妄想小説
覗き妻が受ける罰
第五章
「奥さん。随分、凄い格好をしてたな。だって、パンツ降ろしてスカート捲ってんだからな。あそこが丸見えだったぜ。」
「い、嫌っ。言わないでっ。」
「あそこの毛、ばっちり覗かせて貰ったぜ。」
「お願い。言わないで・・・。」
「そうとう淫乱なんだな。自分からあそこを丸見えにして見せつけるなんて。」
「ち、違うわ。違うのよ。したくてしてるんじゃないの。命令されてるの。命令されて、仕方なく従っているだけなの。」
「へえ、あんな格好、命令されてやってるなんて、どんな弱味を握られてるんだい。」
「言えないわ、そんな事。」
京子が顔を上げると、例の男が自分の事を蔑むように見下ろしている。京子は蹲って両手で膝を抱え込んでいる。
「これだろ。こいつのせいなんじゃないのか。ほれっ。」
そう言うと、男は京子の目の前でズボンのチャックを下すや、社会の窓からペニスを取り出す。ズボンとパンツの圧迫から開放されて、そのモノはもう鎌首を擡げ始めている。
（大きい・・・。ああ、なんて大きいの・・・。）
「欲しいんだろ、こいつが。さあ、咥えさせてやるよ。ほれっ。」
そういうと、硬さを増してきている肉棒を京子の頬になすりつける。
「嫌っ、やめて・・・。」
「嘘つけよ。正直になってしたい事、してみろよ。」
男はそういうと、両手で京子の髪を掴み上向かせる。髪を引っ張りながら京子の顔面を怒張したモノに更に近づけようとする。
「いやっ。嫌だったら・・・。」
膝に回していた両手を挙げて、自分の髪を掴んでいる男の手を振り払おうとするが、男の手がしっかり髪を掴んで離さないので京子はとうとう怒張した陰茎を唇にあてられてしまう。
「むむむむ・・・。」
その怒張は京子の固く閉じた唇をこじあけようとしている。
「だ、駄目っ・・・。」
そう言おうとして口を薄く開くつもりだったが、とうとうかちかちに勃起したペニスを口の中に捻じ込まれてしまう。
「あぐっ・・。あふあふ・・。」
最早、声を挙げることも出来ない。どんどん奥まで差しこまれるので顎が外れそうなほど口を開かなければならなくなる。
「とうとう咥えたな。スカートも乱れてパンツが丸見えだぜ。」
京子ははっとなった。顔面に押し付けられた男根に気を取られていて、下半身のほうがおろそかになっていた。慌ててスカートを抑えようと男の手を放そうとすると、今度は逆に両手首を男に捉えられてしまう。両手の自由を失っただけでなく、手首を掴まれたまま自分の後頭部におしやられて、顔を更に男の股間のほうに押し付けられてしまう。スカートの乱れも最早自分では確認することさえ叶わないのだった。
（ああ、もう赦して。息が苦しい・・・。喉が苦しい。涎が垂れそう。もう、無理っ。こんな事、夢よね。夢であって欲しい・・・。夢？ えっ、夢？）
その時、京子はふと我に返った。
（あれっ・・・。）
京子は自分がベッドに横になっているのに気づいた。両手を万歳のように耳の傍まで持ち上げていたが、誰からも抑えられてはいない。胸に手を当ててみて、いつものネグリジェを着ていることに気づいた。
（夢だったのだ・・・。）
ゆっくりと深呼吸してみる。息は乱れてはいないが、心臓は高鳴っている気がした。おそるおそる下半身に手を伸ばしてみる。ネグリジェの裾は乱れて、かなり捲り上がっている。ショーツの底布に手を当ててみて、その部分が湿り気を帯びているのを自分で確かめるのが怖かった。
京子はフェラチオというものを経験したことがなかった。夫が初めての相手というぐらい晩生だったし、結婚してみたら意外と夫は性に淡泊だということがわかり、夫からフェラチオを求められたこともなかったのだ。
フェラチオという行為があることは勿論知っていたし、興味もあった。しかし、それは美容院で女性雑誌の頁で待合室でこっそり人目を憚りながら読む記事を通じて知った知識であって、自分の実体験の世界ではなかったのだ。
京子は自分が体験したことのないことを夢に見た事で、少なからずショックを受けた。自分の潜在意識の中で、それをしてみたいという思いがあったのではと言う事を否定出来なかった。夢の中での感触を思い返してみても、どんな感じだったか思い出すことが出来ない。とにかく苦しかったような気がするだけなのだった。
鳥の囀りが、夜が明けようとしていることを告げていた。
昨日の晩に起きたことを思い返してみようとした。どこまでが現実で、どこからが夢の世界なのかだんだん判らなくなってきていた。しかし、自分はある男に命令されて、ショーツを膝まで下した状態でスカートの前を捲っていたような気がする。いや、それは現実だったに違いないと思う。現実ではないと思いたいのは単なる願望なのだと京子は悟っていた。
