監禁妻への折檻
七十五
どうしても廃屋にも自分の家にも戻りたくないという倫子を琢也が最終的に連れていったのは、蓼科の別荘街から少し離れたモーテルの一室だった。ほぼ全裸状態だった倫子を部屋から持ってきた予備のシーツで包んで運び入れたのだった。
「どう、少しは落ち着いてきた?」
倫子の身体をずっと抱いていた琢也も、やっと倫子の震えが止まって来たのを感じていた。
「ありがとう。もう大丈夫みたい。」
「じゃ、まず忠男に連絡しておかなくっちゃ。いいかい?」
「ええっ。」
倫子も琢也の胸の中で小さく頷く。
「ああ、忠男。うまく撒けたみたいだな。」
「おう、琢也。お前のバイクで細い登山道を駆け下りたら、さすがに諦めたみたいだった。そっちも大丈夫だったようだな。」
「ああ、危なかったけどな。危うくお前の大事なスカGをお釈迦にするところだったけど。」
「そうか。スカGは無事だったか。ま、それはいいんだけどな。こっちは大変だぜ。崖から落ちた数馬のチェロキーはまだ引き上げも出来ないみたいだが、まず絶望だな。警察もいっぱい来てる。それからあの廃屋は火の不始末で最後は焼け落ちたみたいだ。こっちも消防車がいっぱい出ててんやわんやさ。だからこっちには当分近づかないほうがいいと思う。」
「そうか。わかった。」
「倫子は一緒なのか?」
「ああ。いま、やっと落ち着いたところだ。」
「そうか。ま、後でゆっくり話聞かせろや。」
「ああ、わかった。それじゃあな。」
電話を切ってサイドテーブルに置くと、倫子が琢也にしがみついてくる。
「ねえ、今の忠男さん?」
「ああ。やつも無事だったってさ。」
「あとでよくお礼、言っておいてね。ね、琢也・・・。」
「どうした、倫子?」
「あの・・・。お願いがあるの。」
「ん? 何だい?」
「わたしを縛って欲しいの・・・。」
「え、縛るっ?」
「・・・。うん。わたし・・・。縛られないと出来ない身体になっちゃったの。そんなの、軽蔑する?」
琢也は上目遣いにみつめてくる倫子の目をじっとみる。
「そんなことないさ。」
琢也はシーツの下でホテルのバスローブの紐を解くと 手を回して倫子の両手を背中側に導く。
「あ、いいっ・・・。わっ、凄い。琢也のあそこ、もうこんなになってる。」
自分の下腹部に押し当てられた琢也の股間の変化に気づいて倫子が声を挙げる。
「男ってのはさ、女を縛るとこうなっちゃうもんなのさ。」
「そうなの? わたし、琢也に縛られるんだったら何時でも身体捧げちゃう。」
そう言うと倫子のほうも熱くなった下半身を琢也の方に押し当てるのだった。
完
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