妄想小説
謎の中国女 李
一
女がきょろきょろ辺りの様子を窺がいながら、こっそりと先ほどの建屋に入ってゆくのを玄関内の物陰から確認した影山は、音を立てないように女が入っていった建屋へそっと近づいていった。おそらくは影山が教えた書庫のある一階奥の部屋だろうと見当はつけていた。廊下を真っ直ぐ進んで、書庫の入口の扉の前で息を潜める。出入り口のドアに設けてある嵌め殺しの小さな覗き窓から内部の様子を覗う。すると、奥のほうで突然、閃光がひらめいた。
(カメラのストロボだな。)
影山は咄嗟に思った。光が洩れた位置から女が居るらしい場所を把握する。並んだ書棚の一番奥の裏側に居るらしかった。音を立てないようにそおっと入口のノブを廻す。細心の注意を払って、ドアを薄めに開けると、身を中に滑り込ませ、合鍵を出して、ドアに内側から施錠する。この扉は中からも外からも鍵で施錠するようになっているのを以前からよく使っていた影山はちゃんと計算してあったのだ。
それから並んだ書棚をひとつずつゆっくりと越えて、女が居るらしい奥へそおっと近づいてゆく。影山が近づく間にも何度も繰り返してストロボが光っていた。最後の棚の前まで辿り着いた影山は相手に気づかれないように覗き込む。女は背を向けていた。片手を高々と持ち上げて、書棚の上の部分を撮影しようとしていた。背の低い女には手を伸ばしてカメラを掲げないと、上のほうの棚は撮れないようだった。
突然、影山の手がカメラを手にした女の手首を後ろからぎゅっと掴んだ。
「あっ、・・・。」
あまりの驚きに女はそれ以上の声を発することも出来なかった。間髪を入れず、影山は女の手からもぎ取るようにカメラを奪うと、手首をしっかり握ったまま背中で捩じ上げる。
「あ、痛いっ・・・。」
「おい、こんな所で何をしてる。」
「い、いえ。違うんです。何も・・・、何もしてません。」
「嘘をつくな。今ここで撮影をしてたじゃないか。」
女は必死でもがいているが、影山がしっかり腕を捩じ上げているので身動きすることも出来ない。その時、女が突然片足を持ち上げ、ヒールの先で影山の足を靴の上から踏み降ろした。
「うっ・・・。」
突然のことで油断した影山は、つい女の手首を握った手を緩めてしまった。女は素早く身を振り解くと、影山が手にしていたカメラに手を伸ばす。咄嗟に影山は手を引っ込めて奪い取られまいとする。カメラの取り合いになって、影山は女と揉み合うような格好になる。しかし、男と女では所詮勝負は見えていた。
すぐにカメラを取り返すことは無理だと悟った女は、膝を蹴り上げてきた。かろうじて股間を蹴られるのは避けた影山だったが、太腿を強く突かれ、思わず女の手を離してしまう。女は影山を突き飛ばすようにして出入り口の扉を目掛けて走りだした。一瞬、遅れて影山が後を追う。
女はドアノブに両手で掴みかかると、一気に廻して開こうとする。が、ドアノブがガチャガチャ音を立てるだけでビクともしなかった。
鍵を掛けられていたことを知った女は影山の方に顔だけ振り向かせる。今にも泣き出しそうにした顔をしながらも、何処かに逃げる手立てはないかを必死で探している視線が伺われた。書庫のドアは廊下から玄関に繋がるその扉と、後は反対側に外に直接出られる扉しかないが、そちらもしっかり施錠はしてある筈だった。
「ここで何をこっそり撮影していた。犯罪だぞ、これは。」
奪い取ったデジカメを持ち上げて、女のほうに翳しながら影山は詰め寄る。
「あ、あの・・・、違うんです。そんなんじゃないんです。」
女はどう言い訳をしたものかと必死で考えている風だった。
「言い逃れは出来ないぞ。ちゃんと証拠のカメラがここにあるんだ。今、警備室から人を呼んできてやる。」
影山はそういうと、女に隙を見せないようにしながら、辺りを見回す。影山の目に床に転がっていた梱包用の麻紐の束がみつかった。書類の廃却の時に誰かが持ってきて使ったまま放置されていたものだ。カメラを取り戻されないように尻のポケットに突っ込むと影山は女に飛び掛った。両腕を肩の下で掴むと強引に引き倒し、うつ伏せにさせる。女に馬乗りになって身動きを封じてから、床に落ちている麻紐の束を手繰り寄せる。女の手を捻り背中に回させるのは容易いことだった。麻紐を手首にぐるぐる巻きつけ、もう一方の手も捻りあげて背中で交差させると手首同士を縛り上げる。解けないように何重にも結びつけてから紐を少し伸ばして縛った紐の端を傍の書棚の鋼鉄の柱に女の背より少し高い位置で繋ぎ留める。ここならどんなに手探りで解こうとしても女の手には届かない筈だった。