（そうだ。あの時、アイマスクの端に閃光がひらめくのを感じたのだった。おそらくは恥ずかしい格好を写真に撮られたに違いない。）
そう考えると、もうそろそろ男の嫌がらせの命令は終わるのではないかという気がしてきた。
（股間を晒して写真まで撮られたのだ。これ以上もう何をやらせる必要があるというのだ。）そんな思いが京子に浮かんできた。それはもうこれで終わって欲しいという願望でもあった。
水が飲みたくなって、階下の台所へ降りる。その時、ふと玄関の郵便受けに目が留まる。もう何もありませんようにと祈るような気持ちで眺めたそこには、京子の密かな願いをあざ笑うかのように、これまでと同じ封筒が差しこまれているのを、京子は絶望感にさいなまれながら発見したのだった。
（今度は股間の毛を全部剃り落してから同じ格好をする事。今度は２０分だ。）
もう終りだろうと思っていた自分が全然甘かったことを京子は思い知らされた。男は今度は剃毛を命じてきたのだ。以前に水泳教室に通っていた際に、脇の部分だけを少し剃ったことはあった。水着から陰毛がはみ出ないようにという身嗜みとしての行為だった。しかし、男の命令はそういう事ではない。全部剃り落せというのだ。それが大人の女性にとってどれだけ恥ずかしい事か。そればかりか、その無毛になった股間を自分からスカートを捲って晒せというのだ。こいつは変態だと罵られても弁明のしようがない。それを男は要求しているのだった。
（何とかしなくちゃ。こんな事を続けていたら、とんでもない事に行きついてしまうわ。）
しかし、相手の顔も居場所も知らない。京子の方からの連絡方法さえ何もないのだった。
（そうだ。男は毎回、あの公衆トイレにぶら下げたアイマスクが入った袋を回収している。その現場を抑えればいい。ビデオカメラを仕掛けて夜中ずっと撮影しておけば、あの男について何か掴めるかもしれない。）
どこまで掴めるかは判らないにせよ、何らかの手掛りにはなる筈だと京子は考えたのだ。
（ビデオカメラは夫が使っていたのが夫の部屋のクロゼットの何処かにある筈だ。使い方は説明書を読めば分かるだろう。それを階段上の公園を見下ろせる窓の所に三脚で据えておいて、小さく窓を開けてずっと撮影しっ放しにしておけば、男が回収に来た時をカメラに収めることが出来る筈だわ。）
京子は何とかこの事態を終わらせる為に出来ることは何でもする気になっていた。
風呂場で自分の股間の毛を剃り落すのは、なかなか出来ないでいた。それをしないで済む方法を頭でどう考えてみても、答えは見つからなかった。剃刀は夫が時々風呂場で髭を剃るのに使っているものが残っていた。石鹸を泡立て、股間に塗りたくる。夫の髭剃りを手にして股間に当てようとするのだが、どうしても躊躇われてしまう。残酷にも時間はどんどん経っていく。しかしそれを逃れる手立てはどうしても見つからないのだった。
最後に京子は勇気を振り絞って、股間に髭剃りを走らせた。黒い縮れた毛の塊りがシャボンの泡と共に風呂場のタイルにポトリと落ちた。それを見ると、もう京子は躊躇しないことを決めた。
風呂場の前の姿見に陰毛を失った股間を写してみて、京子はあまりの淫らさに泣きそうになった。そこまで自分が貶められたのだと言う事を痛感したのだった。淫毛を失った幼女のそれのような股間は思った以上に卑猥だった。大人の女性が他人に見せられる姿ではなかった。
（でも、今はこうする他はないのだわ。何とか男の隙を突いて反撃に出るチャンスを掴まなければ・・・。）
そう思って勇気を奮い立たせる京子なのだった。
その夜は家を出る前に事前にビデオカメラをセットし、階段上の窓を少しだけ開いてそこからビデオカメラのレンズを外に向け、起動を開始してから出たのだった。その分、それまでの時と違い、ただ単に言われるがままにされていたのではなく、反撃の糸口を掴むべく、自分なりの罠を仕掛けて出てきたつもりだった。そのせいなのか、京子は自信に満ち溢れてというと語弊があるが、少なくとも何時になく自信を持って行動していた。恥ずかしい身を晒さなければならないとしても、それは何処かで反撃に出る機会に繋がるのだと自分に言い聞かせていた。
何時もの公園の前に立つ。何時も通り、しいんとしていて人っ子ひとり居ない。近隣の家々は灯りが点っているところもあるが、すっかり消えてしまっているところも多い。勿論、自分をこの場所へ呼び出したらしい男の姿も見えない。
京子はいつもの公衆トイレの前へ進む。しかし、この日に限ってこれまでと違うことがあった。京子に着けさせる為のアイマスクを入れた袋が掃除用具室のドアノブに掛かっていないのだ。
（男は来なかったのだろうか。もしそうならば、あんな辱めをもうする必要が無いということなのか。どうしよう・・・。）
