監禁妻への折檻
七十二
小一時間、薄暗い地下室の床に寝かされていた倫子は漸く戻ってきた数馬から抱え起こされると、地下室の奥の鉄格子の向こう側へと導かれる。縄の戒めは解かれたものの、着ていた服は全て脱ぐように命じられる。嫌だと言っても腕ずくで衣服を剥ぎ取られるだけだと分かっているので倫子も素直に裸になるのだった。数馬自身も何時の間にかブリーフ一枚になっている。
「ねえ、この牢屋みたいなところ。私を閉じ込める為に作ったの?」
「ああ、そうだよ。なかなか雰囲気が出てるだろ。中世のお城の中にある監禁牢みたいで。こういうのをダンジェオンって言うんだ。」
倫子の頭に、数日前に見た悪夢の光景が蘇る。
「ねえ。貴方、まさか・・・。私に焼き鏝を当てて烙印を押そうなんて考えてないわよね。」
「え、どうしてそれを知ってるんだ? ははあ、そうか。やっぱりな。お前、あの開けちゃいけないっていった部屋を覗いたんだな。」
「うっ、そ、それは・・・。」
「どうも何か陰でこそこそ嗅ぎまわっているような気がしたんだが・・・。」
「そ、そんな事言うなら。貴方こそ、こっそりこんな部屋まで作っていたんじゃないの。」
「してはいけないって言う事をしたのなら、お仕置きをしなくちゃならないね。本当はやる振りだけするつもりだったんだけど、少しは懲らしめの為に痛い思いをするのもいいかもしれないな。」
「な、何言っているの。貴方、まさか本気で・・・。」
「準備はもうすっかり整っているんだ。火を焚く用意もしてある。そこで見てるんだね。」
そう言うと、数馬は奥の方からバーベキューコンロのようなものを出してきて薪を並べると火を点ける。すぐにコンロの上には炎が燃え上がり周りを明るく照らし始める。
「バカなことをしないで。貴方、狂ってるわ。頭がおかしくなってるのよ。や、やめてっ・・・。」
しかし数馬は作業に没頭していて、一向に倫子の言うことを聞こうともしないのだった。
「ほら、見てごらん。あの炎の中で焼き鏝が真っ赤になり始めている。さ、そろそろお前を壁の手枷に繋がなくっちゃな。」
「い、嫌よ。そんなの・・・。やめてっ。助けてっ・・・。」
「お前がわたしのいいつけを守らなかった罰だよ。それを尻に刻まれてようく反省するんだ。」
「い、嫌っ。誰か助けてぇーっ。」
その時、ガタンという大きな音が地上階の方から聞こえてきた。
「ん? 何だ、今の音は・・・。ちょっとそこで待ってるんだ。」
ブリーフ一枚になっていたのを、床からズボンを拾い上げて穿くと上に向かってそろりそろりと階段を昇っていく。
倫子は大声を挙げて助けを求めたものかどうか迷う。しかし下着一枚すら許されていない全裸の格好のままで助けを呼ぶことも出来ないのだった。
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