babydoll

アカシア夫人



 第二部 和樹の嫉妬と貴子の迷い



 第十五章

 その日は、久々に夫の和樹が帰ってくる日だった。普段は週3日の嘱託勤務なので、家を空けるのは二晩が普通なのだが、今回は遠方への宿泊出張があるとかで、その日のうちに蓼科まで戻ってくることが難しく、もう一泊東京の社宅アパートで泊ってくると言っていたが、更に他にも用が出来たらしく、帰るのは夜遅くになるという。しかも夕飯は済ませてくるというので、その夜も貴子は一人の夕餉を済ませることになった。

 眠くはなかったが、風呂を先に済ませてしまうと、いつでも寝れる格好でベッドにゴロンと横になっていた。和樹は貴子に普段ミニスカートで居るようにと強要するだけでなく、ベッドでも股下ぎりぎりまでしかないベビードールのネグリジェを着させるのだった。
 最初は抵抗があったが、蓼科では夜に誰が来るわけでもなく、近所の目もないので、和樹の好きにさせるほうがいいと思い、素直に従っていた。

 和樹が帰ってきたのは9時過ぎだった。ベビードールで脚を出したままではさすがにはしたないと思い、上にタオル地のガウンを羽織って迎えに出る。一階に降りた時には、既に自分で鍵を開けて中に入っていて、出張用の小さめのボストンバッグをリビングのテーブルに放り投げるように置いたところだった。
 「おかえりなさい。遅くて大変だったわね。」
 「ああ、シャワーを浴びてくる。」
 和樹がネクタイを外している。脱いだ上着と受け取ったネクタイを持ってクロゼットにしまうと、貴子は先に二階の寝室に戻る。

 暫くして和樹が戻ってくるのを気配で感じる。後ろ手に何か隠し持っている様子だった。
 「おとなしくしてたかい。」
 貴子には和樹が言ってることの意味が判らなかった。起き上がって振り向こうとする前に和樹が後ろから抱きついてきた。
 「待って。駄目なの。アレが来ちゃって。ご免なさいね。」
 いつもは(そうかあ)で済む筈だった。しかし、和樹は抱えた手を離さない。
 「いいさ。口でして貰うから。」
 そう和樹は貴子の耳元で囁く。
 「えっ・・・。」
 そんな事は初めてだった。フェラチオという行為は、美容院の婦人雑誌で読んで知ってはいた。しかし夫に求められたことはないし、勿論、自分から進んでしようとしたこともない。それを、突然、初めてさせようというのだ。しかも、生理で性交出来ないから代わりにというのも貴子には衝撃的なことだった。
 「さ、手を後ろに廻して。」
 和樹は腰に手を廻してバスローブの紐を解くとすぐさま剥ぎ取る。貴子が振り向くと和樹は隠し持ってきた綿の太いロープの束を既に扱き始めていた。
 「また縛るの?」
 和樹がにやりとする。
 「娼婦じゃないんだから。自分からペニスを両手に掴んで口に咥えるつもりかい。貞淑な妻は、いやいや強要されて、咥えさせられるものさ。それには縛られてなくっちゃ。」
 そう言いながらも和樹は朱美に教えられたとおり、貴子の手首に要領よく縄を巻いてゆく。両手を背中で縛ってしまうと仰向けに押し倒すようにして、余りの縄を貴子の胸に回す。
 「ああ、そんな・・・。」
 股下ぎりぎりまでしかないベビードールのネグリジェの上から、和樹の撒きつけてくる縄が乳房の上と下を締め上げる。ネグリジェの裾がはだけて、ショーツが覗いてしまっている筈だったが、両手の自由を完全に奪われて、貴子には裾を直すことすら出来ない。その剥き出しのショーツの股座を和樹の手がつかみかかる。

JKfer

 「ふうん。確かに生理なんだな。」
 「嫌っ、やめて。恥ずかしい・・・。」
 和樹は貴子のショーツの内側のナプキンを手探りで確認すると、ベッドの上に仁王立ちになり、自分の股間の真正面に来るように貴子の上体を引き寄せる。
 和樹は着ていたバスローブの帯を取ると、羽織ったまま前を開く。既に下着は脱いでいたようで、鎌首を擡げ始めている陰茎がそこにあった。
 貴子は夢の中で暴漢から助けてくれた猟師のことを思い出していた。
 (将に正夢なのかしら・・・。)
 和樹は中途半端な勃起のまま、貴子の髪を捉えて引き寄せ、貴子の口に含ませた。
 「あうっっぷ。」
 どうしていいのか判らない貴子は、いきなり噎せそうになる。
 「しゃぶるんだよ。唇を細めて。舌も使うんだ。」
 手が使えない分、唇の端から涎が垂れそうで、貴子は気が気でない。しかし、奉仕するしかないのだと覚悟を決め、目を閉じて、夢中で和樹のペニスを吸い上げるのだった。

madam

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