妄想小説
牝豚狩り
第一章 女捜査官の危機
その2
見知らぬサングラスの男に拉致されてから三日目に、再び冴子は手足を拘束され、目隠しをされたまま、ワゴン車の後部に寝かされて運ばれていた。
三日の間、冴子が監禁されていたのは、地下牢のような鉄格子の嵌った暗い部屋だった。牢の中には便器がひとつと洋式のバスタブがあるきりで、他には一切何もない。毛布が一枚与えられているだけで、衣服は気づいた時には全て剥ぎ取られた全裸状態だった。拉致された時に嵌められた首輪に繋がった手錠と足枷はずっと嵌められたままで、何も抵抗出来ない状態だった。
男が襲ってきたら、犯すのには何の雑作もない状況だったが、陵辱が目的ではないのか、裸にされてはいるが、犯されることはなかった。食事は陰気な感じのメイドのような若い女が運んできて、両手の自由を奪われている冴子の口に運んで食べさせられた。冴子がどんなにこの女に話しかけても一切口を利くことはない。ただ、もくもくと食事を冴子の口に運ぶだけだった。牢の外側には監視カメラがあり、見張られているので、女も冴子の相手をすることが出来なかったのだろう。女は三度の食事の他は、一日一回冴子の身体を洗いにきた。女は冴子をバスタブにいれ、全身を泡立てたシャボンで綺麗に洗い、シャワーで流し、髪の毛まで綺麗に洗った。
最初のうちは何の為にこんなことをするのか、何とか訊きだそうと試みた冴子であったが、女が全くの無反応なので、訊くことを諦めた。女が食事や入浴の為にやってくる時に逃亡を考えてみたが、拉致した男たちは用意周到に考えているらしく、隙が全く無かった。女が食事を運んできたり入浴させたりする時には、牢の扉の鍵を開けるのだが、その前に冴子の首輪に繋がっている長い鎖を檻の外の鉄枠に留めてしまうので、冴子はある距離以上移動できなくなってしまう。そうしておいてから、檻の鍵を開け、冴子に近づくのだ。冴子が女に身体で攻撃を仕掛けたとしても、それ以上どうすることも出来ないのだ。おそらく監視カメラで見張られているので、そんな攻撃をしかけてもすぐに奴等はやってくるだろうと冴子も思っていた。チャンスを待つしかないと冴子も心に決めていた。
その日は珍しく昼過ぎに女が冴子の身体を洗いにきた。特に念入りに綺麗にされ、顔には化粧まで施された。そして入念に身体を拭った後に目隠しをされ、拉致された時と同じ手口でクロロフォルムを嗅がされたのだ。冴子にはそれを避ける手立てがなかった。何が起ころうとしているのか朦朧としていく意識の中で考えながら、やがて寝入ってしまったのだ。
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