
凋落美人ゴルファーへの落とし穴
第二部
三十六
その様はまさしく男の怒張したペニスをフェラチオしたさにしゃぶりついていく女の姿を模したものに違いなかった。その格好にギャラリーとなった客たちはクスクスと笑い声を立てたいのをじっと堪えて固唾を呑んで見守る。
やがて根元までバナナの皮を唇だけで剥き終えたヨンがバナナの剥き実を咥えようとしてツルツル滑ってなかなか口の中に咥えこめないのに慌てる。その様を見ながら観客のギャラリーの客たちは笑いを堪えるのに必死だった。
なかなかバナナが口に咥えられないのでどんどんヨンの口元からは涎が流れ出始める。しかし両手を後ろ手に手錠を掛けられているヨンにはその涎を拭うことさえも許されないのだった。

(ど、どうしてっ? なんでバナナがこんなに滑りやすいのっ?)
差されたバナナを何とか咥え込もうと必死になるヨンには目隠しをされているせいでバナナに垂らされた潤滑用のオリーブオイルに気づくことが出来ない。それでも何とか喉奥深くまでバナナを咥え込んで引き抜くのに成功したヨンだったが、ターゲットの孔の開いた帽子掛けの方に振り向こうとしてつい油断して口に咥えたバナナをボトンという音と共に取り落としてしまう。
「あ~っ。惜しかったですね、ヨンさん。折角咥えたバナナを落としてしまいました。これはペナルティですね。え、ああ。ペナルティはこのWクリップですか。ええっと、これっ何処に着けますかねぇ?」
目隠しで何も見えないヨンには司会者がペナルティと称してWクリップを手にしているらしいことしか判らない。
「ええっ? そこっ? ああ、わかりました。お約束のペナルティですからねっ。ヨンさん。失礼しますよっ。」
目隠しで何も見えないヨンは司会者の言葉しか聞こえてこない。その司会者が近づいてきたらしいことを気配で感じたヨンは次の瞬間、乳首に衣服越しにWクリップが挟みこまれたのを体感する。
「あ、い、痛いっ・・・。」
Wクリップはヨンが身に着けていたゴルフウェアの上着とブラジャーを通して確実にヨンの乳首を捉えて挟み込んでいたのだった。
「ヨンさん。さ、もう一度、バナナ運びへの挑戦をお願いします。これを成功させないとペナルティのWクリップは外して貰えませんよっ。」
「ううっ・・・。」
ヨンは抗議の言葉を発しても無駄だということを悟ると、すぐさま新たなバナナが据えられているらしき方へ向き直る。ヨンはただの帽子掛けだと思っているのだが、それはダビデ像の男性自身が股間の屹立を誇示しているようにスタットボルトに突き立てられた半分剥き実のバナナなのだった。

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