妄想小説
宇宙刑事シャイダー アニーに仕掛けられた罠
六
その一切の模様をモニタ画面で見せられていたアニーは堪らなくなって大声で叫ぶ。
「駄目よ、シャイダー。そいつはアニーじゃないの。贋物よ。唇を寄せては駄目っ。」
しかし、アニーの必死の叫びも画面の向こうの沢村大には届かない。アニーは沢村が自分そっくりに変装したギャル軍団のリーダーと唇を合わせるところを見せ付けられる。
「シャイダー・・・。来て。」
「ア、アニーっ。キスするよ。」
沢村の唇が女の唇に触れた途端、アニーにはその女の目がギロッと輝いて歪んだ顔つきになったのを見てとる。
（あれっ。アニー、舌なんか出してきて、結構積極的なんだな。ああ、そんなにされたら感じてしまう。勃起してしまいそうだ・・・。）
（ふふふ。何にも気づかずに舌を絡めてきたわね。今だわ。）
「アチーっ。な、何だ。棘が刺さったみたいだが。アニー、一体どうしたんだ。」
「ふふふ。引っ掛かったわね、シャイダー。私のベロから突き出た毒針がお前の舌を麻痺させてしまうのさ。」
「何だって？ お前、アニーじゃないのか。どういうい事だ。あれっ、何か変だぞ。あへへへ。ふまく、しゃへれないぞ。あふあふ。どうひたんだ。ひたはしひれてきた。」
ぐったりした振りをしていたアニーに変装したギャル軍団のリーダーが突然むっくり起き出し、口を抑えている沢村を勢いよく突き飛ばす。沢村は舌だけでなく、身体全体が麻痺したようで力が出せずにその場にへなへなと倒れ込んでしまう。
画面を見つめていたアニーが必死に画面の向こう側に向かって声を上げる。
「焼結して、シャイダー。変身するのよ。早くぅ・・・。」
その思いが通じたのか、沢村が瀕死の身体で腕を上げて変身のポーズを取る。
「ひょうへひゅ・・・。あへっ、はめだ。ひょ、ひょうへひゅぅ・・・。」
変身コードを最早正確に発声出来ない沢村は、鋼鉄の身体に変身することが出来ないのだった。
「皆、出ておいて。シャイダーはもう変身出来ない只の腑抜けよ。今の内にこいつを縛り上げてしまいな。」
「や、やへよ・・・。はにをふるんは。やへよぅ・・・。」
（舌が痺れて、うまくしゃべれない。最早変身も叶わないのか。身体の力も入らない。こんなギャル軍団に思うようにされて何も出来ないとは・・・。）
人間の身体に戻ったシャイダーこと沢村がギャル軍団たちに思うように縛り上げられ、引き立てて行かれるところでアニーの目の前のモニタ画像は断ち切られた。
「シャイダーに何をしたの？」
「ベロに仕込んだ毒針でシャイダーの舌から毒素を抽入してやったのさ。これでシャイダーは変身コードを発することが出来ないばかりか、身体全体も痺れて戦うことも叶わない。もはや腑抜けのでくのぼうって訳さ。お前の目の前で力を失くしたシャイダーを処刑してやるから楽しみに待ってるんだな。」
「そ、そんな・・・。ああ、シャイダー。わたしのせいで・・・。」
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