ベッドシーツ隠れ

監禁妻への折檻



 二十四

 「あっ、琢也。駄目っ。部屋には入らないでっ。」
 「あ、ごめん。大丈夫。部屋には入らないから。数馬と忠男が二人共酔い潰れて寝てしまって、どうしようかと・・・。数馬はここに運び込んだほうがいいかな?」
 「待って。数馬の寝室はここじゃないの。でもいいわ。運ばなくて。・・・・。リビングの暖炉の隣にクローゼットがあって、そこにお客用の毛布があるの。それを掛けておいてくれればいいわ。数馬が呑んでて寝込んじゃうのはしょっちゅうだから大丈夫。朝まで寝かせておけば。忠男君も毛布掛けておけば大丈夫じゃないかしら。」
 「そうか。わかった。ごめん、寝ているところ。」
 そう言うと琢也は再び倫子が寝ている部屋の扉を閉め直し、階下に戻ることにする。階段を降りながら、薄く開けたドアの向こう側にちらっと見えたものが気になっていた。それはベッドの端にあった白い下着のようなものと、その上の小さな鍵みたいに見えたものだった。

ショーツと手錠の鍵

 突然のノックの音と、その後聞こえてきた琢也の声に倫子は慌てていた。戻ってくるのは数馬だと思っていたからだ。それが琢也だと分かった瞬間、(入ってきて私を助けて)と叫びそうになるのを寸でのところで思い留まった。そうさせたのはシーツの下に数馬に着けさせられた紙おむつのせいだった。他の誰にも見られたくない格好だが、その中でもとりわけ琢也には見られたくなかったのだ。
 琢也の話で、数馬は朝までもう戻って来ないことを確信した。そのことはそのままでは自分も朝まで今の状態から解放されないことを示していた。そうなると数馬が心配したとおり、紙おむつの中に放尿しなくてはならない事態になるのは目に見えていた。
 倫子はシーツが肌蹴てしまうのも厭わず身を起こして辺りを見回す。自分が寝ているベッドの一番隅に数馬が残していった自分のショーツと手錠の鍵らしいものが置いてあるのに気づく。しかし自分を拘束している手錠に繋がれた縄がベッドポストに結び付けられているせいで、そこまでは足を伸ばしても届きそうになかった。自分をベッドポストに括り付けている縄はベッドポストから頭の上の天蓋用のレールの上まで通して結び付けられているのが分かった。
倫子

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