監禁妻への折檻
六
「いらっしゃい。こんな遠い所までよくいらして下さったわ。久家さんに樫山さん。」
「おう、みっちゃん。久家さんは他人行儀だな。忠男でいいよぉ。久しぶり。」
「倫子さん。お久しぶりです。何年振りかな。結婚の後、一度逢ったぐらいかな。」
「樫山さんもお久しぶり。よくいらっしゃいました。」
「なんか、みっちゃん。昔と全然変わんないな。いや、昔よりもっと若返ったみたいだ。」
「いやだわ、忠男さんたら。」
それは年甲斐もなく穿かされている短いスカートのせいではないかと思いながらも、若く見えると言われるのは倫子にとっても嬉しくない筈がなかった。
「いや、ほんとに。倫子さん。全然変わってない。」
琢也も忠男に合わせて言うが、それは琢也の本心でもあった。久しぶりに逢う倫子が老けているのではと密かに心配してはいた琢也だったのだ。
「あら、あの車に乗っていらしたの? あれっ、昔と同じスカGよね?」
「ああ、みっちゃんも憶えていたんだ。前のはとうの昔に手放しちゃったんだけど、最近レストアした同じモデルの車を手に入れたんだ。いいだろ?」
「ええ。懐かしいわ。なんだか、昔に戻ったみたい。」
「忠男のやつ、どうしてもこの車を倫子さんに見せたかったみたいなんだ。」
「へえ、そうなの。あ、じゃあ。こちらにいらして。ご案内します。」
「ああ。あれっ、数馬は?」
「数馬さんなら、中でずっとお待ちしてますわ。久々だから早く逢いたいって。」
倫子は先に立って、山荘ロッジへの階段を昇りながら短いスカートが翻らないようにそれとなく裾の方を抑えながら歩いていく。
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