監禁妻への折檻
十四
「なあ、倫子。今日はこれを着けてみてくれよ。」
そう数馬が突然言い出したのを聞いて、倫子は数馬がしたがっているのだと直感的に感じた。
(昨日の数馬とのことがあったせいかしら・・・。だとすると、また縛るつもりかしら。)
夫の性欲がどんどんSMの方に傾いていくのを不安に思いながら、夫婦の交渉がなくなるよりはいいのだと思わなくてはとも思う倫子ではあった。
「まだ、明るいわ。こんな時間から・・・? もしそうなら、ちょっと待って。先におトイレに行ってくるから。」
今日は妙に尿意を催すのが頻繁な気がしていた倫子だったが、それは今日に限って夫が自ら淹れてくれた紅茶のせいだとは思いもしないのだった。
「いや、少し我慢するんだ。我慢しながらするのは普段より感じるっていうから。」
「え、だって。」
「僕の言うことが聞けないのか?」
明らかに夫が不機嫌モードになりかけているのを悟って(ま、ぎりぎり洩れそうになったらトイレに駆け込めばいいわ)と素直に従うことに心を決めた倫子に、数馬は手にしていたものを頭から被せてきた。
「何、これっ? また新しい試み?」
夫が頭に被せてきたのは飛行機などで配られるのと一緒のアイマスクだった。以前、海外旅行をした時にアメニティに入ったいたのを取っておいたのだろうと倫子は考えた。
(この頃、やけにいろいろ新しい試みをしたがるけど、どこでそんな知識を仕入れてくるのだろう。)と倫子は訝し気に思う。東京に単身で行ってくる度に何か情報源があるらしくその後きまって新たな試みをしようとしてくるのだと最近になって倫子は怪しみ始めていた。
目が見えなくなるとすぐに手首を掴まれ、背中の方へ導かれる。
(やっぱり縛られるのだわ。縛られたまま、トイレに駆け込めるかしら・・・?)
倫子はだんだん不安が尿意と共に募ってくるのを感じていた。
両手が背中側で括り付けられると、今度は縄が胸のほうにも巻かれるのを感じる。夫の緊縛の腕もどんどん進歩しているのが分かる。まるで緊縛師の師匠でもいるみたいだった。胸が乳房の上下で引き絞られてくるに従って、夫の息遣いも荒くなっているのが感じられた。
「えいっ。」
数馬の気合のようなひと言が聞こえたような気がしたと思ったら、身体がふっと浮くのが分かった。
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