目隠しバナナ咥え

凋落美人ゴルファーへの落とし穴



 第三部



 五十五

 その画像がヨンのスマホに送られてきたのはその夜のことだった。目隠しをされた女が今にも目の前の全裸の男が屹立させている男根を咥えようとしている姿だった。その女はヨン自身のようにも見えるが目隠しで顔は半分隠されているのではっきりしない。
 (な、何なの。これっ・・・。)
 すぐにスマホの画面から眼を背けたヨンだったが、おそるおそるその画面をもう一度ようく注視してみる。すると勃起したペニスだと思ったのは半分皮を剥かれたバナナなのだった。しかも全裸の男と思ったのは生身の人間ではなく全裸姿の彫像のようだった。
 (まさか、あの時の・・・。)
 ヨンの脳裏にあの乱交パーティの中で行われた王様ゲームの罰ゲームのことが思い浮かぶ。
 (でもあの時のは、確か帽子掛けのようなものに突き刺されたバナナだった筈・・・。)
 しかしすぐにヨンはバナナ運びゲームを何とか無事終えて目隠しを取って貰った時にステージの奥にダビデ像のような全裸姿の男性の後ろ姿を見たのを思い出したのだった。
 (まさか、あの時。もしかして帽子掛けはダビデ像に摩り替えられていたのでは・・・。)
 自分がもしかすると全裸のダビデ像の股間に据えられたバナナを口で咥えて抜き取ってから別の場所に運んで刺したのではないかと思うだけで心臓が止まりそうなほどの動揺を覚える。
 (すぐにリ・ジウに電話して確かめなくては。いや、駄目だわ。そんな事、訊ける訳ないわ。どうしよう・・・。)
 僅かな救いは勃起した男根に見立てられたバナナを咥え込もうとしている女性が目隠しのせいではっきり自分とは確認出来ない筈だということだ。
 (もし、これが私だったとして、このバナナが刺さっているのがダビデ像の股間だったとして・・・。でも、そんなのこの画像を見ただけでは誰にも分からない筈。こっちから騒ぎ立てると自分なのだと宣伝し廻ることになってしまうわ。)
 そう考えて自分を落ち着かせようと考えていたヨンをそのすぐ後に送られてきた画像が絶望のどん底に突き落とすのだった。

パンチラスポットズーム

 そこには両手でグラスを持たされてミニスカートの膝の奥がおろそかになり、そこへスポットライトが当てられてミニスカートの裾の奥にパンティがばっちり映ってしまっている画像が映っていたのだ。一目見て、その画像はあのパーティの際にリ・ジウからグラスをジウの分まで持たされてミニスカの裾を手で隠すことが出来なくなった際に撮られたものに違いない気づいたからだった。顔までは写っていないものの、服装からあのパーティの時のものだとヨンは確信する。そして次に送られてきた画像で顔までは写っていないと自分を安心させようと思ったのが単なる気休めに過ぎないことを気づかされたのだった。



yon

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