騙された新人女優とマネージャー
第一部
八
「んーん・・・。え? ここ、何処だっけ?」
目が覚めた時、一瞬由里は自分が何処にいるのか分からなかった。しかし眠り込んでしまう前に自分が、いや自分達がしていたことを思い出して慌てる。そこはベッドの上だった。胸元までシーツが掛けられているが裸の肩は剥き出しだった。シーツの中で由里は自分の身体をまさぐってみる。ボタンは幾つか外れているがブラウスは身に着けている。そのまま下半身の方まで手を伸ばすと下腹部の肌に直接手が触れる。おそるおそる更に下のほうに手を伸ばす。
(やはり・・・。)
下着は着けていなかった。
自分のショーツを探そうと思って、まずシーツを引き上げて裸の肩を隠そうとしてふっと縛られていたことを思い出す。手首をみると、薄っすらと何かが巻かれていた痕が残っているものの自分の手首の自由を奪っていた筈のものは見当たらなかった。しかし手首の痣のような薄い痕は間違いなく少し前まで縛られていたことを示していた。
裸の肩が露出しないようにシーツを首元近くまで引き上げてからまわりを見回す。しかし自分のショーツらしきものは見当たらなかった。
(もしかして・・・。)
シーツの中で手と脚を伸ばして探ると布切れのようなものが足の指に触れた。シーツの中に潜って手を伸ばすと思っていた通りにそれは自分のショーツだった。
その時、急に扉が開く音がして剛が部屋に入ってきた。
「あ、起きたのかい?」
「わ、わたし・・・。気を喪ってたの?」
「気を喪うっていうか・・・。」
剛は(絶頂で昇り詰めてた)って言い掛けたが言葉を呑み込んだ。
「あ、大丈夫だから。中出しはしてないから。ちゃん抜いてから出したから。もしその事が心配なんだったら・・・。それと、そろそろ準備して帰らないと、遅くなっちゃうと思ってさ。」
剛はバスルームにでも行っていたかのように、バスタオルを肩から掛けてぼさぼさの髪を拭っている。
「あ、ええ。すぐ身支度しますからちょっと待ってて貰えますか?」
「ん、わかった。」
そう言って剛が部屋を出るのを見守ってから、手に握っていたショーツに急いで足を通すのだった。
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