京子は自分の家の二階の階段上にある窓のほうを観てみる。窓が薄らと開いていて肉眼では見えないが、その向こうにビデオカメラのレンズがこちらを向いて作動している筈だった。
（そうだ。今日は撮影をしているのだ。もしあの男が自分の姿を覗きに来るのだとすればあのビデオカメラがその姿を捉えるに違いない。だとしたら、今日も男が要求してきた痴態を見せれば、あの男の姿をビデオカメラでとらえることが出来るかもしれない。）
京子はそう判断すると、アイマスク無しのまま、男が要求してきたポーズを取ってみせることに決心した。
男子トイレの中に入る。小用便器の前に立って自分の家のほうへ向きなおる。男子トイレ内部は常夜灯が煌々と点っているせいで、内部は明るいが外は帰って暗く見える。公園は一本だけある街燈の下以外は暗闇で殆ど何も見えない。京子の家も輪郭がぼおっと見えるに過ぎない。逆に暗闇のほうから、常夜灯に照らされた京子の方は明るくはっきりと見えているに違いなかった。下着を膝まで下そうとしてスカートの中に手を入れて初めて自分の目で見ながらそれをするのはとても恥ずかしいことに気づいてしまった。これまではアイマスクをして何も見えないなかでしていたので、羞恥心も薄らいでいたことに気づいた。自分が何をするのか見ながらするのは、恥ずかしさが倍増していた。しかし、もう躊躇している訳にはいかないと京子は思った。
（さあ、見るがいいわ。）
意を決してショーツを膝まで下すと、２０分にセットしたキッチンタイマのスイッチを入れスカートを前で捲り上げる。
捲り上げる時は勢いでしたものの、少し時間が経って冷静になってくると、自分のしている格好がとてもはしたない無様な姿に思えてきた。スカートを持ち上げているだけで恥ずかしい格好なのに、その中に見える股間はショーツを下しているだけではなく、剃りあげられた無毛の性器を晒しているのだ。その時になって、今回はわざとアイマスクを着けさせずに痴態を演じさせようと男が考えたのではないかという気がしてきた。もしこんな姿を写真やビデオに撮られたとしたら、顔まではっきり映ってしまうのだと初めて気が付いたのだった。もしそんな写真を貼り出すぞと脅されたら、それこそ何でも言う事を聞くしかなくなってしまうのだと気づいたのだった。しかし、もうここで止めることは出来ないのだということは重々判っていた。タイマが２０分が経過した事を告げるまでは、この格好を晒し続けなければならないのだと京子は何度も自分に言い聞かせるのだった。
折角アイマスク無しで痴態を演じさせられていたので、公園内で何一つ見逃すまいと暗闇の方を注視し続けていた京子だったが、結局タイマが時を告げるまで何も発見することは出来なかった。アイマスクを着けさせられていた時に感じたフラッシュの様な閃光を今回はまったく起こらなかったようだった。拍子抜けした感がなくも無い中で、京子はさっとスカートの裾を降し、ショーツをしっかり穿き直す。公園の暗闇の中に誰か潜んでいないか、確かめる為に歩いてみたが、誰の何の痕跡も見つけることは出来なかった。
その夜はもう疲労困憊で、すぐに撮影していたビデオの映像もチェックしてみたかったが、翌朝に回すことにしてベッドに倒れるように落ち込むと、あっと言う間に眠りに堕ちてしまったのだった。
翌朝ビデオカメラに残されていた映像をチェックした京子は落胆とともに羞恥心にさいなまれる。映像の中には痴態を演じる京子以外の人物は全く写っていなかったからだ。一方、京子のほうはアイマスクもないので、顔がはっきり写ってしまっている。無毛の股間を剥き出しにして晒しているのが自分自身であるのと、もしこんな映像を誰かに見られたらと思うと、居ても立ってもいられなくなる。自らの手でパンツを下した格好のスカートの中を覗かせているのだ。それも大人の女性がまるで童女のようにつるつるの股間を晒しているのだ。変態と呼ばれてもおかしくない姿なのだ。すぐに消してしまいたかったが、もう少しちゃんとチェックしたら、何か証拠とまではいかないにせよ、あの男の正体を探る何かのヒントぐらいは隠されているかもしれないと思い直し、ビデオテープを抜き取って自分の寝室のクロゼットの奥にしまっておくことにした。
（ゆうべはあの男は来なかったのかもしれない。だとすれば、もう私を脅して恥ずかしい格好をさせるのは厭きたのだろうか。股間を晒している写真はおそらく撮られたに違いないから、無毛の方までは撮る必要はないと判断したのだろうか・・・。）
どうしても自分に都合のいい理由を考えてしまう京子だった。
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