新任教師 調教の罠
二十二
コン、コン、コン。
真理子はホテルの部屋を軽く三回ノックする。
「入って来い。ロックはしてない。」
そのホテルの部屋は古いタイプのもので、オートロックにはなっていないようだった。
「入ったら今度は中からロックを掛けておけ。誰かに邪魔されたくないからな。お前だって、誰にも見られたくないだろ、は?」
真理子はすっと中に入ると、ロックを掛ける振りをして一旦掛けたロックをすぐに解除しておく。
「何だ、その格好は? スカートで来いと言っておいただろ。」
部屋の奥へ進んだ真理子の姿を見て、玉城は文句を言う。真理子は動きやすいパンツルックに換えていたのだ。ひと太刀まわりはあるかもしれないと思ったからだ。
「後で着替えるから安心して。それより、先にこの間の動画を見せてちょうだい。」
「ふん。そうかい。あれをみたら、その無粋なパンツを脱ぐ気にもなるだろうよ。ほら、これだ。」
玉城はテーブルに置いてあったデジカメを取ると電源を入れ、動画再生モードに変える。
真理子はよく見えないという顔をしながら、目を細めて玉城が差し出しているデジカメに顔を近づける。
「どうだ。よく撮れているだろ。は? どうだ。恥ずかしいか?」
「ふん、確かに撮れているわね。ちょっと貸して。」
真理子は玉城が答える前にデジカメを引ったくっていた。
「何するんだ。そいつはお前には渡さねえぞ。」
真理子は無視してデジカメからメモリーカードを抜き取る。
「あなた、校長に私がイメクラで働いていたって、ばらすって言ったわよね。それって、何か証拠でもあるの?」
「何をいまさら言い出すんだ。あの店の連中だって、お前の事を見てるんだぞ。どんなに否定したって・・・。」
「証拠はないのね。じゃあ、校長が信じるかしら? 言っておくけど、あの店の人達は私の方の味方よ。あんたの為に証言なんかはしないと思うわ。」
「な、何を言ってるんだ。お前があの時汚したパンティだってあるんだぜ。」
「それが私のだって証明できるの。DNA検査でもしてみるっていうの?」
「ひ、必要がありゃ、それ位のことはしてやらあ。」
「あんたをしょっぴいてく警察が許してくれればの話ね、それは。」
「俺をしょっぴく・・・? だと・・・?」
「ここにアンタが私を脅している電話の録音があるのよ。私が申告すれば即刻、立件・逮捕ってことになるわね。」
「ま、待てよ。何、言ってるんだ。」
「私をはっきり脅している男の録音テープを持ってきた女と、自分が脅している女がイメクラで働いていたって言い張る男の証言と、どちらが信憑性があるかしら? というか、どっちが犯罪行為かしらね?」
「そ、そんな・・・・。お、俺を脅そう・・・ってのか。」
「あら、脅しなんかじゃないわよ。本当に警察へ突き出すって言ってるの。証拠付きでね。」
「ま、待ってくれ。ちょ、ちょっと・・・。」
「西尾くーん。そろそろいいわよ。入って来て。」
真理子がドアに向かって叫ぶと、突然ドアが開いて西尾が姿を現す。
「な、何だ。てめえは?」
「真理子先生の用心棒ってとこかな。荒業専門のね。じゃ、先生、行くよ。」
そう言って西尾は真理子の横をすり抜け、玉城の傍に詰め寄るといきなり玉城の鳩尾目掛けて蹴り上げる。
「うう、な・・・、何しやがんだ。て、てめえ・・・。」
しかし西尾の不意打ちは一発に留まらなかった。堪らず、玉城は腹を抑えてその場に崩れ込む。その玉城の手首を捉えると、捩じり上げて上へ持上げる。
「あいたたた・・・。」
玉城が悲鳴を挙げたところで、西尾は尻のポケットから手錠を取り出すと真理子に渡す。真理子は何度も練習した通りに、さっと玉城の手首に手錠を掛けて輪をすぼめると傍らのベッドの鉄の柵に通してから西尾が捕まえたもう片方の玉城の手に掛けてしまう。
「さあて、今日のメニューは何かな?」
そう言いながら西尾は玉城が用意してきたらしい紙袋を取り上げて中を検める。
「ははあ、浣腸キットかあ。まさか、これを自分にさせられる羽目になるなんて思いもしないよな。あれっ、アナル栓まで用意してある。随分、準備がいいねえ。さ、先生?」
声を掛けられた真理子は玉城の正面に立つと、教えられた通り玉城の向う脛目掛けて強烈な蹴りを入れる。玉城はすぐに足が痺れて反撃することも叶わなくなる。
「じゃまなズボンは降ろしてあげるわね。」
そう言うと、今度は手錠で繋がれた玉城の背後に廻り、ズボンのベルトを緩めるとそのままトランクスごとズボンを降ろして玉城の下半身を裸にする。
「や、やめろ・・・。そ、それは・・・。」
しかし、悲鳴を挙げた玉城が最後まで言い切る前に、真理子の持った浣腸器の切っ先は玉城の肛門に深く刺さっていたのだ。
「ギャアゥゥゥ・・・・。」
「さ、このアナル栓をしてあげるから、暫く我慢するのよ。少ししたらホテルマンたちが部屋の絨毯を汚されないように処置をしにくるでしょうから。」
「や、やめてくれぇ・・・。」
最後のほうは声の元気もなくなっていた。
「あなたの息子さんが、イメクラ通いをしていたって知ったら、どう思うかしらね。それでそのネタで脅迫をしてたなんて知ったら、もう受験勉強なんて放っぽり投げてしまうかもね。それよりもあなたの雇い主の議員先生。このこと知ったらどうするかしらね。トカゲの尻尾切りぐらいの事で済めばいいけど。甘いかしらね?」
真理子はその後どうなるかを玉城にしっかり言い含めると腹の中の痛みに悶え苦しむ玉城を置いて、西尾とホテルの部屋を出たのだった。
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