体育館

新任教師 調教の罠



 十二

 西尾に命じられて真理子が岩清水に仕掛けた行為は、岩清水の性への欲情を掻きたててしまうものにはならないかという懸念はずっと抱いていた。だからあの翌日は岩清水には接触しないように努めようと念じていた真理子ではあった。しかし、翌日出勤した真理子はその決意も空しく裏切られることになる。職員室の真理子の席には目立たぬようには置かれていたものの、岩清水からの呼び出し状を秘めた封筒が置かれていたからだ。それがしかも、西尾が唆して置かれていたものだとは、真理子も思いもしないのだった。
 <今日の放課後、あの体育館用具室に来てください。来なければ全てを校長に話すことにします。>
 「校長に」のひと言で、真理子は俄かに窮地に追い詰められたことを知る。幸いその日は岩清水のクラスの授業は無かった。真理子は他のクラスで授業を進めながらも、考えているのは岩清水をどうやって宥めるかということばかりだった。そしてとうとう放課後という時間がやってきてしまった。まだ中間試験は始まっておらず、相変わらず部活は休止状態にあり、放課後の体育館には誰も居ない。
 体育館へ向かう足取りの最中もずっと、一日中考えていた岩清水への台詞を反芻していた。
 (岩清水君、違うのよ。あれは私がある人から強要されていたことなの。私たちはそういう関係になってはならない立場なの。分かって・・・・。)
 そんな言葉が通用するかどうかは真理子にも自信がなかった。しかし、そうしなくてはならないのだと何度も自分に言い聞かせていた。
 「岩清水君・・・。居るの?」
 体育館の用具室はしんとして静まり返っていた。おそるおそるその中へ踏み込んだ真理子はいきなり背中をどんと押されて、お誂え向きに用意されていたかのような体操マットの上に転がりこんでしまう。
 「あ、いやっ。誰っ?」
 岩清水は用具の陰に潜んでいたに違いなかった。振向いた時には用具室の入口扉の取っ手に鎖を回してそこに錠を掛けている岩清水の背中を発見したのだった。用具室には内側から掛ける鍵はない。その代りに扉同士に付いている引き戸の取っ手を鎖と錠で固定してしまえば、完全な密室になってしまうのだった。
 「な、何をするの? 岩清水君・・・。」
 その日も着用することを命じられたかなり短いタイトスーツのスカートの裾の乱れを直しながら真理子は背後の岩清水に決然とした態度を守りながら言い放つ。
 「先生っ・・・。ゆうべ、一晩眠れませんでした。・・・。先生の事を考えると、もう頭がいっぱい、いっぱいになってしまうのです。」
 「だ、だから、それは・・・。今、ちょっと説明させて。あの・・・。」
 しかしそこからの岩清水の動作は機敏だった。体操用マットにうつ伏せになっていた真理子の上に飛び移るようにのしかかると、真理子の腕を捉えて捩じ上げる。
 「あ、何するの・・・?」
 そう言う真理子は、あっと言う間に手首に縄を巻かれていた。
 「えっ?」
 真理子が考える間を与えられないうちに両手首が岩清水が隠し持っていた縄で背中で繋がれてしまう。
 「い、いやっ。縛らないで・・・。」
 しかし、その言葉を発した時には既に真理子は両手の自由を奪われていたのだった。岩清水は真理子を後ろ手に縛り上げると、馬乗りになったまま真理子の身体を仰向けにさせる。
 「い、岩清水君・・・。」
 真理子の目には、岩清水が欲情に火が付いた血走った目をしているのが手に取るように判る。
 「何故縛ったりするの?」
 「それは、今日という今日は、絶対最後まで男としてやり遂げたいからさ。昨日はつい先生の口の中でイッてしまったけど、それじゃ童貞を卒業したことにはならないだろ。どうしてもそこはやり遂げたいんだ。それに・・・。」
 「そ、それに・・・?」
 「ある人に言われたんだよ。その・・・、先生は・・・、あの時には縛られたほうが燃えるんだって。」
