妄想小説
宇宙刑事シャイダー アニーに仕掛けられた罠
五
「現れたな、ギャル軍団。アニーを何処へやった。」
「ふふふ。お前の大事なアニーはたっぷりと可愛がってやったよ。もう今時分、虫の息だろうね。」
「許さんぞ、お前たち。このシャイダーが一人残らず捕まえて、アニーの居場所を吐かせてやる。焼結ーっ、変身!」
人間の身体になっていたシャイダーこと沢村大が変身コードを発すると、母艦バビロス号よりプラズマ・ブルー・エネルギーが放出され、みるみるうちに鋼鉄の身体へと変身する。
「変身したシャイダーには私達は勝ち目はないわ。皆、逃げるのよ。」
「待て、逃さんぞ。」
ギャル軍団の女たちは一目散に退散を始める。
ギャル軍団を追って森の奥深くへ追い詰めていくシャイダーだったが、見覚えのある黄色いスーツがチラッと目に入る。
「あれはアニーじゃないのか。」
森の片隅に緑色に光る祭壇のようなものが設えられていて、そこに縛られて寝かされている女の姿が見えたのだ。
「アニーっ。アニーなんだな・・・。無事なのかっ。」
シャイダーが駆け寄って括り付けられている祭壇からアニーの身体を下す。
「アニー、大丈夫か。今すぐ解いてやる。」
アニーは虫の息だが、かろうじて生きている様子だった。
「アニー、だいぶ酷くやられたようだな。今、助けてやる。」
「ああ、シャイダーなのね。助けに来てくれたのね。」
「しっかりしろ、アニー。」
「わ、私・・・。あいつらに電子レーザー銃を奪われて、素手で戦ったんだけど捕えられてしまって・・・。」
「しっかりしろ、アニー。もう大丈夫だ。僕が助けに来たから。」
「ああ、シャイダー。お願いがあるの・・・。」
「どうしたんだ、アニー。」
「わ、わたし・・・。もう、駄目かもしれない。」
「何を言っているんだ、アニー。しっかりしろ。」
「最後にお願いがあるの、シャイダー。」
「お願いって、この間のことなんだな。」
「ええ、そうよ。シャイダー、お願い。人間の姿に戻って。そして私の唇を奪って。」
「唇を奪うって・・・?」
「そうよ、シャイダー。キスして欲しいの。」
「そうだったのか、アニー。ごめんな、気づけなくって。変身~、解除。」
シャイダーの身体が鋼鉄の姿からみるみる生身の人間、沢村大に戻って行く。
それを息絶え絶えで見つめていたアニーは瞳を閉じて唇を突きだす。
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