スー秘書就任

派遣通訳女子 屈辱の試練



 十二

 その日の午後一番に、朝礼とは別に昼礼として皆が招集されたのだった。
 「えー、部長は会議があって本社の方へ出張されましたが、部長からレジュメを預かっておりますので、代読させて頂きます。」
 皆の前でそう告げたのは、本人は部長の腹心の部下というつもりでいつも用を言いつかっている磯貝課長補佐だ。

 「急な話なんだが、本日から女性派遣社員のリーダー役は倉持君に代わって中島君にやって貰うことになった。部長の秘書役も中島君にやって貰う。倉持君、引継ぎをちゃんとやっておいてくれ。」
 「え、どういう事? 藪から棒に。ね、倉持さん。何か事前に聞いてる?」
 磯貝の唐突な宣言にすぐ横の倉持本人にこっそり耳打ちしたのは、当初から派遣で雇われている石上だった。
 「いえ、私も今初めて聞きました。でも、部長の秘書を降りられるのは却って嬉しいわ。派遣社員のリーダー役だって気が重いだけで、私はあまり気が乗らなかったのだから。」
 「そうなの? 何か格下げって感じで嫌味じゃない?」
 「そんな・・・。別にそんな事、思ってないわ。」
 美姫子はあの鬼木と二人だけで一緒の部屋に居なくてはならない時間が無くなるというだけでほっとしていたのだった。
 「展開事項は以上だ。他に何か・・・。」
 「あ、磯貝課長補佐。あの、私の机と倉持さんの机を入れ替える必要があるので、若い男性にこの後手伝ってくれるように言ってくれませんか。」
 「ああ、そうだね。そしたら、大熊さんと戸川、二人で机の入れ替え手伝ってやれ。じゃ、解散。」

 「部長秘書兼任となると、何かと部長のすぐ傍に居なくちゃならないから。部長のすぐ傍の席は私って事になるの。悪く思わないでね、倉持さん。」
 「悪くだなんて。そんな事、思いませんわ。宜しくお願いね。」
 「あら、タメ口? リーダーに対して随分気安いわね。」
 「あ、失礼しました。宜しくお願い致します。」
 「ああ、そうだ。貴方、部長から秘書用の携帯を預かっていたでしょ。これからは私が使うんだから寄こしなさいよ。」
 「ああ、そうですね。はいっ、これです。どうぞ。」
 「アンタの名前はもう用済みだから消しとくわね。何か文句ある?」
 「いえ、そんな・・・。」
 「あの、中島さん。倉持さんの席は中島さんのすぐ後ろでいいですか?」
 大熊と一緒に倉持の机を持ち上げていた一番の若手である戸川が中島に訊ねていた。
 「違うわ。一番後ろよ。一番端っこ。」
 さも、一番末席だと言わんばかりの口調だった。
 「石上さんのすぐ後ろね。私もその方が気が楽だわ。よろしくね、石上さん。」
 「あ、倉持さん。昨日、頼まれていた英語版のマニュアルね。今日中に仕上げて私の所に持ってきて頂戴。私がチェックして部長に渡すから。いいわね。」
 そう言い付けるとさっさと部長のすぐ前の新しい自分の席に戻っていく中島だった。その仕事は磯貝から倉持と中島の二人で分担してやるように頼まれていたものだった。
 「何よ、あの人。リーダーを言いつかったからって何から何まで上から目線ね。ねえ、貴方。二人で分担してやるように言い付かった仕事、押しつけられてない?」
 「いいのよ。チェックはしてくれるっていうんだから。今日中にって言ってたから急がなくちゃ。すぐに始めるわ。」
 そう言い切ると一番末席に設けられた自分の席で、積み上げられた日本語原稿を一枚ずつ繰り始める美姫子だった。

 「私のお願いを聞いてくれて、派遣グループのリーダーに任命してくれてありがと。今日も精一杯サービスさせて貰います。部長が心からリラックス出来るように。さ、ここのソファに仰向けに横になって。」
 所長室の鍵を内側から掛けてしまうと、スーは鬼木にソファで寛ぐように薦めながら、そのソファの前に片膝を折ってしゃがんで鬼木が来るのを待つ。その日も股下ぎりぎりまでしかない超が付くミニのタイトスカートなので、真正面に来れば下着が丸見えの筈だ。
 「この間みたいに、このネクタイを解いて目隠しにしてくれないか。そうすると余計に感じる・・・、あ、いや、リラックスするんだ。」
 「いいですとも。いま、外して差し上げますわ。はい。えっと、きつくないですか。」
 スーはソファに腰掛けた鬼木の背中側に回り込んで鬼木の頸から外したネクタイを目の周りに巻いて後頭部で括り付けると、鬼木の背中に手を当ててゆっくりとソファに寝そべるように導く。
 「あら、もうこんなになっちゃってる。」
 そう言いながら、スーは鬼木のズボンのベルトを緩めチャックを降ろしながら下着に手を突っ込んで硬くなってゆく肉棒を探るのだった。
 探り当てた肉棒を下着の外に引き出すと、スーは唇をあてる。
 「うっ、ああ、いい。」
 「もっと気持ちよくさせてあげますわ。」
 チュポッ。
 スーが口を窄めて吸い上げるようにすると、鬼木の呻き声が更に高くなる。鬼木はネクタイで目隠しをされているので、スーがしている事を頭で想像しながら身を任せている。しかし、スーは鬼木が目隠しをされている為に想像している相手がまさか自分ではないことに気づいていないのだった。

mikiko

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