妄想小説
宇宙刑事シャイダー アニーに仕掛けられた罠
一
「アニー、よく頑張ったな。これでフーマたちも当分は手も足も出せないだろう。」
「シャイダーが傍に居てくれたおかげよ。」
「それにしてもアニーは射撃の腕をあげたな。」
「そうかしら。私は少しでもシャイダーの役に立ちたかっただけ。ねえ、フーマたちの攻撃もこれで少し止まりそうだから、私達も少しぐらいは休めるわね。ねえ、シャイダー。私、実は欲しいものがあるの。」
「なんだい? それって・・・。」
アニーはシャイダーの目を見つめて瞳を閉じる。
「・・・・。」
「どうしたんだい、アニー?」
「え、・・・。うん。な、何でもないの。そろそろバビロス戦闘母艦のコム長官に報告に行かなくっちゃね。」
気分を変えて明るく微笑んでみせるアニーだったが、心の中はくじけていた。
(もう、シャイダーったら肝心な時に鈍いんだから・・・。どうして私の唇を奪ってほしいって気づいてくれないのかしら。)
そんな二人の様子を物陰からギャル軍団の一人が盗み聞きしていることに二人共気づいていなかった。
(あのアニーって小娘、女宇宙刑事のくせに色気づいてきたんだわ。そこを付け込ませて貰おうかしら。ふふふ。)
聞き耳を立てていたギャル軍団の女が小賢し気に含み笑いをするのだった。
「ねえ、あなた。女宇宙刑事のアニーさんじゃなくって?」
二挺拳銃を手に、森をパトロールしていたアニーは突然、木の陰から声を掛けられる。現れたのは地球人の女に変装したギャル軍団のひとりだった。
「あら、あなたは?」
「この間、フーマの軍団に襲われた時に助けて貰った者のひとりです。ひと言お礼がいいたくて。」
「そうだったんですか。無事でよかった。」
まさかギャル軍団が変装して近づいていると思いもしないアニーは、警戒心を緩めて近づいていった。
「アニーさん・・・・。もしかして・・・ですけど。シャイダーのこと、好きなんじゃなくって?」
「え、そ、そんな・・・。どうして?」
「ふふふ。同じ女ですもの。見ていればわかるわ。ね、シャイダーがすぐそこの森を抜けた広場のところに居たわよ。打ち明けるなら今がチャンスよ。」
「え、そうなの。」
「そんな無粋な武器、私が持っててあげるから行ってらっしゃいな。」
アニーはシャイダーがすぐ近くに居ると聞いて、頭の中が彼のことでいっぱいになる。すっかり油断して二挺のレーザービーム銃を預けてしまうのだった。
(さあ、これで女宇宙刑事も丸腰だわ。恋は盲目っていうけど、ほんと、おバカさんね。)
ギャル軍団に騙されて武器を奪われてしまったとも気づかないアニーは、シャイダーが独りでいるという森の広場へ急ぐのだった。
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