「今、警備室から人を呼んでくるから、おとなしく待っているんだ。」
「い、嫌っ・・・。困ります。許して・・・。許してください。」
女は両手の自由を奪われ、身もがきするようにして上半身を起こす。スカートの裾が乱れて、太腿が露わになる。身を立て起こすのに片膝を立てた為だ。女は影山の視線がそちらに向いたのに気づいて慌てて膝を合わせて奥が覗くのを防ぐ。
「お願いです。後生ですから、見逃してください。悪気はなかったんです。」
影山は女の真正面に立ち、上から下まで女の身体をじっくりと見回す。
「警備員を呼んできて、警察に引き渡す。そっちの会社にも連絡をいれるから。」
そう言うと、影山はくるりと踵を返して廊下に繋がる出入り口のほうへ向かい始める。
「ま、待って。お願いっ。ちょっと、待って。」
女の悲痛な叫びに再び影山が振り向くと、女はゆっくりと両膝を開いた。タイトなスカートの裾が割れて次第にその奥が露わになってゆく。女は恥ずかしそうに俯いてうなだれている。
「お願いです。私の身体を、どうにでもしていいです。ですから、・・・・。誰にも言わないでください。」
最後まで言い切った時には、下穿きはすっかり露わになっていて、妖しく影山を挑発していた。影山の喉がごくりと鳴った。
ゆっくりと女のほうへ戻ると、身を屈めて、近寄る。影山の指先が肌蹴られた女の下半身の中心をなぞる。女は身体をびくっとさせるが、うな垂れたままされるがままになっている。
「本気なのか・・・。」
女は顔をあげないまま、首を振って頷く。
影山は少し考えてから、ズボンのチャックを下ろす。そのジーッという音が女の耳にも聞えた筈だった。膨らみ始めたその肉塊をゆっくり女の頬に押し当てる。女はふうっと大きく息を吐いてから、意を決したように影山の顔を確かめるように見上げてから、目の前の肉塊を口に含んだ。
影山は女の意思を確認するかのように、腰を落として一歩前へ進み、女の喉下で次第に硬度を増してゆく男根を更に深く突いた。
「うぐぐぐ・・・。」
女のくぐもった喘ぎ声が洩れる。が、舌が絡み付いてきて唇をすぼませて精一杯吸い上げてくる。それに呼応して影山のペニスも怒張度合いを高める。
影山が女の頭を両手で掴んで、ゆっくりと腰を前後に動かし始める。女はすこし口の筋肉を緩め唇を突き出すようにして影山の動きに合わせて、ペニスを吸い上げる。
チュポッ、チュポッ。
影山が腰を動かす度に、女の口が卑猥な音を立てる。影山は段々腰を動かすスピードを上げてゆくと、女の口の中で溜まった唾が唇の端からつうっと糸を引いて垂れ落ちた。影山は女の頭を持ってペニスを咥えさせたまま、床のほうへ導いて女を仰向けに寝かせる。女の両肩の上で膝を突き、顔の上に跨るようにして女にペニスを頬張り続けさせる。女にペニスを咥えさせたまま、影山は手を後ろに伸ばして、スカートをまさぐる。既に大きくはだけて太腿を大きく露わにさせてしまっている。その裾を掴むと上にたくし上げ、完全に下穿きを丸出しにさせる。そして指を這わせて恥骨の上からなぞり上げる。
「ああっ、うぶぶぶ・・・。」
女は溜まらずペニスを吐き出しそうになったが、慌てて咥え直す。影山の指はストッキングとショーツの布地越しに女の恥丘を責めたてる。二枚の布地を通しても、そこは既に湿り気を帯びているのが影山にも感じられた。
影山は身を仰け反らせて手を女の尻にまで伸ばし、スカートの奥からストッキングとショーツの端を探り当て、尻のほうから脱がしにかかった。女は腰をあげて影山が脱がしやすいように手伝う。つるりと下穿きがストッキングごと女の尻を通過した。おんなのつるっとした生温かい肌が影山の手を刺激する。再び股間に手を戻すと、そこは薄い草叢ごとべっとりと濡れそぼっていた。
「ああ、いれて・・・。入れてください。わたしのあそこに挿してえっ・・・。」
たまらなくなった女は口からペニスを外すと、影山に懇願するのだった。
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