監禁妻への折檻
四十八
「で、数馬。どうなの、あれから進展あった?」
「ん? 何の進展だよ。」
「やだ。奥さんの調教よ。もっと懲らしめるとかって言ってたじゃない。」
「ああ、まあな。お前、外でセックスってしたことあるかい?」
「外で? んーっ。観覧車の中とかだったらあるわよ。上の方に登っていって、外からは見えなくなった隙にね。」
「なるほど。観覧車かあ。自然の中では?」
「自然の中・・・? 森の中とか、そう言う事?」
「ああ。実はこの間、妻を森の中で素っ裸にするのに成功してさ。」
「森の中で? そんな場所があるの?」
「ああ。実はその前に山道でブリーフ一枚になって咥えさせようとしたんだけど、通りがかった車があってさ。道路は駄目だなって思って・・・。それで誰も入ってこれない立入禁止の山の中に誘い込んで無理やり脱がしたんだ。」
「へえ。立入禁止の山ねえ。」
「で、裸にして磔にするまでは行ったんだけど。その先がどうも今一つでさ。」
「アンタ、奥さんとだと持続しないんでしょ。アレが。」
「なんだよ。どうして知ってんだ、そんな事。」
「わかるわよ。わたしはこの道のプロよ。何人も男の人、見て切れるもの。」
「途中からバイブとか使ってさ。したくて堪らなくなってバイブでもいいから当ててってお願いせざるを得なくなるような。もうちょっと何か俺に服従させるって感じにしたいんだよ。何かいい薬とかってないかな? ほら、お前の店でもいろんなもの、扱ってるだろう。」
「ああ、媚薬とかね。うん、あるわよ。ちょっと高いけど。女の人がしたくなって堪らなくなっちゃうやつ。」
「へえ、試してみたことあんのか。」
「ううん、私はないわよ。わたしは何時だってことに及んだらすぐしたくなる質だから。必要ないもん。」
「へえ。したくないって言い張っている女でも、それを使われると我慢出来なくなっちゃうのか。」
「そうらしいわよ。お客で喜んで買っていくのがいるもん。きっと奥さんに使ってるんでしょ。」
「ほう、いいねえ。俺にもそれ、今度持ってきてくれよ。試してみたいんだ。お金だったらあるからさ。」
数馬はそれを使って自分の妻を攻略する方法を思案するのだった。
「なあ、倫子。この間行ったあの山、もう一度行ってみないか。」
「え、あの例の立入禁止になってる山の上の事?」
夫に誘われて、先日連れられていって裸にされて樹に括り付けられたのが倫子の脳裏に蘇ってくる。
「ああ。実はあそこにまだ見せてないもので、見せたいものがあるんだ。」
「この前あそこは借りてるんだけど、そのうち買うつもりだみたいなことを言ってたわよね。」
「ああ。まだ買ってはいない。けど、あの横浜の家が売れたらその金で買いとるつもりなんだ。地主もそれは承知している。」
「ねえ。本当に横浜の家、売っちゃうの?」
「ああ、そうだよ。空き家にしてずっと置いてても仕方ないだろ。」
「それはそうだけど・・・。あそこはずっと子供の頃から棲んでいた場所だし、貴方とも結婚してから結構長く住んでたじゃない? 思い出深い場所だから売っちゃうのはさみしいわ。」
「そうは言ってももうあそこに棲むことはないんだし、無人で置いておいても老朽化するばかりだからね。今のうちに処分しておかないと。それに引きかえ、こっちに山を所有出来ればいろんなことが出来るからね。ま、ちょっともう一度見に行ってみようよ。山だけじゃないんだ。」
「え? 山だけじゃないの・・・?」
数馬の言葉が何を意味しているのか分からなかった倫子はそれを見てみたい気もしたが、実はあの時、数馬に磔にされて敵の兵士に凌辱されそうになったお姫様を演じた妄想で、琢也に助けてと心の中で叫んだ時の、甘く切ない気持ちをもう一度味わってみたいという誘惑がむらむらと心の中で沸き起こってきていたのだった。
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