
凋落美人ゴルファーへの落とし穴
第三部
四十八
慌ててスカートの中に手を突っ込んで男のものだというパンツを引き下ろして抜き取る。ヨンが差し出そうとする前に男は引っ手繰るようにパンツを奪い取る。

「どれ、沁みなんか付けてないだろうな。」
男が取り上げたパンツを広げてみようとするので、ヨンは恥ずかしさに顔を背ける。

「うっ。生温かいな。自分のだと思っても、今まで女が着けてたパンツだと思うと勃起しちまいそうだな。ほれ、どうだ。見てみろよ。」
「い、嫌っ。早く、服を着てっ。」
ヨンは男がパンツ一枚で股間を誇示しようとしているのを目を背けて男がズボンを穿くのを待っている。
「さてと。それじゃ、俺はこの辺で失礼させて貰うぜ。」
ズボンを穿き終わった男がヨンに声を掛ける。
「ま、待って・・・。そ、そのう・・・。お願いがあるの。」
「なんだよ。やっぱりもう少しパンツ貸しておいて欲しいってか。それは駄目だぜ。俺だってノーパンで帰る訳にはゆかねえからな。」
「ち、違うのよ。私、荷物は化粧ポーチしか持ってないの。帰りは送ってくれるっていうから、他の荷物はマネージャーに預けて何も持たずに来てしまったの。お財布も携帯も持ってないので、一人で帰ることが出来ないの。家まで送っていってくれないかしら。」
「何だよ。電車に乗る金すら持ってないっていうのか。ま、いいか。じゃついて来な。電車賃ぐらいだったら出してやるよ。」
「それから、上に羽織るものとサングラスか何か貸してくれないかしら。このウェアだと私だとばれてしまうわ。こんな格好で電車に乗ったりしたら会社にも迷惑が掛かってしまうの。」
「ちっ。しようがねえな。じゃ、サングラスと上着だけ貸してやるから俺について来るんだぜ。」
男はヨンにジャケットと自分が掛けていたサングラスを渡してやる。

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