
凋落美人ゴルファーへの落とし穴
第一部
十七
大きく振りかぶったヨンのドライバーがスィングを始めようとした瞬間に目の前の男たちが一斉にしゃがみ込むのがヨンの目に入ってしまった。
「きゃっ。」
スィングを止めることが出来なかったヨンのドライバーはティー上のボールを掠めていく。ボールはティーから滑り落ちるようにして情けなくコロコロと5mほど前に進んで止まってしまう。
(し、しまった・・・。)
「おおっ。プロでもチョロったりすることがあるんだね。」
「初めて見たよ。あのヨン・クネがティーショットでチョロするとは・・・。」
「ううっ・・・。は、恥ずかしいです。プロとしてあるまじきスィングでした。」
ヨンはスィングの際にスカートが捲れあがって下着を見られてしまったことも忘れて、自分のミスショットに茫然としてしまっていた。
「い、今のは1打罰でいいんだよね。ヨン君?」
「え、ええ・・・。仕方ないです。」
ヨンは首を項垂れてか細く答える。その返事に男達がひそかにほくそ笑むのを俯いていたヨンは気づいていなかった。
大きく深呼吸をしてからヨンは打ち直しのティーショットのスタンスに入る。男たちの視線は見ないようにしてボールだけに集中してドライバーを振り下ろす。
渾身の力を篭めて打った打球は力み過ぎたせいでリカバリーの筈だったがフックしてしまい、フェアウェイを外れて少し深めのラフに落ちていった。
「おお、これはチャンスが巡ってきたぞ。」
やっと巡ってきた勝利を掴むチャンスのホールだったが、二番手のパーマーのボールはヨンとは反対側のラフに落ちて行く。密かに心の中でミスショットをしてくれるように祈っているヨンの前で三番手、四番手のニクラウス、ウッズ共にフェアウェイを外す。
「何だ、お前等。折角のチャンスにだらしないな。見てろよ。」
最後のジャンボは慎重にアプローチに入ると、無心になって振り下ろしたクラブから放たれたボールは絵にかいたような見事なアーチを描いてフェアウェイのど真ん中を転がっていった。
二打目を打つために先に五人分のクラブを摘んで進んでいくキャディの後を追って歩いていくヨンと男達四人だった。
「おい、これはいいチャンスだからヨンをもっと動揺させてミスを誘ったほうがいいぞ。」
「おう。じゃ俺に任せておけ。」
そう答えたのはニクラウスだった。男たち三人から離れて先をゆくヨンに追いついたニクラウスはヨンに声を掛ける。
「珍しいですね。ミスショットが二回も続くなんて。」
「ああ、ニクラウスさん。こんなことも偶にはありますよ。でも次は必ずリカバーしますわ。」
「そうですか。やっぱり噂は本当だったんですね。」
「え? う、噂って・・・・?」
「ヨン・クネはアンスコを穿いてないってやつですよ。」
「え、そ、そんなこと・・・。ち、違うんです。デセックスのアンスコはアンスコらしくないようにデザインされているだけですよ。」
「そうですか? 股筋がくっきり見えていたように思えたんだが・・・。」
(やっぱり見られたんだわ。どうしよう・・・。)
「それにあそこはいつも綺麗に剃り上げているんですね。あんな薄手のアンダーウェアなのに黒い茂みがまったく見えなかったですからね。」
(やっぱり見られたんだわ。しかも無毛にしていることまで・・・。)
「あの、ちょっと・・・。靴紐が解けちゃったみたいなんで先に行っててくださいな。」
そう言って話を遮ってしゃがみ込むと靴紐を直す振りをするヨンだった。ニクラウスが先に歩き出したのと他の三人が自分の方を向いていないのを確認してからしゃがんだままこっそりスカートの裾を持ち上げて自分の股間を見てみる。そこにはニクラウスが指摘した通りに薄手のショーツがずれて股に食い込んでいるのが自分でも確認出来るのだった。

ヨンはさり気なくスカートの中に手をいれてショーツの端を横に引っ張って食い込みを直す。しかしそれは何時また戻ってしまうか分からないのだった。それから先は前半で見せた絶好調のプレイは嘘のように消え去っていた。
只でさえ二打のハンデがある上に一打罰を喰らってヨンは窮地に立たされていた。何とか三打目でグリーン手前まで漕ぎつけたヨンだったが、先にカップ手前までボールを寄せていたウッズに三打差以内に入るにはチップインイーグルを狙うしかないところまでヨンは追い詰められた。そのヨンの四打目はまっすぐにピンに向かって進んでいったが後一歩のところでカップ前で止まってしまう。その直後にジャンボがカップに沈めて初めてヨンは男たちの一人に1打足りずに負けてしまったのだった。
カップ手前で止まってしまったボールを落とすと、ヨンは男達四人に向かって立つ。
「約束ですものね・・・。」
そう呟くと胸の上のポロシャツのボタンに手を掛ける。そこにジャンボから声が掛かる。
「ちょっと待った。何から脱いでいくかはこっちが決めるっていうルールの筈だったが?」
ヨンは社長がパーマーから貰ったというマリリンモンローのバーディパットの絵を思い出していた。あの絵の説明で社長がモンローはあの時点でワンピースの下のブラジャーもショーツも先に脱がされていたという話を思い出していた。
「な、何から脱げば・・・、いいのかしら?」
「そりゃ、やっぱりショーツからだね。」
「え? そ、そんな・・・。」
只でさえスィングするだけでその中が丸見えになってしまう短いフレアスカートを穿いているのにノーパンになれという命令だった。しかもまだその先プレイは続けなければならないのだ。
「わ、わかりましたわ。」
パンティを覗かれることを意識していたあまりに更に窮地に陥ってしまうヨンだった。男達はあらかじめ示し合わせてヨンが最も動揺してスコアを落とすように脱がす順番を決めていたのだった。

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