アカシア夫人
第二部 和樹の嫉妬と貴子の迷い
第二十七章
「おい、これはどうしたんだ。」
「えっ、どうしてそれを・・・。」
和樹が手にしていたのは、あの山の写真の額だった。しかし、額の中には山の写真ではなく、貴子が等身大に拡大して作った樫山の笑顔がこちらを向いている写真に替わっていた。その写真は気づかれないように裏返して山の写真の下に隠しておいたのだった筈だ。
「こんな物を作っていたのか。これで何をしていたんだ。言ってみろ。」
「えっ、な、何もしていないわ。」
「そんな筈は無いだろう。さ、こっちへ来い。」
額を脇へ置くと、和樹は貴子の腕を捉えて、ベッドに引き倒す。和樹の手には既に綿ロープの束が握られていた。貴子は仰向けに倒されると両手を背中で交差させられる。その手首に慣れた手付きで、縄が巻かれてゆく。
貴子がいつものように後ろ手で縛られ、胸の上下にも余った縄がきっちり巻かれてしまうと、もはや何も抗うことが出来なくなる。
和樹は一旦、貴子の身体を放すと、額を元あった壁に掲げ直す。そうしてから、縛られている貴子の背後に廻って、肩をつかんで、その写真に真向かうように貴子を向き直らせる。
「貴方、止めてください。」
「やっぱりその写真、何か後ろめたいことがあるようだな。大方、その写真を観ながらオナニーでもしてたんだろ。」
「そ、そんな・・・。」
「はっきり否定出来ないところをみると、やっぱりそうなんだな。」
「ち、違います・・・。」
直ぐ様、否定はしてみたものの、言い訳が思いつかない。
「さ、そいつの前へ行け。」
和樹は貴子の両手を縛った縄尻を捉えて、貴子をベッドから押し出すので、貴子は樫山の等身大の写真を入れた額の前に跪かされてしまう。樫山の顔が見上げる位置にある。
和樹は更に後ろ手の縄をつかんで引っ張りあげ、無理やり貴子を立たせると、壁から額を外し、床に立てかける。今度は樫山の顔が下から貴子を見上げるようになる。
和樹の手が後ろから貴子のスカートの中にいきなり忍び込んできて、お尻のところでショーツを鷲掴みにすると、一気に引き降ろした。
「あ、嫌っ・・・。」
和樹の足が貴子の両脚の間に突っ込まれ、膝下まで降ろされたショーツを床に踏みつけるようにして踝まで下ろしてしまう。
「さ、足を片方ずつ上げてパンツを脱ぐんだ。」
貴子は命じられる通りにする他なかった。
「足を開け。ちゃんと大きく開くんだ。」
貴子は命じられるまま、肩幅ぐらいまで足を開く。
「そのまま脚を閉じないようにしてしゃがみ込むんだ。」
貴子は和樹が強いろうとしている事を即座に理解した。短いスカートのまま脚を閉じずにしゃがめば、何が露わになるのか痛いほど判っていた。
「ゆ、許してっ・・・。」
しかし和樹は許さなかった。縄尻を押さえていた手を貴子の両肩へ移して力をこめ、無理やり押し下げる。貴子はそのまま膝を曲げてゆくしかなかった。
「ああ・・・、ああ・・・。」
「さあ、目を逸らさずに、そいつの顔をしっかり見るんだ。お前の恥ずかしいあそこをよく見せてやるんだ。」
「い、嫌っ。」
写真なのだと分かっていても、樫山の視線が射るように自分の股間に向けられているのを意識せずにはいられなかった。
「さ、お前のあそこがどうなっているのか、何故そうなっているのか、こいつに向かって、ちゃんと白状するんだ。」
和樹の命令は貴子には過酷なものだった。しかし従わない訳にはゆかないのだ。
「わ、わたくし・・・、わたくし、貴子のここは・・・。ここは、夫に対する貞操を証しする為に、剃り上げられているのです。毛を剃られたここは、夫以外のものにはならないという誓いなのです。」
「そうだ。貴子、やっとお前がそこのシモの毛を剃られている意味をちゃんと理解したようだな。それじゃ、これからその誓いが確かなものか調べてやる。」
そう言うと、和樹は貴子の背後から回りこんで、写真の斜め横に立つ。そしてズボンのベルトを緩め始めたのだ。
「さ、この写真をじっくり見ながら咥えるんだ。」
和樹のモノは既に大きく膨れ上がっていた。反り返って貴子の目の前にいきり立っていた。貴子は写真から顔を背けるようにして目を瞑る。
「駄目だ。ちゃんと写真を観て、目をあけるんだ。」
貴子が言われた通り、写真のほうに向き直って目を開いた瞬間、その肉棒は貴子の唇に突き立てられた。
「あぐうっ・・・。」
拒否することは出来なかった。夫のモノは嘗てないほど太く、硬くいきり立っていた。その初めて経験するような勃起度の男根を貴子は喉奥まで突き立てられたのだ。
「あふっ・・・。あぶっ。」
顎が外れそうなぐらい貴子は口を大きく開けていなければならなかった。涎が口の端から垂れそうになってくるが、手を縛られていて拭うことも叶わない。恨めしそうに和樹の顔を上目遣いに見上げるが、和樹は情け容赦なく、男根を突いてくる。
「うぐっ・・・。」
貴子の口の端から涎が流れ落ちると、眦にも涙が浮かんできてしまう。
「ようし。いいだろう。今度はこっちだ。」
和樹はそういうと、貴子の、括りあげている乳房の下の縄を掴んで、起き上がらせ、ベッドに仰向けに押し倒す。
「こっちを見ているんだ。」
そう言うと、和樹は貴子の髪を掴んで無理やりベッド脇の樫山の写真の額のほうへ貴子の顔を向かせる。貴子がそちらを観ているのを確認しながら貴子の両腿を自分の肩の上に担ぎ上げた。
「欲しいんですと言ってみろ。貴子のそこに入れてくださいと頼むんだ。」
「ああ、そんな恥ずかしいこと・・・。」
「言えないのか。」
「い、いえ。言います。ああ・・・。貴子の・・・、貴子のなかへ入れて、入れてください。ああ、ほしいです。和樹さんのXXぽっ。」
(XXぽっ、XXぽっ、XXぽ・・・。ああ・・・、そんな淫らな言葉を、貴子に言わせないでぇ・・・)
堪らずに身体を大きくのけ反らせた時、シーツが足に絡みついて、貴子はふと我に返る。
(ゆ、夢・・・。夢だったんだ・・・。)
貴子の目にぼんやりと壁に掛けた額が見える。次第に焦点が定まってきて額の中身が次第に輪郭をはっきりさせてくる。見慣れたマッターホーンの頂きの写真だった。
貴子はベッドの中でそっとショーツに手を伸ばしてみる。外側から触れるだけでその部分がしっとり湿っているのが分かる。見てみなくても、内側は沁みになってしまっているのに違いなかった。
(あの額の裏の写真は、処分してしまわなくては・・・。)
そう決意を固めた貴子だった。
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