監禁妻への折檻
十
「大丈夫ですか。そんな高いところに乗って。」
「あ、いいから。そこからスパイスの袋、取ってくださる?」
「あ、わかりました。」
籠の中からスパイスの袋だけ幾つか取り出すと椅子の上の倫子に手渡そうとする。倫子が天袋に空きスペースを作ろうと後ろ向きになると、俊介の目の前にミニスカートから伸びる倫子の生脚が間近に見えて俊介は思わず生唾を呑み込んでしまう。
「あら、嫌っ。」
何となく後ろに視線を感じて倫子が振り向くと、目を丸くしている俊介と目が合う。慌ててミニスカートの裾に手を伸ばした倫子だったが、その瞬間にバランスを崩してしまう。
「あ、危ないっ。」
そう俊介が叫んだ時には、倫子は丸椅子から転げ落ちる直前に俊介の両腕に抱きかかえられていた。
「ご、ごめんね。俊ちゃん。」
その時だった。キッチンへの扉が突然開いて、そこに睨みつけている数馬の視線があった。
「何してるんだ、お前たちっ。」
「え、貴方っ・・・。ち、違うのよ。か、勘違いしないで。」
慌てて抱き留めてくれていた俊介の両手を振りほどいて腕から降りようとしたのでスカートの裾が引っ掛かって捲れ上り、パンツ丸見えを俊介に見られてしまう。
「奥さん・・・。あ、旦那さん。違うんです。奥さんが椅子から落ちそうになって、僕、慌てて・・・。」
「もういい。さっさと帰るんだ、お前。」
「し、失礼しますっ。」
俊介は慌てて深くお辞儀をすると、そのまま振り向きもしないで玄関口の方へ走り去っていったのだった。
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