真美強姦

妄想小説

地に堕ちた女帝王



 二十五

 「今日はちょっと新しい趣向でやって欲しいの。」
 そう真美は切り出した。横井が真美にセックスを強要する際には、横井は決して真美を裸にしなかった。会社内部の時は制服で、外でする際にも、私服を着せたままでスカートだけ捲り上げ、下着も膝まで下ろさせて事に及ぶのだった。
 それは、真美の身体が貧弱なせいだ。乳房も薄く、脚も長くない。はちきれんばかりのセクシーさをこれ見よがしにしている紗姫の姿態にはとうてい及ばない。裸の真美は却って性欲を減退させかねなかった。服を着させたまま犯すのは、女を犯しているという実感を得たいが為だった。机に伏させて後ろからするのも同じ理由だった。ちょっと脅せば従順にしたがう真美だからこそ、安心して欲情の吐け口として使えるのだった。
 真美が恥ずかしそうに差し出したのは、木綿の編縄だった。それで縛って犯して欲しいと切り出したのだった。
 真美と紗姫が縛りあいながらレズビアンプレイをしているというのは、日下から聞いたことがあった。が、そういう嗜好を自分との間でも持ち込もうとするのは意外だった。殆ど抵抗しない真美を縛る必要性は全くなかった。しかし、被虐嗜好の女が縛られるとどれだけ燃え上がるのかは横井にも興味のあるところだった。
 「ふふふ、そうか。面白いじゃないか。それじゃあ、今日は縛ってお前を犯してやろうじゃないか。こっちへ来いや。」
 横井は真美から渡された縄を受け取り、真美に背中を向けさせる。そして両手を後ろで交差させると、手首にぐるぐる縄を巻いてゆく。しっかり両手を縛り上げると余った縄を今度は胸元に廻す。それほど豊かではない胸も乳房の上と下に縄を巻くと膨らみが強調される。縛っているうちに、横井の脳裏には紗姫を懲らしめた晩のことが蘇えってきた。横井にとっても、紗姫の姿態は魅力的ではあった。ただ、完全に抵抗出来ないようにしてしまわなければ、心配で、女を犯そうという気持ちにもなれない。あの時は念入りに計画を立て、手錠と縄とスタンガンで紗姫の自由を完全に奪い取ったのだった。あの時、紗姫の身体を陵辱した時の興奮が蘇えってきたのだ。
 横井は真美を後ろから羽交い絞めにすると、スカートに手を伸ばす。裾をたくし上げてその下のショーツを探り当てると、膝の上まで引き下ろす。
 「嫌、やめてっ。」
 珍しく真美が抵抗する素振りを見せて、横井の腕を振り解く。そして膝に下着を絡みつかせたままの格好で応接ソファのほうへ逃れてゆく。
 「そうか。段々その気になってきたって訳か。それじゃあ、こっちもその気にならせて貰うぜ。」
 横井はズボンのベルトを外すと、パンツもズボンごと下に下げ真美のほうに迫る。下半身のモノは既に鎌首を擡げだしていた。

 内鍵を掛けておいた筈の扉が突然音を立てて開いたのはその時だった。
 「おい、俺の女房に何してるんだ。」
 突然のドスの利いた声に、横井が驚いて振り向くと、鬼のような形相の男が立っていた。
 「あなたっ、助けてえっ・・・。」
 縛られた真美もソファの長椅子から顔を上げて、男に声を挙げる。男の後ろで閃光が走った。男の後ろに居た紗姫が持ってきたデジカメのフラッシュを焚いたのだった。
 縛られて下着を降ろされた真美に今にものしかかろうとしていた横井に向って、男は殴りかかっていった。もんどりうって身を翻すと、ズボンを慌ててたくしあげようとする横井だったが、その顔面を男の拳骨が見舞った。横井の顔から鼻血が噴出す。
 「畜生、てめえ。」
 思わず、後ろに手を伸ばしたところに鋭い刃先のペーパーナイフがあった。殆ど無意識のうちにそれを取り上げ、振り廻す。その腕を男の手が捉えた。揉みあいになった次の一瞬、横井が血を流しながら崩れ落ちたのだった。

 刃傷沙汰になったことで、すぐに警察の手が入ることになった。真美が縛られ、下着も降ろされた格好で鍵を掛けた横井の執務室に居たことから、警察は横井の婦女暴行未遂と判断した。金庫の中身も証拠品として押収され、中から発見されたビデオテープや写真から、常習性があるとの判断がくだされた。一命を取り留めたが、警察病院に収監された横井の言い分と、真美の言い分は全く異なるものだった。
 横井は、真美が自分から部屋へやってきて縛って犯して欲しいと言い出したのだと主張した。さる取引先から真美が変態セックスプレイをしているビデオテープを入手し、事の真意を聞こうと呼び出したら、黙っていてくれたら、縛って犯していいと持ち掛けたのが経緯だと話した。しかし、金庫から発見されたものが横井の主張と全く異なるものだったせいで、横井の話は全く信憑性を帯びない架空のものとされたのだ。
 様子がおかしいと親友の紗姫から連絡を受け、踏み込んだ真美の夫は、情状酌量の余地はあるものの、横井が致命傷に近い傷を負ったことで、傷害罪では起訴されることとなった。
 その後、横井は傷が癒えたところで、強姦、傷害未遂で一年の実刑となり、会社も懲戒免職となった。真美の夫のほうは、情状酌量はあったが、普段の素行の悪さが捜査の途中で露呈した為に、執行猶予付きの傷害罪が適用され、結果、真美は離婚することとなった。



 暖かな陽が差し込む昼下がり、喫煙室には三人の姿があった。今日も飛びっ切りの短いスカートを穿きながら、真正面の日下には一瞬たりとも隙をみせない紗姫が自慢の脚を組み替える。その紗姫の裾元を覗いてはならないときつく言い渡されながらもちらっと目が泳ぐのは黙認されている日下だった。紗姫と、傍らの真美が煙草を取り出すと、すかさず擦り寄っていき、傅いてライターで火を点ける日下の様は、まるでキャバクラの黒服そのものであった。
 「ねえ、真美。そろそろまたSMプレイ、今夜あたりやらない。」
 「そうねえ、子供は実家が見てくれてるし、アタシも夜は暇だから。ねえ、アンタも又豚男の役で鞭が欲しいんでしょ、日下クン?」
 「はい、是非、お仲間に入れて頂きたいです。今晩も、真美様に首輪を嵌めて頂いて、女王様のきつい鞭をお尻と背中に是非お願いいたします。」
 すっかり紗姫と真美の家来になり切った日下は、計らずも覚えてしまった禁断の愉悦の予感に、もう股間のモノを膨らませ始めていた。

 完

金髪
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