妄想小説
宇宙刑事シャイダー アニーに仕掛けられた罠
四
突然連絡を絶ったアニーの事を心配しているシャイダーの元へフーマたちから映像が届く。それを観たシャイダーは思わず絶句してしまう。
「ア、アニーじゃないか。フーマに捉えられていたのか。どうしたんだ、その格好は。アニー、アニーっ!」
三角木馬上で悶え苦しむアニーから音声は届かないが、その口元は明らかに(シャイダー、助けて)と叫んでいるのが判る。
「コム長官、今すぐアニーを救出に行かせてください。」
「シャイダー。冷静になれっ。敵の罠かもしれないんだぞ。」
「それでも、今すぐ行かなければ・・・。」
「わかった、シャイダー。油断をするな。充分気を付けるんだぞ。」
「判っています、長官。」
バビロス戦闘空母からスカイシャイアンに乗り込んで地球へ向かったシャイダーは地上に降り立つや地上戦車型マシン、バトルシャイアンに乗り換えるとアニーの行方を追うのだった。
その頃、フーマ秘密基地である不思議宮に捕えられていたアニーは、やっとの事で三角木馬から降ろされ、息絶え絶えになっているところをギャル軍団に囲まれ、女宇宙刑事の制服を剥され、裸で縛り直されていた。
「私を裸にしてどうしようっていうつもり?」
「そのアンタが来ている服が必要なのさ。アタイがそれを着させて貰おうっていうんだ。その前に縛られたまま、こっちの鏡の前に来てよく顔を見せな。」
裸でぐるぐる巻きに縛られたアニーが鏡の前に座っているギャル軍団のひとりの前に引き立てられてくる。
「ギャル軍団は皆、変装が得意なんだけど、中でも私が一番変装が得意なのさ。今からアンタを観ながら化粧を変えてアンタに成りすまして見せるからよく見て起きな。」
アニーを鏡の前に縛り付けると、その顔をみながらギャル軍団のリーダーがどんどんアニーの顔に似せてゆく。
「どうだい、こんなもんかな。」
鏡の向こう側にいるギャル軍団リーダーは、何時の間にか自分そっくりの顔になっている。そのリーダーがアニーに向かって思いっきりベロを出す。
「これをよく見てごらん。」
リーダーが口から出している長いベロが不気味に動く。すると突然ベロのあちこちから黒い棘のようなものが突き出してきたのだ。
「こいつが何だか判るかい。毒針を仕込んだ棘なのさ。」
「何をしようっていうの?」
「それは後のお愉しみ。お前にはシャイダーが毒牙に掛かる所をビデオ中継で見せてやるから楽しみにしてるんだな。お前のこの制服は私が着込んでやるからな。もう少し裸で待っていな。」
「もしかして、私に成りすましてシャイダーを騙すつもりなの?」
「ふふふ。アンタも案外バカじゃないようね。」
「やめて、そんな事。駄目よ。」
叫んで止めようとするアニーを尻目にアニーの制服を着こんだギャル軍団のリーダーは悠々と出て行ってしまったのだった。
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