妄想小説
謎の中国女 李
二十二
「これを観て欲しいのてす。」
事業部長の岸川専務を廊下で呼び止めた李は、内密の話がしたいと言って、内密の話をする際などに使う窓のない個室に岸川を伴ったのだった。応接セットのソファに、岸川の真正面に座った李の膝を岸川が注視しているのを李は見逃さなかった。しかし今度は影山に命じられている訳ではないので、さりげなく持ってきた紙封筒をずり上がってしまっている短い制服のスカートの上に置いてその奥が覗いてしまうのを隠した。
李が封筒から出したのは、何も身に着けずに縛られたまま身体を晒している、影山に撮影されてしまった写真だった。勿論、無毛の股間も丸出しだった。影山に抽斗の合鍵を拾ったと渡す前に、こっそりそれを使って誓約書などと共に取り返しておいたものだった。そのあられもない姿を見た岸川が思わず喉を鳴らすのを李は見てとった。
「ワタシ、ある人にその写真とか、撮られてしまて、脅されていたのてす。」
「ある人?脅されていた・・・?」
岸川は手にした写真のある一点を食い入るように見つめていた。それがどこかは李には痛いように判っていた。しかし、それは李の策略でもあった。
「じつは、もうひとりたけ、同じよに脅されてたひと居ます。・・・。」
そこで切って一旦、間を置く。
「もう、ひとり・・・とは?」
一瞬、李には岸川が想像した姿が岸川の目の中に見えたような気がした。
「そ、てす。秘書の斉藤、夏美さんてす。」
「む、む、斉藤くんが・・・。か、彼女も、こんな写真を撮られたというのか。」
「はい、そてす。」
再び岸川が生唾を溜飲するのがわかった。
「そ、そんな、写真、持ってるのか、君。」
「はい・・・。」
再び間を置いて、少し岸川を焦らすのは当初からの作戦だった。
どうしてもそれを見たいと岸川の顔には書いてあるかのようだった。それを見届けてから、改めて李は封筒の中に手を伸ばした。
岸川に手渡したのは、実は自分が夏美のあの部分を剃り落した後に撮影したものだったが、それは当然ながら言わないでおく。
しばらく無言でプリントアウトされたデジカメの画像の一点を注視していた岸川だったが、ふと目の前の李の存在に気づくと、おもむろに口を開いた。
「これは大事な証拠写真だ。これを私に預からせてくれないか。」
李が思い描いた期待通りの台詞だった。
影山がエレベータを降りてホールの中央に立つと、ガラス張りの向こう側の秘書の控え室に既に夏美が立って影山を見つめているのが見えた。影山は顎をしゃくって、事業部長室へ案内するように無言で指図する。
夏美が秘書室を出てきて、影山には目を合わさないようにして俯きながら、先に立って黙って事業部長室へ向かって歩き出す。その背後を影山も追ってゆく。
ドアノブを押して扉を開いた夏美だったが、そこで動きが止まってしまった。その先の行動をまだ逡巡しているようだった。決心がつかないでいる様子だ。
影山は夏美の様子に苛つきはじめた。(ここまで来てお預けはもう許されんのだぞ)そう心の中で呟くと、いきなり夏美の背中を突き飛ばして自分も部屋の中へ入る。
背中を突かれた夏美は、事業部長室の厚い絨毯が敷かれた床に突っ伏して倒れていた。その姿から目を離さないようにしながら、背中でドアノブの中心のボッチを回して、内側から扉に鍵を掛けた影山だった。
床に臥せったまま、影山のほうに振り向いた夏美は涙をためて懇願するような目で影山に許しを請うのだった。
「やはり許してください。出来ません。」
「何だと・・・。今更、何を言ってる。ふざけるんじゃないぞ。」
影山が夏美のほうに歩みよろうとすると、慌てて夏美は立ち上がって、奥へ逃れようとする。影山はしかし、一歩一歩、夏美のほうへゆっくりと近づいてゆく。
後ずさりする夏美は壁際の書棚まで追い詰められ、そこにぶつかって、足がもつれて尻餅をついてしまう。転んだ夏美のスカートの裾が割れて、太腿の奥に白い下穿きが覗いてしまう。それを目にした影山は思わず生唾を飲み込んでから、やおら手にしていたバッグから使い込んだ綿ロープを取り出す。それを一回びゅっと空で鳴らしてから、逃げ場を失って座り込んでいる夏美の肩に掴みかかり、首を押さえて床に這いつくばらせてから馬乗りになる。夏美の手首をとらえて背中で交叉させてから縛り上げるまでは手際が良かった。両手の自由を奪ってしまうと、余った縄の端を夏美の首に回してから手首を繋いでいる部分に括りつけ、手で尻を防ぐことも出来なくさせてしまう。
