監禁妻への折檻
五十六
何に使うものかははっきりとしないが、錆びついた骨董品にしか見えないものだったが、鎖の端には何かに留めるような金具がついている。
(こんなもの・・・、何に使うのかしら?)
どこかから取り外されたものらしかった。
もう少し奥に進むと、海外から取り寄せた品々が入っていたと思われる宅配用の段ボールが幾つも重ねられていた。その奥から暖炉で使う火掻き棒のようなものが出てきた。しかし先に四角い金具が付いていることから明らかに火掻き棒ではない様子だった。先端の四角い金具は何かの紋章のように見え、Mの字を模っているようだった。
(どこかでこの模様は見たような気がする・・・。)
しかしその時は何処で見たのかは思い出せないのだった。色々調べてみたい気持ちはあったが、禁じられた部屋であるために部屋に入った痕跡を残さないようにする必要があった。
取り敢えず触ったものは、極力元あった場所に元あったように戻すと部屋を出て念入りに鍵を掛ける。頭にあったのはまずは合鍵を作ることだった。その為には三河屋の俊介の力を借りるしかないと思うのだった。
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