 「え、何てことを言うの。誰っ? ある人って。」
 真理子にはすぐに西尾のことが頭に浮かんでいた。不良の西尾と優等生の岩清水が会話している構図など、どうしても頭に浮かばないのだが、そんなことを岩清水に吹き込むとしたら西尾しか考えられないのだった。
 「先生には教えられないよ。でも、本当に先生が燃えているのかは簡単に確かめられるってさ。スカートの下のパンティが濡れて沁みを作っているかをみればすぐに判るって。」
 「い、嫌っ。駄目、そんな事しないで。」
 「もう無駄だよ。だって、スカート、捲れちゃっててあそこ、丸見えだから。」
 「いやっ、見ないで・・・。」
 「凄いよ、先生。こんなになっちゃうんだ。」
 「ああ、やめて・・・。」
 「先生もこっち、見てよ。」
 岩清水は真理子の上に跨ったまま、ズボンとトランクスを纏めて降ろす。出てきたものは既に屹立している。そして昨日まで包茎だった筈の亀頭は見事に剥かれている。
 「昨日、先生に剥いて貰ってからずっと我慢して剥きっ放しにしてみたんだ。一晩経ったらもう全然痛くないし、先生の事考えただけで、こんなに反り返っちゃうんだ。」
 「うっ・・・。」
 真理子はつい(凄いっ)って言ってしまいそうになって慌てて言葉を呑み込んだ。
 「じゃあ、パンティ脱いで貰うよ。」
 「だ、駄目っ・・・。岩清水君・・・。お、落ち着いてっ。」
 「落ち着くのは、先生のほうだよ。先生のここは、もうしたくてたまらないって言っているよ。」
 「ち、違うわ。私は先生よ。そして貴方は生徒なの。こんな事、してはいけないわ。」
 そう言いながらも、真理子は直近の生理日が何時だったか思い出そうとしていた。
 (たしか、今日なら安全日の筈・・・。)
 「ねえ、岩清水君。男と女がそういう事すると、妊娠するってことがあるの。わかるわよね。妊娠っていうのは責任が伴うことなのよ。今の岩清水君と私ではそういう責任は取れないのよ。わかるわよね。」
 「大丈夫だよ。もし先生が妊娠したら、ちゃんと責任は取るから。」
 「責任なんか、取れる訳ないじゃないの。わかったわ。いい。約束して。今回だけはさせてあげる。でも今回だけよ。約束出来る?」
 「・・・。ふーむ。じゃあ先生も約束してくれる? 今回だけにするけど、次、ボクがしたくなったらこの前みたいに口でしてくれる?」
 「え? そ、それは・・・。」
 「口でなら、妊娠はしないでしょ?」
 真理子は迷った。しかし、この場を何とか打開するにはそう答えておくしかないと一瞬で判断したのだった。
 「・・・。わ、わかったわ。約束する。だから、今回だけよ。いい?」
 「勿論だとも。じゃ、いれるよ。ほらっ。」
 「あっ、ああっ・・・。」
 真理子は岩清水の猛り狂うような肉棒の熱さに、気を喪ってしまいそうになる。
 「ああ、凄い。凄いわ。ああ・・・。」
 「先生っ、いい気持だっ。これが男になるってことなんだね。」
 「い、岩清水くぅん・・・。抱いてっ。強く、抱いてっ。キスしてっ・・・・。ああ、いいっ・・・。」
 ジュっという音が聞こえたような気がするほど、熱い迸りが真理子の体内に充満したように思えた。その放出の後もしばらくは岩清水の肉塊は、真理子の膣内を威圧的に占拠していた。
 岩清水が萎え始めたその肉塊を抜こうとした時、真理子はつい(待って)と口走りそうになるのを必死で堪えた。
 真理子が(解いてっ)と言う前に、岩清水は優しく真理子の上半身を抱き起すと、縄を解き始めた。真理子は無言で岩清水のするがままに任せる。
 「先生。ボクは先生が僕の最初の相手で良かったって思っている。これで先生の言うように、勉強にも集中出来る気がする。ありがとう、先生。」
 そう言われた真理子には素直に良かったと返せない複雑な思いが残ったのだった。

真理子

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