掘立小屋2

妄想小説

覗き妻が受ける罰



 第十六章


 さすがに夜12時近い公園前の細い路地に人影はなかった。最初は肩を竦めるようにして一歩一歩足を進めていた京子だったが、股間に嵌められた疑似ペニスの違和感があって、なかなか自由に脚を踏み出せない。しかし、暫くすると股間に掻痒感が募ってきて、それを収めようと腰を振ると股間から突き出した外側のペニスの重みで、陰唇内のペニスが暴れ出す。その動きが却って掻痒感を治めてくれることが判ってきた。しかも耐え難い痒みの中で膣内のペニスを暴れさせると、内側の襞からどんどん京子自身の体液が滲み出してきて、掻痒感を抑えてくれることがわかってきた。京子はマントの前側が肌蹴てしまうのも顧みず、先を急ぐことにした。
 月が雲間に見え隠れしていた。その度に辺りの景色がすうっと明るくなったり闇に沈んだりする。そんな中に見覚えのある景色が見えてきた。川沿いの細い路地の脇に大きな樹がある。
(あの樹だ。あそこに嘗て自分は吊られたのだ。そして、あの時も股間に怪しげな薬を塗り込められて、疑似ペニスのようなものを挿入されたのだった・・・)
 忌まわし気な記憶が蘇る。
 樹から少し離れたところに何やら物影が見えた。ブルーシートで蔽われているようにも見えるが、月明かりが充分ではなくはっきりとしない。
 (あんなもの、以前にもあったかしら・・・。誰か居るといけないから急いで通り過ぎなくちゃ。)
 京子が急ごうと脚を踏み進めた時、何かが足首に引っ掛かった。バランスを崩して前にのめり込む。後ろ手に手錠で繋がれているために、咄嗟に手が出せない。そのまま肩から地面へ倒れ込んでしまう。と、同時に道の脇のほうでブルーシートに蔽われた何かが崩れ落ちていく。
 「だ、誰だあ。おいらの小屋を壊しやがってっ。」
 自由にならない後ろ手で足下を京子が探ると足首に細い針金のようなものが引っ掛かっていた。その針金が少し離れたブルーシートの下の塊にまで繋がっている様子だった。京子がその針金を引っ掛けたことで、ブルーシートの下の何かが崩れ落ちたのだ。その下から人影が起き上がってくるのが見えた。あり合せの木材と段ボールとで掘建て小屋を組み上げ、上からブルーシートを被せただけの小屋の下に寝泊まりしていたホームレスの浮浪者らしかった。
 (いけない。逃げなくっちゃ・・・。)
 京子は咄嗟にどちらに逃げたらいいか戸惑う。その一瞬の判断の遅れが致命的になった。
 「おい、お前。誰だっ。」
 浮浪者は素早かった。ブルーシートの下から這い出ると、黒ずくめの京子に掴みかかる。慌てて逃げようとする京子だったが、マントの端を掴まれてしまう。あっと言う間にマントが捲れてその下の殆ど裸同然の白い肌を露わにしてしまう。
 「お前、何だ・・・。その格好は。」
 浮浪者は京子の想像もしなかった格好に吃驚した様子だったが、マントの端は離さない。それをゆっくり手繰り寄せようとする。両手が自由にならない京子には引き寄せられるのを逃れる手段がない。
 「い、嫌っ。離してっ。」
 「そうはいくか。勝手に俺の小屋を壊しやがって。しかも、何て格好だ。ほら、こっちへ来い。」
 浮浪者はそう言って、京子の背中の手錠に手を掛け一気に引き寄せる。
 「お前、女だな。あれっ?お前、その下半身にぶらさげているのは何だ。まるで勃起したチンポじゃないか。」
 「い、嫌です。離してください。」
 必死でもがく京子だったが、男の手ががっしりと京子の手錠を捉えていた。
 「こっちを向いてみろ。」
 そう言うと男は自分のほうへ京子の身体を振り向かせる。ブルンと横に振られた疑似ペニスを男がいきなり掴んだ。
 「あうっ・・・。駄目っ、こじらないでっ。」
 男の手がT字帯から突き出ている疑似ペニスを掴んで引き寄せたので、反動で京子の陰唇内のもう片側のペニスが暴れる。男は京子の背中の手錠から手を離したが、代わりに両手でT字帯から突き出ている疑似ペニスをしっかり握ってしまう。疑似ペニスにはカリの部分があるので、それが滑り止めになって、男の手を引き離すことが出来ない。
 「お願いっ。それを離してっ。」
 「そうはいくか。お前、何だ。その仮面みたいなものは。今、引き剥がしてやる。お前の顔を見せて貰うぞ。」
 男はそう言うと、片手で疑似ペニスをしっかり握ったまま、京子の頭巾に手を伸ばす。しかし、首の所でしっかり首輪で留められている為に、頭巾を脱がすことが出来ない。
 「何だ、こいつは。畜生、鍵まで掛かっているのか。」
 「赦してください。貴方の小屋を間違って壊してしまったことは謝ります。どうか、もう逃がしてください。」
 「そんな訳にはいかない。こうなったら、お前の身体で償いをさせてやる。こんな男みたいなペニスをくっつけているがお前は女なんだろう。こいつをまずは剥ぎ取って犯してやるっ。」
 男はT字帯のバックルの部分を探るが、鍵孔があるだけでバックルはびくともしない。無理やりT字帯を外そうと、外向きに取り付けられた疑似ペニスの裏側に手を挿し込もうとする。
 「おや、このベルトの内側にも何かあるな。裏側にもペニスが付いているのか。そいつを挿入したまま歩いていたんだな。そしたらこうしてやる。」
 男はそう言うと、外に突きでているほうのペニスを両手で握って上下に強く揺さぶる。
 「あうっ。だ、駄目っ・・・。そんなにしたら、おかしくなっちゃう・・・。」
 「ほう、感じてきたみたいだな。お前ばかりがいい気持になってちゃずるいじゃないか。俺にもいい気持にさせて貰うぜ。こんな贋物のチンポじゃなくて俺様のを今突っ込んでやる。」
 そう言うと、男は京子の身体を引き倒し、馬乗りになって京子の下半身からT字帯を引き剥がそうとする。しかし、T字帯も京子の臍の前でしっかり鍵を掛けられている為に引き剥すことが出来ないのがわかってくる。
 「何だ、これは・・・。これじゃ、貞操帯じゃないか。こんなところまで鍵が掛かっているのか。畜生。そうか。そんなら、お前のもうひとつ残っているアナで奉仕して貰おうじゃないか。その口だよ。そこなら頭巾が剥せなくても俺のチンポは突っ込めるだろうからな。」
 そういうと、男は京子の上に馬乗りになったまま、自分のズボンを緩めペニスを引きだし始めた。
 「駄目よ。やめてっ。嫌よ。そんな事っ・・・。」
 「つべこべ言わずに口を開けて、こいつを咥えるんだ。それっ。」
 男は京子の腹の上から肩の上まで身体をずらして京子を抑え込んだまま、無理やりペニスを京子の口に捻じ込もうとする。
 「あぎゃあああああ・・・。」
 男が半開きになった京子の口にペニスを押し込もうとした瞬間に京子は反射的に歯を立てて噛み付いたのだった。
 男がひるんでのけぞった瞬間を逃さず、京子は身を起すと股間を抑えてうずくまろうとする男のその中心へ向けて、自分のブーツの先を使って思い切り蹴り上げた。
 「うぎゃああああ・・・。」
 男が崩れ込むのをもう振り返りもせずにただひたすら走り続けた京子だった。

