監禁妻への折檻
四十二
「ねえ、こんなところで裸にしてどうしようって言うの?」
「ふふふ。そうだな、妄想ごっこさ。お前は囚われのお姫様だ。敵の兵士に捕まって、これから山の中で処刑されるってストーリーだ。裸で連行されながら、王子様が助けにくるのを信じて待っているのさ。」
「何、それっ・・・。」
「よく中世の西洋の物語なんかであるだろっ。お姫様が悪者に捕まって凌辱されそうになるのさ。ほら、お前も『王子さま、早くわたしを助けに来て』って気分だして言ってごらんよ。」
「え、そんなの恥ずかしいわ。」
「さ、処刑場まで歩くんだ。そこでお前を磔にして晒し物にしてやるからな。」
「ああ、そんな・・・。」
倫子は数馬に縄尻を牽かれて山の中を歩かされていくと、次第に自分が本当に囚われたお姫さまで、数馬が敵の悪者の兵士であるかのような気分になっていくのだった。
(ああ、王子さま。早く助けに来てっ・・・。)
その時、倫子が思い浮かべていた王子さまは数馬ではなくて琢也なのだった。
「さあ、ここに繋いでやる。」
数馬は一本の太い幹の樹の前に倫子を立たせると、後ろ手の縄を樹に繋いでしまう。
「ふふふ。いい格好だ。お姫様は処刑の前に犯してやろう。」
ブリーフを抜き取ると、数馬のモノはすでに天を向いている。すっかり悪者の兵士になり切っている数馬は、王子様より凌辱する兵士になるほうが興奮するようだった。
「ああ、た・・・。た、助けてっ、王子さま。」
倫子も凌辱されるお姫様を想像しながら、つい(琢也っ)と叫びそうになって慌てて言い換える。
「ううむ。ちょっとイメージが違うな。処刑されるお姫様って感じじゃないな。ちょっと待ってろ。」
そう言うと、脱ぎ捨てていたジーンズのポケットから更に別の縄を取り出す。辺りを見回して、適当な樹の枝の落木を探してくると、傍の別の樹の幹に結び付け始める。
「うん。こっちのほうがイメージにあってるな。」
それは簡易的に作った磔用の十字架なのだった。数馬は後ろ手に縛った縄を一旦解くと手首を片方ずつ横に渡した十字架の棒の端に結わえつけ直してゆく。
「ああ、こんな格好のされるなんて・・・。」
万歳の格好に括り付けられた全裸の倫子はまさに処刑される直前のお姫さまのようだった。
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