「ああ、やめて・・・。許してっ。」
馬乗りになった影山の下で、夏美は手の自由が利かないので、足をばたばたさせてもがいている。
夏美を縛り上げたところで、もっとじっくり虐めながら愉しもうと思った影山はおもむろに夏美の背中の上から立ち上がる。
影山が身を離した隙をついて、夏美は膝を割って立ち上がり、事業部長の机があるほうへ逃れようとする。しかしそれは影山の作戦どおりの行動になってしまっていた。
すぐに追いついた影山は、夏美の首に回した縄の端を掴んで夏美を仰向けに机の上に横たわらせる。そして無防備な夏美の下半身のスカートの裾を、もう一方の手でたくしあげてゆく。夏美のむっちりした腿につづいて、ストッキングのシームが走る白いショーツが丸見えになってしまう。
「ああ、嫌っ。やめてえ・・・。」
夏美が恥ずかしがる姿に余計にそそられてゆく影山は、夏美が更に恥ずかしがるようにゆっくりとウェストの部分に指を掛けて、ショーツをストッキングごと、じわじわと引き下ろしてゆく。
「ああ、見ないでえっ・・・。」
夏美の喘ぎ声も虚しく、ショーツは膝までずりおろされ、毛を失った陰唇を丸出しにされてしまうのだった。
「ほう・・・、さすがに変態秘書だな。あそこがつるつるじゃないか。」
影山は初めてそれを知ったかのように偽って、夏美を詰って辱める。
「ち、違うんです。ああ、恥ずかしい・・・。」
影山が人差し指と中指の二本で、剥き出しの割れ目に沿ってなぞってゆくと、夏美の身体がぶるっと震えた。
「ほう、もう潤んできてるじゃないか。」
夏美の陰唇をなぞって濡れた指先をわざと夏美の頬につけて更に辱める。
「あ、い、嫌っ。」
「さあ、そろそろこっちも愉しませて貰おうじゃないか。生娘でもあるまいし、男の歓ばせ方ぐらい知っているだろう。」
そう言うと、首の縄を掴んでいた手で、今度は夏美の髪を掴み直し、机の上から引き摺り下ろす。影山の立っているすぐ前に正座させると、空いている手で、ズボンのチャックを引き下ろす。夏美が顔を背けようとするのを髪を引っ張って無理やり影山の股間に顔を向けさせる。すでに、鎌首を擡げはじめている浅黒い肉塊がそこにあった。
「お前の口で、しっかり硬くなるまでしゃぶるんだ。」
そう言うと、肉棒を嫌がる夏美の唇に突き立てる。必死でこじ開けられまいと堪えていた夏美だったが、影山が髪を抑えこみ、もう一方の手で夏美の首の縄を絞めようとするので、とうとう耐えられなくなって、唇を開いてしまう。夏美の口の中に生温かい肉棒が捻じ込まれる。
「うぷっ・・あぐあぐ」
夏美のまなじりからは涙が溢れてゆく。逃れられないと観念した夏美は影山にされるがまま仕方なく、影山のペニスを吸い始めるのだった。
チュパッ、チュパッ・・・。
夏美の唇が卑猥な音を立て始めた。
「おお、いい気持ちだぜ。もっと唇を締めて、舌も使え。・・・、そう、そうだ。」
夏美の口の中でどんどん肉塊がその硬度を増してゆく。あまりの怒張に夏美は口の中に咥えきれない気がしてきた。
プファっ。
大きな音を立てて、影山は夏美の口からいきり立ったペニスを抜き取ると、再び髪を引っ張って夏美を立たせ、今度はうつ伏せに机の上に這わせる。影山がスカートをさっとたくし上げると、既にショーツは膝まで下ろされているので、白い尻たぶが丸出しになる。その中心へ影山はいきり立った肉棒を突きたてた。
「いやあ・・・」
深々とペニスを挿入し終えると、目の前の尻タブを思いっきり掌で張った。
パシーン。
小気味良い音が室内に響き渡る。
「ひい・・・、ゆ、許してえ・・・。」
「尻を張られると、よく締まるようだな。それ、もう一発。」
パシーン。
「ひい・・・。」
あまりの気持ちよさに、影山は背後の扉のドアノブがガチャリと音を立てて回ったのに気づかなかった。
「おい、お前。ここで何をしている。ここは、私の部屋だぞ。」
いきなりの大声に、咄嗟に振り向いた影山は、施錠してあった筈の扉が開かれて、部屋の主が仁王立ちになっているのを見て青褪める。
「じ、事業部長・・・。」
慌てて、夏美の身体からペニスを引き抜こうとするのだが、あまりの出来事に神経がおかしくなったのか、思うようにペニスが抜けなくなってしまっていた。
「うっ、うっ・・・。」
