32眠らせ剃毛

妄想小説

謎の中国女 李



 八

 「よし、そろそろいいだろう。手筈はちゃんと判っているな。」
 時計を睨んでいた影山が顔を上げると李に黒光りする物を手渡す。今朝方、李がやってきた時に使われた電動バリカンだった。受け取る時、李は思わず生唾を呑みこんだ。
 (そんな事、本当に出来るのかしら・・・。)
 不安を感じながらも、李には影山に命じられた通りに淡々と仕事をこなすしかないのだった。
 影山が頃合を見計らって李を再び秘書室へ向わせたのは、昼休みが終って小一時間が経った頃だった。
 (まっすぐ秘書室へ向かうんだ。夏美は正体無く寝入っているから、何の心配も要らない。専務も出張に出て午後は帰って来ないから誰もやってくるものは居ない。安心して言われた通りのことをやってこい。)
 李は影山に命じられたことを頭の中で復唱しながら、一人、秘書室へ向っていた。

 エレベータホールからガラス窓を通して様子を窺がうと、夏美が自分の席で机に突っぷして居るのが見えた。人の気配がないことを確かめながらゆっくりと李が近づいてゆくと規則的な寝息が聞えてきた。それだけ深く眠り込んでいることを示しているようだった。

 秘書の傍まで来て、李は念の為、可愛らしい寝顔を見せている斉藤夏美の鼻をそっと摘まんでみる。息が苦しくなって口をぽっかり開けた夏美だったが、目を覚ますことはなかった。後ろから抱えるように腋に両手を差し込んで、机から起こすと、キャスターで引き摺るようにして、後ろの作業テーブルまで夏美の身体を運ぶ。そして抱かかえるようにしてテーブルの上へ押し張りあげた。小柄で華奢な夏美は、すっかり寝入っている為に完全に脱力していて、同じ様に小柄な李の腕には重かった。それでも何とか仰向けにテーブルの上へ寝かせる。脚を乗せる時に、着衣が乱れ、夏美の太腿が大きく露わになる。同性の身ではあってもそのあられもない姿に、李ははっとする。しかし、ゆっくりしている暇はなかった。誰も来ない筈と判っていても、心配だった。

 何も抵抗しない夏美のスカートを両手でたくし上げると、薄い花柄のショーツがストッキングの下に丸見えになる。それを腰骨のところでつまむとストッキングごと一気に引き下ろしてしまう。陰毛は李のより少し薄めだった。その李のものも今はすっかり失われてしまっている。
 (貴方も同じ目に遭うのよ。)
 そう心に言い聞かせると、影山から渡された電動バリカンを取り出す。少し震える手でその刃先をゆっくり夏美の股間に近づけてゆくのだった。

 すっかり草叢を剃り落とされた夏美は、股間の真一文字の縦の割れ目を露わにして横たわっていた。そのすべすべの陰唇は李のように割れ目から小陰唇やクリトリスを覗かせることはなく、純心無垢の童女のようだった。しかし、今しも剃り落とされたことを示している青々した毛根の痕が痛々しい。

 李は命じられた通り、剃り落とした陰毛を慎重に集め取ると、ジップロックの袋に丁寧にしまい込む。それから今度はデジカメを取り出し、李自身も作業テーブルの上に乗って上から何枚も、辱められた姿をデジカメの中に記録してゆくのだった。

 全ては影山に教えられ、命じられた通り、順調に事が運んだ。夏美のあられもない姿態をくまなく撮影し終えると、そっと下穿きとストッキングを戻し、再度回転椅子に慎重に夏美の身体を滑らせるようにして載せると、元あった机の位置まで運び終えた。そんな作業の一部始終を実は、エレベータホールの隅から影山にビデオカメラですっかり撮影されていたとは、李は全く気づいていないのだった。



 「約束とおり、やて来ました・・・。」
 「それじゃあ、その椅子の前に立て。そして上着をまず脱ぐんだ。」
 李はあれから一週間後に再び呼び出されたのだった。いつものように殆どひと気のない建屋の奥の会議室へ通され、影山と二人きりになる。
 その日も李は影山から送られ、指示された服を纏って来たのだった。スカートはこの前と一緒の極端に短いタイトスカート。上着も同じものだったが、その下のブラウスは今度は夏向きのノースリーブのものだった。その意図も明らかだった。
 李は前回、帰る前に下の毛を生やさない代わりに、腋の下は処理せず伸ばし続けるように命じられたのだった。これは李のような若い女性にはとても恥ずかしいことだった。下の毛は普通に服を着てさえいれば気づかれることはない。しかし腋の下は、今のように陽気が暑くなってくると不用意に手を上げれば見られてしまう部位なのだ。今回着せられたノースリーブのブラウスでは迂闊に手を上げることも出来ない。
 「両手を組んで頭の後ろへ廻すんだ。肘はもっと高く上げろ。」

