夜の電話

新任教師 調教の罠



 十九

 男は仕事が入ったという妻に頼まれて、渋々息子の授業参観に出掛けたのだった。しかし思ってもみなかった幸運をそこで見つけたのだった。
 (これは何としてでもモノにして、あいつを俺の性の奴隷にしてやろう)
 そう考えた男は駄目押しで、真理子が言う事を聞かざるを得ないことを思い知らせる為に、更に強固な脅しを掛けることにしたのだ。
 「あ、xx中学の校長先生ですか。息子がいつもお世話になっています。・・・。あ、そうです。それでですね、ちょっと校長先生のお耳にいれておきたいことが。・・・。あ、そういうことです。実はですね。オタクにxx真理子先生っていらっしゃいますよね。・・・。そうそう、その方です。実はひょんなことから、妙なお店でお見かけしましてね。・・・・。そう、お店に勤めておられたんですよ。・・・・。あ、それは今はちょっと教えるわけには。・・・・。そう、先生に直接お確かめになって貰ったほうがよろしいかと。・・・・。じゃあ、よろしく。」
 男はこれから起こるであろうことに、にやりとほくそ笑むのだった。

 「あ、真理子先生? 夜分にどうも済みません。じつは、妙な告発電話がありましてね。・・・・。そういうことです。でね、事実確認を致したくて、明日、授業の空き時間がありますよね。その時にちょっと校長室まで御足労頂きたいのです。学校としても、嘘か本当かわからない話を放置しておくという訳にもいきませんので。・・・。そうですか。ではその時に。」
 突然の校長からの電話に、真理子はすっかりうろたえてしまった。校長にはどこまで伝わっているのか判らないので、迂闊なことは言えないとは思うものの何とか言い繕わねばならない。
 真理子は首謀者の西尾に相談しようと決心した。しかし、西尾個人の連絡先はわからない。まさか西尾の家に電話する訳にはゆかないと思ったのだ。
 (そうだ。芳賀さんなら知っているかもしれない。芳賀さんを通じて西尾に逢えるように連絡して貰おう。)
 そう考えた真理子は、芳賀友理奈の連絡先を生徒名簿から探し出したのだった。

 芳賀友理奈を通じて視聴覚室に呼び出した真理子は、内側から鍵を掛けて誰も入って来れないようにしてから、西尾に全てを打ち明けた。今更、西尾には自分が受けたどんな恥ずかしい事も隠しておいても仕方ないし、何より自分の窮地をちゃんと理解して貰った上で相談したかったのだ。
 「その男は玉城っていうんだ。お前が担任をしてるクラスに居るだろ。いつも辛気臭くしてる奴だ。」
 「あの玉城君の親だっていうの?」
 「そうだ。知らなかったのか。なにせ、あのイメクラの常連客だからな。」
 「もう校長にまで告げ口してるのよ。もう終わりだわ。校長に何もかも話して、私は教師をやめるわ。」
 「そんな事していいのか? お前は赤っ恥を掻くだけだが、あいつはどうなる?」
 「あいつって・・・?」
 「岩清水だよ、あんたが筆おろしさせてやった。いろんな事が明るみにでりゃ、そこまで話がいくだろ。そしたらあいつの人生もお終いさ。」
 「ああ、そんな事・・・。駄目よ。彼には将来があるんだから。」
 「だったら、全てを告白するなんて考えるんじゃないって事さ。お前にはまだまだこの学校でして貰わなくちゃならない事があるからな。」
 「私にまだ何かさせようと言うの?」
 「そうさ。次のターゲットは校長だ。」
 「え、校長先生・・・?」
 「校長にしろ、玉城にしろ、俺の言う通りにすれば全て解決さ。これから話すシナリオをよおく頭に叩き込んでおくんだ。いいか?」
 真理子は西尾から延々と作戦を授かるのだった。

真理子

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