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若妻のたしなみ



 十八

 その日、遅くに帰ってくると夫の和樹からの電話があった。男にあそこの毛を剃られてしまってからまだ三日しか経っていない。当然、元通りには生え変わってはいない。触るとちょっとチクチクする程度だ。もう正直に告白して、離婚されるならされるしかないと覚悟を決めていた。

 「あなた、お帰りなさい。」
 「ああ・・・。」
 夫はいつも通り無口だ。鞄と背広を受け取って夫の部屋へ持って行く。洩らしてしまったベッドはマットレスに沁みは残っているものの新しくシーツを取り替え、一見して何の形跡も残っていないようにはしてある。
 夫のほうは何も言わないうちに風呂へ入っていた。
 夫の鞄から洗濯物を取り出して洗濯機の傍の洗濯かごへ出しておく。
 (早いうちに話してしまったほうがいいかもしれない。)
 しかし、理恵はまだ逡巡していた。夫とのセックスは擦違いが多くうまく行かないでいるものの、夫自身には未練があった。このままもし別れてしまうことになるとしたら、何ともやり切れないものが理恵にはあった。
 理恵は先に和樹の寝室に入って、夫のベッドに腰掛け和樹が風呂から出てくるのを待った。
 (何と切り出そうかしら・・・。)
 理恵の頭の中はまだ整理がついていない。

 「なんだ、そこに居たのか。」
 突然、音もなく扉が開いて和樹がはいってくる。
 「あの、あなた・・・。」
 「どうした?」
 「・・・。あの、わたしを縛ってほしいの。」
 「え・・・?」
 「縛って・・・、して欲しいの。」
 理恵自身、どうしてそんな言葉が突然自分の口から飛び出したのかよく分かっていない。しかし和樹は敏感に反応したみたいだった。生唾を呑み込む音を確かに理恵も耳にした。
 「縛って・・・、いいのかい?」
 理恵は黙って首を縦に振る。
 「そうだ。いいものがあるんだ。縄の使い方はよく分からないけど、こういうのがあるんだ。」
 和樹は部屋の隅にある前回出張に使ったほうの鞄に手を伸ばす。理恵はその中に入っているものを既に知っていたが、顔には出さないようにする。
 「両手を背中に回してっ。」
 和樹の声は既に興奮しているようで、若干擦れている。
 「ああ・・・、あなたっ・・・。」
 理恵も思わず喘ぐような声になっている。
 ガチャリという音で理恵は自分の手首に冷たい金属の輪が嵌るのを感じる。恥ずかしさに顔を俯けるのを和樹の手が顎に掛かって上向かせる。
 そのままベッドの上に押し倒される。理恵は両手を背中で繋がれているので何も出来ない。無防備な理恵の身体を和樹の手がまさぐっていく。その手が下半身にまで伸びてスカートを捲り上げていく。
 「ああ・・・。」
 最早理恵の喉からは喘ぎ声しか出ない。
 和樹の手がショーツを探りあてる。腰骨のところでショーツの端を掴むとゆっくりと押し下げてゆく。夫の指が陰唇に伸びてくる。
 ぴちゃっ。
 「あっ。」
 理恵の割れ目から卑猥な音が洩れたのと、和樹の驚いた声がしたのは同時だった。
 「あ、あなたの為に剃ったの。あなたにもっと感じてほしくて・・・。」
 再び和樹は生唾を呑み込む。妻の顔をじっと見たまま、ズボンのベルトに手を伸ばして外し、トランクスを逸る気持ちを押さえながら脱ぎ取ると、既に屹立したものが理恵の腿を突いているのを感じた。
 「ああ、あなたっ・・・。凄いわ。」
 「理恵っ・・・。く、咥えてくれっ。」
 そういうや、理恵のスカートを大きく捲り上げて無毛の股間にしゃぶりつく。理恵のほうも顔面に突き立てられた屹立したモノを口に含む。和樹の舌が陰唇の割れ目に滑り込んでくると理恵の方もペニスに絡める舌に力がこもる。
 「凄いよ、理恵っ。」
 じゅるっと大きく陰唇の潤みを吸い取ると、和樹は身体を起して理恵の肩を掴んで俯かせる。手錠を掛けられた両手が露わになる。和樹は裸の尻を掴むと後ろから怒張したペニスを挿入する。
 「ああ、あなたっ。凄いわ・・・。」
 初めて感じるGスポットへの激しい突きに理恵の頭はくらくらしてきていた。
 「ああ、来てえっ・・・。」
 「ああ、いいよ。いいよっ・・・。」

若妻

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