若妻のたしなみ
十五
「さ、これで満足でしょ。」
「随分、はしたない真似が平気で出来るんだな。恥ずかしくないのかい。」
男はわざと詰っているのだと理恵は分かっていたが余計に辱められている気分だった。
「貴方がさせた事でしょ。もう今更恥ずかしがっても仕方ないもの。」
開き直って理恵はそう口にした。
「じゃあ、鍵を開けてやるか。旦那が帰って来ないと判っちゃったからにはゆっくりさせて貰うぜ。」
(勝手にするがいいわ。)
男が自分の家の鍵を開けるのを後ろで待ちながら、そう思うしかない理恵だった。
家の中に入ると、理恵は急いでキッチンテーブルの上の手錠の鍵に手を伸ばす。しかし不自由な手錠が掛かったままの後ろ手でそれを掴む前に男にさっと拾い上げられてしまう。
「そいつを外す前にはしておかなくちゃならないことがあるんでね。」
そう言いながら男は尻のポケットからスマホを取り出していた。
「お前を自由にするには人質が必要なんでね。」
そう言いながらキッチンの見回している。
「やっぱりここがいいだろう。この上に乗るんだ。」
そう言って鍵を取り上げたばかりのキッチンテーブルの上を指さす。両手が自由でない理恵が上りやすいようにテーブル用の椅子を手前に引く。理恵には男の意図が薄々分かっていた。
「わかったわ。乗ればいいのね。」
「そうだ。そしたらこっちを向いてしゃがんで脚を開くんだ。」
理恵は男がスマホのカメラを構えて待っている前でミニスカートのまましゃがんで脚を開く。男は念入りに毛を失って割目を露わにしている理恵の陰唇を何枚もスマホのカメラに収めていた。
「さあ、いいだろう。お前の旦那のメアドはもうさっきチェックさせて貰っているからいつでも写メは送れるんだからな。ネットにリベンジポルノでばら撒くことだって出来るんだからな。」
「分かっているわ。貴方の言う通りにすればいいんでしょ。」
「なかなか物分りはいいようだな。じゃあ、手錠は自分で外すんだな。」
そう言うと男はキッチンの隅に椅子を置いてどっかりと座りこむ。理恵が苦労しながら背中の手錠を外すのを楽しそうに眺めているのだった。
やっとの事で、後ろ手の手錠が外れると今度は首輪の錠前を外す。こちらの鍵の場所は理恵が自分で掛けただけあって、ちゃんと憶えていた。それまでは鍵の場所は分かっているが、両手が自由でなかったので外す事が出来ないでいたのだ。
両手の自由が取り戻せたところで、男は理恵にスカートを取るように命じてきた。それは無毛の股間を晒せという事だった。もう今更男に反抗してみても無意味なのだと悟っていた理恵は素直に命令に応じてスカートを取ってショーツも穿かせて貰えていない股間を男に晒す。下半身真っ裸の状態で、理恵は坦々と仕事をこなす。トイレの便器から金魚を適当なガラスのコップに掬い取り、二階の寝室にまだ残っていた金魚鉢の小水をやっとトイレに流すことが出来た。玄関前に放置されたままになっているアロエの鉢の受け皿に出したままになっている方の小水も何とかしたかったが、さすがに下半身素っ裸を命じられている格好では玄関の外に出て行く勇気が出せなかった。そして二階の夫の寝室へ行ってお洩らしをしてしまった夫のベッドのシーツを取外し、マットレスは洗う訳にもゆかないので窓を開けて風を通して干すだけにする。自分の寝室から出られるベランダに干してあったお気に入りのシルクのワンピースは胸元に見事に黄色の沁みが 滲み付いてすっかり乾いてしまっていた。最早クリーニングに出すことすら恥ずかしく、捨てるしかないと思ったが、外に晒したままにするのも嫌だったのでクローゼットの奥にしまい込む。夫の荷物の中から勝手に出して使ってしまった手錠や首輪、鍵などは元通り夫の荷物の奥にしまい込む。金魚たちを再び金魚鉢に戻して自分の部屋の元あった場所に戻してから理恵は男の居るキッチンへ下半身裸のまま戻ったのだった。
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