アカシア夫人
第二部 和樹の嫉妬と貴子の迷い
第十六章
翌朝、貴子は目覚めたベッドの中で、昨夜初めて体験させられた和樹へのフェラチオのことを思い返していた。和樹は強引で、貴子に抗する余地を与えなかった。フェラチオそのものに興味はあったが、和樹のモノを咥えてみたいという気持ちは正直無かったのだ。しかし縛られてしまった為に、逃げようもなかった。確かに、縛られてなかったら、自分から和樹のペニスを手で握って引き寄せ、自分から唇を当てるということは出来なかったかもしれなかった。縛られて自由の効かない身にさせられたからこそ、ペニスを口に受け入れることが出来たのかもしれないと貴子は思った。
仁王立ちになった和樹の前に跪いて、さんざんしゃぶらされた後、貴子はベッドに仰向けに押し倒された。すぐさま和樹は貴子の肩の上に膝をついて、貴子の顔を跨ぐようにしてペニスを押し込んできた。和樹のペニスは怒張していたものの、貴子を最初に縛って犯した時ほどは勃起度は高くなかったように感じた。陰唇に受け入れるのと、口腔に含むのとでは違うのかもしれないが、興奮の激しさは違っていたように思われた。
和樹はフェラチオの愉悦に酔いしれているというより、ひとつひとつ新しいことを試しているのだと思われるようなところがあった。貴子のほうは息が苦しくて唯、無我夢中でしゃぶり続けていたのだった。
最後に和樹は貴子の口の中で果てた。感じ入って我慢出来ずに発射してしまったというより、それもどうしてもしてみたかったというような感じすら受けたのだった。
呑み込んでいいんだよと和樹が言ったが、どうしても嚥下することは出来ず、縛られた格好のまま、洗面所に飛び込んでいって、口の中のものを吐き出したのだった。顔でレバーを押して水を出し、口をゆすいだのだが、粘ついた感触がいつまでも拭えなかった。
後ろから和樹が近づいてきて、無言で貴子の後ろ手の縛めを緩めると、そのまま自分の部屋へ帰っていってしまったのだった。
生理ですることは出来なかったのだが、貴子のその部分は和樹に責められている間じゅう疼いていた。両手を縛られていなかったら、自分で慰めてしまっていたかもしれなかった。
縄を緩められて自分で解いた後、貴子は自分の部屋のベッドに横たわったが、なかなか寝付けなかった。夫に無理やりフェラチオさせられたことが何故か悲しくて涙が出てきてしまうのだが、それとは裏腹に身体の奥が燃えるように求めていて、つい手を下着の下に挿し入れてしまうのを抑えきれなかったのだった。
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