看護14

妄想小説

恥辱秘書






第四章 診療所への罠


 三

 美紀は裸の胸を抱えて、立ちすくむ。(どうしよう。)

 控え室のドアを少しだけ斜めに開けて、外の様子を覗う。ドアのすぐ外は真っ直ぐ伸びた廊下になっていて、誰も居る様子はない。その廊下の奥の端に脱衣籠の乗った手押し車が置いてあるのを見つけた。(誰がいったいあんなところへ持っていってしまったのだろう。)
 突然廊下の向こう側、そこは待合室になっているのだが、そこを看護婦の晴江が横切るのが見えた。一瞬声を掛けようと思って躊躇った。待合室まではちょっと遠い。声を掛けるには大声をあげなければならなかった。そうすれば、他の誰かに気づかれてしまう可能性もあった。
 一旦、控え室に戻った。レントゲン技師に言って、取ってきて貰おうと考え、裸の胸を手で抱えて隠すようにしながら、再び撮影室に取ってかえす。
 小窓からそっと覗くと机に向かっているレントゲン技師の白衣の背中が見えた。何やら書き物をしている様子だ。美紀のほうからは後姿で、芳賀だとは気づかない。

 美紀が意を決して声を掛けようとした瞬間に横の扉が開いて看護婦の晴江が入ってきた。美紀は身を隠すようにして様子を覗っていると、晴江はレントゲン技師に話し掛けてきた。
 「あの、これなんですけれど。  ・ ・ ・ 誰かが置き忘れたものらしいのですが。廊下に落ちていたんです。どうしましょう。」
 それはさっき廊下の手押し車の上にあった筈の美紀の下着だった。
 「ああ、そのうち持ち主が現れるでしょ。いいですよ。預かっておきますから。」
 美紀は看護婦が行ってしまうのを待っていた。ドアがバタンと音を立ててしまるのを聞いて、声を掛けようとして美紀ははっと息を呑んだ。
 看護婦が居なくなったところで、レントゲン技師が美紀の下穿きを空にかざして念入りに調べだしたのだ。クロッチの内側を食い入るように見つめている。それからその汚れている筈の部分を技師は顔に近づけると、自分の舌を展ばして舐め始めた。
 (何ということを、 ・ ・ ・ )
 美紀は完全に声を掛けるタイミングを逸していた。もはや(それは私のです)とは言えない状況になってしまっていた。今、汚れを嗅いだり舐めたりしていたものを、「それは自分の局所を覆っていたものです。」とはとても言い出せない。

 技師は散々、美紀の下着を弄んだ。美紀は歯痒かった。自分の身体を嘗め回されているような気がした。最後にはズボンのチャックを下げて、固くなりかけている陰茎を取り出す。背中側なのではっきりは見えないが、美紀のパンティでその一物をくるんでしごきだした。
 (何という破廉恥な男だろうう。)
 美紀は悔しさに憤りを憶える。

 やっとのことで、技師は美紀の下着を離した。男は立ち上がって、ドアから外に出ていく。美紀の下着は丸めるようにして手にしたままだった。

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