで我慢してるんだ。」
 「え、彼って・・・誰っ?」
 「お前が色目を使っていたあの若僧だよ。もうそんな気が起きなくなるようにお前にはお仕置きをしなくちゃいけないからね。」
 「お仕置きって、トイレを我慢させること・・・?」
 その時、リビングから扉一枚隔てたキッチンの方から勝手口のチャイムが鳴る音が聞こえてきた。
 ピン・ポーン。
 「木崎さ~ん。三河屋でーすぅ。」
 (俊介くんだわ。どうして・・・?)
 「み、三河屋さんなら昨日配達して貰ったばかりじゃないの。」
 「ああ、僕がさっき配達を頼んでおいたのさ。お前が使う生理用品のストックが切れたから適当なの至急配達してほしいってさ。それからついでにシェービングクリームと剃刀。そして大人用の紙おむつもね。」
 「貴方、私用だといって生理用品を頼んだの? それに紙おむつなんて何に使うの?」
 「ふふふ。あの若僧にいろいろ想像させる為だよ。何を想像するのかはあいつの勝手だけどね。もうあんまり変な気を起こさないようにね。」
 「そんな・・・。あんまりよ。あんな若い子に変な想像させたくないわ。」
 「今度からお前のこと、どんな目で見るのか楽しみだね。」
 「そんな酷いわ。」
 「じゃ、荷物、受け取ってくるからここで待ってるんだ。もうこの目隠しは取ってあげよう。」
 アイマスクが毟り取られて突然視界が開けた倫子は、自分の足許にアルマイトの洗面器が何時の間にか置かれているのに気づく。

倫子

  次へ   先頭へ



ページのトップへ戻る