
凋落美人ゴルファーへの落とし穴
第三部
四十七
ホテルの一室に運び込まれたヨンはベッドではなくソファの上に寝かされていた。脚はだらしなく開かされて短いスカートの裾は上へずり上がってしまっている。
うっすらと目を開いたヨンの眼にホテルの部屋の天井がぐるぐる回っている。頭がガンガン鳴るように痛い。
(ここは何処かしら・・・。私は何してたの?)

フラフラする頭を抑えながら何とか身を起こしたヨンは捲れ上がっているスカートに気づいて慌てて裾を直す。辺りを見回してみて、自分が見覚えのない部屋に居ることに気づく。記憶を呼び戻そうとするが、頭の中がぼんやりとしてどうして自分がここに居るのか思い出せない。
その時、ガチャリと音がして次の間のようなところのドアが開いて一人の男が入ってくる。
(だ、誰っ・・・?)
顔は見覚えがあるような気がするが、はっきりとは思い出せない。
「やっと起きたようだな。待ってたんだぜ。」
「待ってた? 私を・・・?」
「ああ、下着を返して貰おうと思ってね。服は誰かに着せて貰ったようだな。」
「着せて貰った? え、私。裸だったの・・・?」
「俺が見た限りじゃ殆ど何も着けてなかったな。男三人ぐらいで担ぎ出された時はね。」
(男三人・・・? 服を着せられた・・・?)
ヨンは自分が晒していたらしい醜態を想像して慌てるが、記憶は戻ってこない。
「あ、貴方は・・・、誰?」
「え? 憶えてねえのかい? アンタがこの部屋に担ぎ込まれたって聞いたんで下着を返して貰いに来たんだ。」
「し、下着って・・・。」
「アンタが今穿いているのは俺が穿いていたブーメランパンツだよ。見てみなよ。」
そう言われてヨンは男に背を向けてスカートの裾を前の方で持ち上げてみる。言われたとおり自分が穿いている、いや一旦脱いで誰かに穿き直させられたらしい下着は男物のブリーフのようだった。
「アンタがブラジャーとパンティをビンゴゲームの景品に差し出しちゃったんでノーパンじゃパーティの席に戻れないっていうから、俺が穿いていたパンツを脱いで貸してやったんじゃないか。あげるって言った訳じゃないから返して貰うぜ。」
「で、でも・・・。」
(それじゃ、自分がノーパンになってしまうじゃないの)と言いかけて途中で言葉を呑み込む。
「そんなに俺のちんこを包んでいたパンツが居心地いいのかい?」
そう言われてはっと我に返り、男の下着を身に着けていることが気持ち悪くなってきた。
「ぬ、脱ぐわよ。今すぐ・・・。」

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