33無毛状態検査

 李が上着を取って椅子の上に置くと、早速次の命令が発せられたのだった。覚悟してきたこととは言え、それは言われて簡単に出来ることではなかった。李は顔を伏せ、唇を噛んで命じられた通りにする。1週間ですでにそこには薄い翳りが出来ていた。生やしているというよりは、まだ剃り残したという程度ではある。しかし、それでも充分に恥ずかしかった。
 「こっちはどうだ。」
 そう言うと、影山は30cmほどの物差しの先で、スカートの上から股間の膨らみの部分をなぞってくる。
 「あうっ・・・。あ、あの、チクチクして少し痒いてす。」
 李は正直に感想を述べた。しかし、その言葉に影山は眉を吊上げる。
 「パンツを下ろしてみせて見ろ。」
 李は仕方なく両腕を下ろして、スカートに手を遣ると、お尻の方からスカートの中に手を突っ込んで、ショーツを膝上まで引き下ろす。これで許して貰えるとは思えないながらも、許しを乞うように上目遣いに影山を見上げ、影山の容赦ない表情を確認すると、ゆっくりスカートの裾を両手で引き上げて、剥き出しの股間を露わにする。
 「裾を腹のところにたくし込んで下がらないようにしてから、もう一度、両手をさっきのように挙げるんだ。」
 李が命じられた通りにすると、毛のない股間と毛を生やした腋が男の前に露わに晒される。
 「うっ・・・。」
 影山が物差しの先を剥き出しの股間に当てたのだった。
 「ちゃんと処理をしておけと言っておいた筈だ。毛は生え始めているからチクチクするんだ。すべすべに剃り落としておけば痒くはならない。これで今すぐ剃り落とせ。」
 そう言って影山が取り出したのは、男性用のシェービングクリームとT字型の剃刀だった。
 「今、ここでてすか・・・。」
 「そうだ。その椅子に片足ずつ乗せて、股を開いて、しっかり綺麗に剃り落としておくんだ。」
 そう言うと、何故か影山は李が残された会議室から出ていってしまった。

 再び戻ってきた時には手に熱そうなタオルを持っていた。給湯室で熱湯に浸してきたもののようだった。
 「ちゃんと剃り上げたか、これで拭いて見せてみろ。」
 李は残っていたシェービングクリームの泡を渡されたタオルで拭こうと股間に当てる。割れ目の襞に熱いタオルの感触を感じると、何かが身体の奥でジンと疼くような気がした。
 「どうだ。・・・ふんふん、まあいいだろう。」
 李の股間を念入りに検分した影山が、顔を上げて言った。
 「これからは、毎朝、ちゃんと剃り直すんだぞ、いいな。」
 影山の最後の言葉に、返す言葉もなく、黙って頷くしかない李だった。

 「あ、あの・・・。あのひと・・・、あの人はどうなたのてすか。」
 李はどうしても訊かずには居られなかったことを口にした。
 「あの人?」
 影山はわざと恍けているようだった。
 「あの、お化粧を教えてくれた、綺麗な人てす。」
 「綺麗な人?お前がシモの毛を剃り落とした女のことか。」
 「ああ、それ、言わないてくたさい・・・。私、あの人に悪いことしましたてす。」
 影山は妙なものでも見詰めるような目をして僕をみた。
 「ふん。お前にも罪悪感があるってわけだな。あいつのところへ行って、剃ったのは私です。申し訳ありませんでしたって謝ってくるか。」
 「そ、そんな。困ります。出来ません。」
 李が慌てふためく様子に影山はにやりと口の端を歪ませてほくそえむ。
 「大丈夫だ。あいつは誰にされたのか気づいちゃいないさ。もうすぐこっちへやって来る筈だから、逢わせてやろう。いいか、何も知らぬ振りして愛想よく挨拶だけして擦れ違うんだ。そしたら向こうに気づかれないように何処へ行くのか後を付けて報告するんだ。いいな。」
 そう言うと、下着を元に戻させ、ノースリーブのブラウスのままの李を廊下へ連れ出すのだった。
 そこは最上階の4階の廊下だった。窓からこの建屋へやってくる小道が見下ろせる。二人で暫く待っていると斉藤夏美が普段控えている事業部長室のあるビルのほうから降りてくる坂道に夏美の姿が現れた。妙におどおどしていて、しきりに辺りを窺がいながら歩いてくるのが見て取れた。その姿を確認すると、影山は顎で(行け)と李に合図したのだった。



01李錦華

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