弾劾裁判

妄想小説

地に堕ちた女帝王



 二十

 「日下憲弘、前へ出なさい。」
 目の前の高壇の上から鋭い声が室内に響き渡った。憲弘がおそるおそる目を上げると、傍らの女看守が日下の前にある小さな証言台の机のほうを顎で指し示していた。憲弘は首をうな垂れたまま、一歩ずつ前へ進み出る。腰紐はまだ結わえ付けられたままで、後ろに控えている別の女看守がその紐の片方をしっかり握っているので、憲弘は飼い主に従順に従う飼い犬のような気持ちだった。証言台の前に立つと、女看守は腰紐をやっと外した。
 「日下憲弘。xx県xxx市xx、xx自動車部品工業社宅xx寮A棟、103号室在住、生年月日、XX年XX月XX日、出生地茨城県XX郡XX町字XX。以上間違いないな。」
 「は、はいっ。」
 憲弘は相変わらず怖くて顔を上へあげられない。女裁判官の声はよく通り、室内に響き渡る。裁判官は壇上から日下を睨み付けながら訴状を読み上げた。
 「日下憲弘。お前は横井光則と共謀し、提訴人、真中紗姫をスタンガンにて気絶させ、手錠、及びロープにて自由を奪い、辱めの行為に及び、最終的には横井と共同で提訴人の貞操を奪い、その一部始終をビデオカメラにて撮影し、その映像を楯に提訴人を恐喝したことを認めるか。」
 「そ、そんな滅相もない。そ、そんなことは致しておりません。」
 日下はぶるぶる身体が震え上がるのを抑えられない。
 「天地神明誓ってそのようなことはないと言えるか。」
 「は、さ、左様でございます。」
 女裁判官は、吃と横を向いて、裁判補佐官たちに目配せする。裁判官の合図を受けて、二人の補佐官が大型液晶モニタとそれに接続するビデオレコーダーの載ったラックを運び入れてきた。
 裁判官が顎で合図すると、補佐官が何やらスイッチを入れてビデオを起動する。
 「あっ、こ、これは・・・。」

尻栓バイブ責め

 日下が見上げた大型液晶画面の正面に股間を露わに大きく広げて縛られている紗姫の姿が映し出されている。が、紗姫の顔部分はモザイクが掛けられていて、それと知らない人には誰が映し出されているかはわからないようになっている。しかし実際その場に居た日下には見紛うことのない、まさにその時の映像だった。そしてその画像を映しているカメラの前を裸の男の背中がよぎった。男も全裸で、画面には見えていない向こう側で男性自身を屹立させているだろうことは疑いもなかった。男はカメラに背を向けたまま、開脚ポーズで縛られている女のほうへゆっくりと近づいてゆく。男が女の前まで到達すると、両手を伸ばして女の尻を抱えて持ち上げる。すると画面横から別の男が仰向けに寝そべった格好で、持ち上げられた女の下に滑り込む。男の股の間にはびんびんに勃起したモノが天を突くように屹立している。女の尻を抱えていた男は女の尻の中心を、その屹立したペニスに向けてゆっくりと下ろしてゆく。そしてその切っ先が女の中心を捉えたように見えた瞬間、男は女の身体を一気に投げ下ろした。音声は出されていないが、女の顔が苦痛に顰められ、大きく口を開いたところから悲鳴を上げたことが容易に想像された。泣きわめきながら身悶えする女を見下ろしていた男は、股間に手をやり身体を落としかけて一旦カメラのほうに向き直って、にやりとほくそ笑む。その顔にはモザイクは掛かっていかった。男は屹立したペニスの根本を手で握って、狙いを定めると塞がれていないほうのもうひとつの秘所に向けて、腰を落としていった。
 「そこまで。そこで一旦停めなさい。」
 女裁判官が制止するとビデオはそこで止められた。
 「日下憲弘、これでもお前はやってないと言い張るのか。」
 画面から引き続いて女裁判官の顔を見やった日下の顔は蒼白になっていて、その額から汗がだらりと流れ落ちた。
 「ど、どうして、これが・・・。」
 「日下、お前が嘘の証言をしたことは明白だ。これは偽証罪にあたるばかりではなく、法廷侮辱罪に当る。よって、当法廷は、被告人に改心の念を抱かせる為、即刻、簡易処刑を行う。看守達、準備しなさい。」
 女裁判官がそう宣言すると、両サイドから女看守たちが日下のもとに走り寄ってきた。それと同時に法廷の後ろの扉が開かれて、大きな木の枠のようなものが台座ごとは運びこまれてくる。それは2本の太い柱の上部に梁を通した鳥居のような格好をしたもので、柱の上部にはそれぞれ手枷がつけられている。日下は女看守等によってその鳥居のような柱に両手をバンザイの形に繋がれてしまう。
 「下半身のものを剥ぎ取りなさい。」
 再び女裁判官が命令すると、日下は囚人服のような麻のズボンの腰紐が解かれ、ズボンとその下のパンツも引き下げられてしまう。殆どが女性ばかりの法廷の中で、日下は下半身裸に剥かれてペニスを晒し者にされてしまった。
 「その醜い陰茎を陰嚢ごと紐で縛りなさい。」
 非情な裁判官の言葉に日下はぎょっとして、憐れみを乞うような顔で女裁判官を見上げるが、日下に向けられた冷徹な眼差しに思わず目を逸らしてしまうのだった。
 「きつく、きつく縛るのよ。」
 「ああ、い、痛たたた・・・。」
 公衆の面前でいきなり恥部を晒し出されて、すっかり萎えきって醜くぶらさげている陰部を看守はこともなげに紐で二重に巻くと、片側に輪を作りもう片方をその中に通して引き解け結びにする。これはもがいて動けば、動くほど締まってゆく巧妙な縛り方だった。
 日下の陰部を縛った紐は両側で柱の中ほどに取り付けられたフックに引っ掛けられ両側でそれぞれ紐の端に鉄アレイのような錘が結わえ付けられた。
 「ああ、ち、ちぎれそうだよ・・・。や、やめてくれえ」
 「さあ、これから法廷で嘘の証言をした罰をたっぷり受けて反省するのよ。いつまでも反省が足りないと、紐が締まっていって、その汚いペニスに血が通わなくなり、去勢されてしまうことになるのよ。」
 「ま、待ってくれ。そ、そんな・・・。なんで、俺だけが・・・、俺だけがこんな罰を受けるんだ。横井だって同罪じゃないか。」
 日下の不満そうな顔に、吃と睨みを利かした女裁判官が言い放った。
 「横井はまだ逃走中よ。だけど逃がしはしないわ。必ず捕まえて同じ法廷に掛けてやるから心配は無用よ。貴方はあなたできちんと罪を宣告され罰を受けるのよ。さ、鞭を。」
 「ち、ちきしょう。横井のやつ。俺だけ置いて逃げやがって。」
 「さ、行くわよ。」
 何時の間にか長い鞭を持ち込んできた女看守が繋がれた日下の背後に廻り、剥き出しの臀部へ向けて狙い籠めて、鞭を振り上げたのだった。
 「ぎゃおおおっ・・・・。」
 打ち据えられた一発目の鞭の衝撃で、日下は悶絶し気が遠くなりながらも、恐怖に失禁してしまっている自分をおぼろげながら感じ取っていた。

金髪

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