暮れる山間

妄想小説

牝豚狩り



第一章 女捜査官の危機

  その7


 明け方、睡魔に襲われて膝を折りかけて首が絞まる苦しさにはっとして目覚めるのを何度か繰り返した頃、夜が明けて、空が白んでくるのが感じられた。再び尿意が襲ってきていた。
 (もう何度目だろうか。)
 腰の廻りの紙オムツは、小水をたっぷり含んでずっしり重くなっているような気がした。微かにアンモニア臭も感じられる。多少漏れてきているのかもしれないと思った。ぶるっと身体が奮えるとつい括約筋が弛む。一旦、滴り出すと、もう止めることは出来ない。今更、我慢してみてもどうなるものでもないと思いながら、それでも立ったままオムツに垂れ流さねばならない屈辱感には、唇を噛みしめなければならなかった。
 車の音が遠くから聞こえてきたのは、鳥が鳴き始めてからすぐだったので、相当、朝早い時刻なのだろうと冴子は朦朧とする頭の中で考えた。でこぼこの林道を土煙りを立てながら走り下りてきたのは、ジープタイプの四輪駆動車だった。降りてきたのは昨日の三人組みである。冴子から少し離れた場所に車を停め、リアゲートを開けてなにやら道具を取り出している。何かの準備をしている風だった。
 冴子が訝しげに眺めていると、中背の男と大男が二人してアウトドア用のテーブルを引き出して組み立て始めた。テーブルが組みあがるとその上に白いシーツのようなテーブルクロスが敷かれた。食事会でもするつもりなのかとも思ったが、その後テーブルの上に並べ始められた物を観て、冴子は初めて恐怖を感じた。遠めではっきりしないが、明らかに武器の類だった。少なくともライフル銃のようなものが交じっているのが見えた。
 大男と中背が武器類を並べている間に、冴子の予想通り、小男だけが冴子に近づいてきた。ポットと洗面器、タオルなどを持っている。それらを冴子の目の前の地面に置くと、冴子の開かせられた下半身に近づく。最初に冴子の股間に鼻を近づけて臭いを嗅いでいる。それだけで、惨めな辱めにあった思いがして、冴子は思わず顔を背ける。
 小男の手が外側から紙オムツを軽くいじりながら、溜まった具合を調べている。ずっしりと重くなっているが、吸いきれずに水分として溜まっているほどではないようだった。小男が冴子のスカートを捲り上げ、紙オムツの上に穿かされたパンティを再び膝のところまで下ろしてしまってから、腰骨のところのテープを剥がすと、ぷうんときつい刺激臭が自分の身体から漂ってくるのを冴子は感じた。その臭いを小男に嗅がれたことが、冴子には屈辱だった。
 小水が漏れないように注意深く紙オムツを冴子の腰から外すと、用意してきたらしいビニル袋に丁寧にしまいこむ。剥き出しにされた股間に朝の冷たい風が当たると、思わず身震いをしてしまう。紙オムツを仕舞いこむと、男はポットから熱そうな湯を洗面器に注ぎこみ、タオルを浸して暫く置いてから、手に火傷しないように気をつけながら軽くタオルを絞ってから、それを使って冴子の股間を拭い始めた。
 「どうだ、気持ちいいだろ。綺麗にしてもらう気分はどうだ。」
 意地悪そうに、小男は冴子を見上げながら作業を続ける。口惜しさに目を閉じて、ただ為されるがままにしているしかなかった。
 綺麗に拭き上げると、どこから取り出したのか、コロンの小さな小瓶を出して股間に数滴噴霧してから、パンティを引き上げ、ミニスカートの裾を下ろした。50cmほど高いところに立たされているので、ちょっと身を屈めればスカートの奥のパンティが覗いて見えてしまう高さだ。しかし、この目の前の小男にはもっと恥ずかしい姿を散々見られてしまっていて、パンティが覗いてしまうことぐらいは、もうどうでもいいことだった。
 小男は、もっと何か冴子に悪戯をしかけたい風で、惜しそうに見ていたが、それ以上は何も仕掛けてこなかった。中背の男が指摘していたように、リーダー格の男から散々注意され、怒られていたのかもしれないと冴子は推理した。
 様々なものが並べられたテーブルが二人の男によって、冴子が吊るされているすぐ前まで何時の間にか持ってこられていた。冴子はそのテーブルの上のものをひとつひとつ眺め、次第に恐怖を募らせていた。
 エアガン、スタンガン、麻縄、鞭、竹刀、投網、手錠、足枷、そんなものが幾つも並べられていた。

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