影山に繋がったままの夏美も顔をあげて入ってきた上司にすがるように叫んだ。
「せ、専務、助けて・・・。」
「膣内痙攣を起こしてるんだな。おい、李っ。水を掛けてやれっ。」
事業部長の背後から李が走り出てきて、窓際に生けてあった花瓶の生け花を引き抜くなり、花瓶ごと抱えて影山の前に走りこみ、中身の水を思いっきり影山の顔にぶちまけた。
「あわっ・・・。」
いきなり影山のペニスが夏美の尻からすぽんと抜けて、影山は萎えかけたペニスを露わにしたまま、後ろに尻餅をついた。
「ち、違うんです。これは・・・。こ、こいつが、こいつが誘ったんです。私に犯してくれって。」
両手で股間を隠しながら、影山は懸命に言い訳をする。
「何を言っとるんだ。お前、この部屋には防犯カメラがあるのを知らんのか。さっきから秘書室でずっと見ておったんだぞ。」
はっとした影山が見回すと、確かに部屋の隅の天井からカメラがぶら下がっているのに初めて気づいたのだった。
「な、なんてことを・・・。」
一瞬にして事態を理解した影山だった。部屋まで来た途端に夏美の様子が変わったことに早く気づくべきだった。鍵を持ち出したことを黙っていて貰う代わりに、身体を自由にしていいと言っておきながら、急に嫌がる様子を見せたのを変だと思うべきだったのだ。李と夏美の二人にまんまと嵌められたのに間違いなかった。しかしもう手遅れだった。
言い逃れの出来ないことを悟った影山は、事業部長の背後に隠れている李を思いっきり睨み付けてから、股間を手で隠したまま、部屋を走り出てゆくのだった。
誰も居ない空っぽの事務所跡にたった一つ残されたソファの長椅子で李は、夏美を優しく抱いていた。
「ナツミさん。もう少し早く助けてあげたかたけど、ごめんなさいね。決定的な証拠を撮るまでどうしても待たなければならなかったのてす。」
「いいのよ。いいの、李・・・様。」
夏美は李と二人きりになると、既に主人に仕えるかのように様づけで呼ぶようになっていた。
「貴方の処女を奪ったのが、あの男になてしまうなんて。」
夏美は顔をあげて李の顔をみる。
「いいえ、違うの。・・・。私の処女はもう既に貴方に捧げてあったのだもの。」
そう言い切った夏美は顔を赤らめた。李は、影山に命じられて使わされた双頭のディルドウを思い浮かべた。
「さ、夏ちゃん。そこに立って。立ちなさい。」
夏美は李に命じられて、おもむろに李の前に立つ。
「パンティを取りなさい。そう・・・。そしたら、今度はスカートを捲って見せなさい。」
夏美は李に命じられるままに、ショーツを脚から抜き取ると、スカートの裾を掴んでゆっくりと引き上げる。つるつるに剃りあげてある陰唇が露わにされる。
李は、真一文字の縦の割れ目から、卑猥に小陰唇とクリトリスが覗いてしまっているのを確認すると、満足そうに頷くのだった。
「じゃあ、ディルドウと縄を持っておいで。お前のあそこが欲しがって堪らないようだから。」
夏美は恥ずかしそうに顔を伏せながらも、部屋の隅のロッカーにいそいそとその物を取りに行くのだった。
「事業部長、お茶をお持ちしました。」
ノックをせずにいきなりドアを開けたので、事業部長の岸川は慌てて何かを抽斗に隠したようだった。それが何なのかは李にはよく判っていた。
ドアを開けた李の背後には、茶器をいれた盆をうやうやしく掲げ持った夏美が付き従っている。夏美は李に劣らないくらいに短くした制服のスカートを穿いている。李が指示して詰めさせたのだ。夏美と李が二人並ぶと、ミニスカートから剥き出しにされた脚が岸川には眩しかった。そのスカートの奥に、さっきまで眺めていた無毛の陰唇が隠されているのだと思うだけで、股間が疼いた。
李は事業部長に頼み込んで新たに秘書として雇い入れて貰ったのだった。そして夏美と二人で、思いっきり短くしたスカートから伸びる脚を見せ付けて垂涎の的にさせていたのだ。李は、事業部長に渡した自分と夏美のあられもない写真を返して貰わなかった。それは、ミニスカートの脚を見せ付けて、その気にさせておきながら、いつもお預けを食わせている事業部長に、独りの時にそれで慰みをさせる為だった。立場上、影山のような事をしたくても出来ない事業部長に、せめてもの慰みを与える為なのだった。
完
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