騙された新人女優とマネージャー
第一部
四
「え? す、凄いっ。素敵なお屋敷・・・。」
塀の外側からは全く見えなかったのだが、緑深い庭木の奥に別荘らしい二階建ての屋敷が見てとれるのだった。
「監督の知り合いのこの別荘のオーナーって、かなりのお金持ちらしいよ。今の映画のスポンサーの一人でもあるんだって。」
「へえーっ。え、こんな素敵なところに誰も棲んでいないのかしら?」
「ああ、別荘だって話だからね。でも近くに管理人さんが住んでいて、毎日掃除とか手入れとかは欠かさないらしい。あ、入口はこっちのほうみたいだ。」
由里を案内する剛は目敏く屋敷への入口を見つけたらしく、借りてきたらしい別荘の鍵をポケとから取り出しながら玄関へと近づいていく。由里はおそるおそるその後についていくのだった。
「うわっ。内部もとっても素敵っ。こんな素敵なところを演技練習に使わせて貰うなんて、なんか悪いみたい。」
「気にすることはないってさ。監督って、結構な人脈持ってるから。協力者もいっぱい居るんだって。この別荘のオーナーも使ってない家なんで映画で活用出来るんだったら嬉しいんだってさ。あ、そうだ。今度のシーンの雰囲気に近いのが二階の突き当りの部屋だって言ってたからそっちへ行ってみようよ」
由里は先に行く剛について二階への階段を昇っていく。
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