派遣通訳女子 屈辱の試練
十七
美姫子が事務所の一番奥にある部長席に近づいていくと、ちょうど部長の鬼木が腰巾着の部下、磯貝課長補佐にSDメモリの中身をどうやってパソコンで観るのか教えて貰っているところだった。
「あ、磯貝さん。そういう事でしたら私が部長のお手伝いを致しますわ。」
「そうかい。私もパソコンの扱いはそんなに詳しくないんで、助かるよ。いいですよね、部長。」
「勿論だとも。倉持君、頼むよ。」
「これですか。どうしたんですか、このSDメモリ?」
「何か、中島君が持ってきたんだが、怪しげなものが入っているらしいっていうんだ。」
「怪しげなもの? それじゃ、こういうオープンスペースで開くのは問題があるかもしれません。プライバシーに関わるものかもしれませんし。どこか、みんなが居ない所で一度開いてみるのがいいかもしれません。」
「それもそうだな。じゃあ、所長室のパソコンでやってくれるかな。」
「承知致しました。」
美姫子は鬼木がまだ中身を見ていないのを知って、何とか何処かで消去するかすり替えねばと思いながら、鬼木と一緒に所長室へ向かう。
「鬼木部長。念の為に所長室の内鍵を掛けておいて貰えませんか。」
「そうだな。君、鍵を掛けてきてくれ。」
美姫子は部長に部屋の鍵を掛けて貰っている一瞬を突いてSDカードをすり替えようとしたのだが、それは失敗に終わった。鬼木は先に所長机に座って美姫子が戻ってくるのをじっと見つめながら待っている。
美姫子は部屋の隅から予備のスツールを持ってくると、鬼木の椅子の隣に置いて所長用のパソコンに向かう。
「えーと、キーボードとマウスをお借りしますね。今、準備致します。」
美姫子はわざと膝を鬼木の方に向けてパソコンに対して横向きになるように座る。鬼木に命じられたかなり短めのタイトスカートなので、座ると裾がずりあがってしまう。両腿をぴったりくっつけて座っているので、ぎりぎり下着が覗いてはいない筈だが、少し油断すると裾の奥を覗かれてしまう。鬼木の目が時々ちら、ちらっと美姫子のスカートの裾のほうに泳ぐのを美姫子も気づいている。なんとか注意をそちらに逸らさせて、隙を見てSDカードをすり替えようと思っていたのだ。
「ああ、これは開くのに特殊なソフトが必要なタイプの書式ですね。えーっと、ネット上からソフトを捜してダウンロードしますので、もう少々お待ちください。あーっと、この番号だわ。部長、済みません。この番号をメモしたいので、ペンを貸してくださいませんか。」
「ペンか。こんなんでいいかね。」
鬼木が胸のポケットから万年筆を抜き取って美姫子に手渡そうとする。その万年筆を受け取ろうとして美姫子はわざとそれを取り落とす。
「あ、済みません。」
「いや、いいよ。私が拾うから。」
そう言って鬼木が机の下に身を屈める。それを見て美姫子はさりげなくぴっちり閉じていた膝を少しだけ開く。
「あれ、どこ行ったんだ。」
美姫子には鬼木が万年筆を捜す振りをして自分の膝の奥を覗きこんでいるのを感じながら、マウスを急いで操作してSDメモリの消去ボタンを押す。画面に消去中の表示バーが現れて、どんどんメモリが消去されていくのが判る。
(あと、もう少しだわ。)
美姫子は更に膝を開く。
「あ、あった。」
鬼木が机の下に手を伸ばす振りをしながら、美姫子の膝頭に更に頭を寄せる。目はしっかり開かれた両膝の奥を覗きこんでいた。
消去完了の文字が出たのを確認すると、さっと膝を合わせる。
「部長、どうもこのSDカードは壊れていますね。」
「え、どれどれ。ほんとかね。」
「ええ、ほら。<このフォルダは空です>って表示されてますよね。でも普通はインデクスファイルっていうのはある筈なので少なくともそれは表示される筈なんですよね。それが無いってことは壊れているってことなんです。」
「なんだ、そうなのか。中島のやつ、壊れたメモリカードなんか持ってきやがったのか。」
「部長、これどうしますか。私が廃棄しておきましょうか。」
「ああ、そうだな。壊れているメモリじゃしょうがない。捨てておいてくれ。」
「承知いたしました。それじゃ失礼します。」
「ああ、ご苦労さん。」
美姫子が立ちあがって所長室を出ていくのを確認すると、鬼木は机の抽斗を開いて別のSDメモリを取り出す。
(俺があらかじめSDカードをすり替えておいたとも知らずに、下手な演技をしやがって。馬鹿な女だ。俺がパンチラに気を取られている間にメモリを消去したと思っているようだが、こっちはおかげでばっちり覗かせて貰ったぜ。今時、SDカードの読み出し方も知らないと思われているとは俺もみくびられたものだ。さて、それじゃもう一回峰不二子がションベン垂らすところを拝ませて貰うことにするか。)
鬼木は心の中で美姫子の事をそう蔑むと、スーが撮ってきた動画を再生してほくそ笑むのだった。
一方のスーは美姫子の恥ずかしい動画を録ったことで溜飲を下げていた。美姫子には鬼木に没収されたのだと話したのだが、実は自分からいいものを見せるからと鬼木に差し出したのだった。スーは鬼木が美姫子に気があることに気づいていた。それもあって美姫子が股間からゆばりを垂れ流して放尿しているところを観れば百年の恋も醒めるだろうと見込んでのことだった。しかし、それは逆効果だったのだ。鬼木は美姫子が放尿する様を見て、益々美姫子を自分のものにしたいという思いを新たにしていたのだった。
美姫子が申請している日本帰化の届けは、鬼木が匿名で不当就労をしているから調べて欲しいと法務局に垂れこみをすることで保留にさせていた。美姫子が日本国籍を持っていない限りは、それをネタに脅して言うことを聞かせることが出来る筈と考えていた。しかし性急にそれを迫ることで美姫子を失うことも鬼木は怖れていた。それだけ美姫子を気に入ってしまっているのだった。前回、スーが自分からフェラチオを仕掛けて来た時に中折れしてしまったのは、スーの顔を直接見てでは勃起を持続出来ないことに気づいたのだった。スーが目隠しをしてフェラチオしてくれていた時に、鬼木は美姫子にそれをさせているのだと夢想していたのだった。
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