 京子が息も絶え絶えにグランドの観覧席の物影に身を潜めた時には、追ってくる浮浪者の姿は認められなかった。身に着けていた筈のマントは男の手で引き千切られていて無くなっていた。それでも危ういところで男から逃げおおせたようだった。
 ふと京子はグランドの隅にある時計台に目をやる。もう直、一時になろうとしていた。
 (まずい・・・。急がねば。)
 京子はさっと身を立て直すと、男子トイレを目指す。場所は何度か来て頭に入っていた。後ろ手でドアノブを回す。鍵は掛かっていなかった。灯りを点けることは憚られた。暗い中に目を凝らすと一番奥の個室の扉に何やら紙が貼り付けてある。急いで走り寄ると中身も確かめずにそれを引き千切るように後ろ手で掴むとトイレの出口に急ぐ。少し遠くに懐中電灯の明かりが二つ揺らめきながら近づいているのが判った。間違いなく、夜の見回りだと気づいた京子は近づいてくる明かりから遠いほうへ一目散に走って逃げたのだった。

 その夜、漸く京子が自分の家に辿り着けたのはもう夜も3時近くになろうとしていた。家に戻るのに同じ道を帰る訳にはゆかなかった。一旦は股間への一撃で悶絶していた浮浪者が、復讐の怒りに燃えて京子の姿を探し回っているだろうことは間違いなかったからだ。自分の家へのもっとも近道になるのは夜中でもしょっちゅう車が行き来する表通りだが、さすがにそんな場所を歩けるような格好ではなかった。街燈の殆どない路地は京子の家の傍の公園が面している川の両側にあって、少し遠回りになるが、川の反対側を通って戻ることにした。それでも浮浪者が何処で待ち構えているか判らないので、細心の注意を払いながら身を屈めるようにしてやっとのことで帰ってきたのだった。手探りで後ろ手の手錠の鍵を開け、まず頭巾を留めている首輪の鍵を外す。それから股間にずっしり重い疑似ペニスを嵌めたT字帯の鍵を外して内側のペニスも抜き取る。T字帯の裏側も、京子自身の内腿も京子が垂れ流した体液でぐっちょり濡れていた。動く度に陰唇の奥を刺激する疑似ペニスのせいで、京子の股間からは愛液が濡れっ放しだったのだ。
 T字帯の鍵を外す時に、京子は自分に命令を下している男からの指示でT字帯の鍵と頭巾の鍵は持出さないように言われていたことを思い出した。もし鍵を持っていたら、襲われた際に頭巾を外されて顔を見られていたかもしれないし、T字帯も外されていたら、間違いなく犯されていた筈だったからだ。
 ふと、京子はグランドのトイレの奥に貼られていたのを持ち帰った紙切れの事を思い出した。必死で家に戻ったので、それは京子の握りこぶしの中で完全に丸められていた。床に落ちていたその紙きれを拾って広げてみると、パソコンで印刷したらしい一枚の画像とそれに付随する一行の説明書きだった。
 (床におしっこを撒き散らしたのは、この女です)
 そう書かれた上には、目の部分だけ黒いマジックで潰されているものの、明らかに男性用便器に繋がれた京子がお洩らしをしている将にその瞬間の写真なのだった。
 (危ないところだった。ぎりぎりで間に合ったのだわ・・・。)
 その写真をグランドの見回りの警備員たちの目に触れる前に回収出来たのは将に奇跡的な事のように思えたのだった。

tbc


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