被縛請い

妄想小説

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第十章 奴隷誓約


 「わたくし長谷川京子は、影野久男さまに現代平和教団のプレミアム賛助会員となって頂く見返りとして、性の奴隷となって影野久男さまのお命じになることに全て従うことをここに誓います。」
 京子は影野家を退出する前に署名させられた誓約書の文言をもう一度読み返してみた。
 家に帰って冷静に読み返してみて、こんな誓約書に性の奴隷となる効力があるとはやはり思えないと再度確信した。
 あの日、影野にバイブでイカされて失神してしまった京子が我に返って意識を取り戻した時には、何故か既に着てきていた服も身に着けさせられていて、薄い毛布が掛けられたまま応接間のソファに寝かされている自分に気づいたのだった。
 失神する前に、自分がどんな粗相をしたのかは全く記憶になかった。しかし、確かに股間から何かを撒き散らしたのはうっすらとは記憶している。耳元で淫乱さの証だと影野に囁かれたような気がするのをどうしても否定できないでいた。
 自分が何を仕出かしたのかもはっきりしないまま、無言で影野から渡されたのが同じ文言が印刷されたこの誓約書だった。その時は、もう何一つ影野に対して抗う事は出来ない気がして、言われるままに署名し、血判まで押した京子だったが、誓約書の一枚を持たされて家に戻って冷静になってみて、こんな紙切れの為に、あの男の性の奴隷にされるなどとは信じられないでした。
 その日は、影野から呼び出しが掛かった時には、すぐに参上することを口頭で誓わされて漸く暇する自由を与えられたのだった。

 「なるほど。私の計略通り、すべて上手く行ったって訳ね。」
 「私としても、今回こんないい思いをさせて貰えるとは思っていなかったんでね。久しぶりに若い女を思い通りにさせて、とてもいい気分だったよ。」
 「まあ、自分のペニスで犯せなかったのは今一つ物足りなかったかもしれないけどね。」
 陽子は嫌味があまり強く出過ぎないようにさらっと言ってみる。影野の反応はしかし、穏当だった。
 「儂の歳になるとな。自分の精力には限界があるのはちゃんと自覚しておる。しかし、それだけに、そういう身になりながらも女を、しかもあんなそそる女をイカせられるのはこの上ない最高の気分なんじゃよ。まあ、アンタには判らんかもしれんがな。」
 「そんな事はなくってよ。それだからこそ、今回の企みを薦めたんじゃないですか。それじゃあこのビデオカメラは貰って帰るわね。映ってるビデオはDVDにして渡すから楽しみにしていてね。それからこの誓約書はこれから大事な役目を果たしてくれるから、ちゃんと取っておいてね。貴方の損には決してならないから。」
 そう言うと、し慣れていないウィンクをしてみせる陽子だった。

 「ねえ、京子ちゃん。凄いじゃないの。影野さまって、今度プレミアム賛助会員になってくださるんですってね。京子ちゃん、お手柄じゃないの。どんな手使ったの。お色気仕掛けとか? あははは、まさかね。京子ちゃんに限って。」
 陽子は冗談で言ったのだとは思ったが、お色気仕掛けという言葉に京子は凍り付いた。
 「あのおじさま、京子ちゃんの事が相当お気に入りのようね。私の事も許してくれるって。出入り禁止も解禁よっ。」
 「あっ、そうなの・・・。」
 陽子の出禁が解かれて、影野に接触する機会が増えることは京子には決して好ましいことではなかった。いつ、何が陽子にばれるか判らないと不安になったのだ。
 「何? 何か不安そうね。大丈夫よ。影野さまとのおつきあいは京子専門の役目よ。大事なお得意さまですもの。」
 陽子は影野とのやり取りは、すべて京子を通して行うのだと念を押してくれたのだが一抹の不安はなくならない。
 「そう言えば、あれからあの樫山って方からは何か言ってきてない? また呼び出されたりしていない?」
 再び京子はどきっとする。毎週のように剃毛を強要されていることは陽子には言ってないのだ。
 「もう、あそこ。剃ったりしてないわよね。」
 突然一番痛いところを突かれて、京子は明らかに動揺を隠せなかった。
 「えっ、そうなの。また剃るように言われたのね。」

自剃毛

 陽子は京子が陰部の毛を綺麗に剃り落していることを影野から聞いて知っていてわざとそれを話題にしたのだった。
 影野をそそのかして京子を陥れる企てを最初に影野に話した際に、樫山の事は名前を伏せてだが、話してあったのだ。マゾっ気のある京子を辱めて悦ばせている京子のご主人さまにあたる人物が居るのだと教えていた。(私の言うとおりにすれば、あなたもそのご主人さまと同じ思いが出来るようになるわよ)と、そうそそのかしたのだ。
 二度目に影野が京子を貶めた際に、その時も恥毛が綺麗に剃りあげられているのを見て、京子が無毛のままなのは、そのご主人さまに命じられているのかと訊ねたことで、陽子は樫山から剃毛を命じられていることを知ったのだった。
 京子は恥ずかしさに顔を伏せながら陽子に白状した。
 「返信封筒が入った郵便が届いて、あそこを剃り落してその部分の写真を送り返すように命じられているの。だから、その命令には背けないの。」
 「その封筒の宛先は?」
 「東京の大きな郵便局の私書箱だったわ。」
 (くそう・・・。証拠が残らないようにしてるのね。)
 陽子は密かに舌打ちした。郵便局に問い合わせても、依頼主の情報は決して洩らさないだろうことは容易に想像された。
 「同じ写真を送って、いつも剃ってる振りをしとけばいいじゃない。」
 「それが日付が書かれた札が同封されていて、それを一緒に写さなければならないの・・・。」
 陽子は男の用意周到さに舌を巻く。
 「こうなったら、多少の危険は冒してでもこっちから仕掛けるしかないわね。」
 「仕掛ける・・・って? 」
 京子は、多少の危険という言葉に嫌な予感を感じ始めていた。
 「つまりはこっちから相手の懐ろに入り込むって事。いいこと、作戦はね・・・。」

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