01サチ

妄想小説

キャバ嬢 サチ



 一

 松浪研二はさっきから自分の居るキャバクラのボックス席の真向かいにいる客とキャバ嬢の様子が気になってちらちらと盗み見ばかりしていた。

02お触りキャバ嬢

 「ねえ、あっちばっかり見てないで、もう一杯いかが。」
 松浪の隣で化粧ばかりが濃いユミというキャバ嬢がしきりに酒を薦めてくる。ユミが着ている衣装は、身体の線をくっきり見せてしまうような、薄手のロングドレスなのだが、小太りの図体は身体の線を見せること自体が見苦しい。一方で、真向かいの奥のボックス席に居るキャバ嬢は、ぴっちりしたミニドレスで、太腿を大胆に露わにしている。所謂、バドガールという衣装だ。そのキャバ嬢が太った太鼓腹の客の太腿の内側に手を入れている。キャバ嬢は膝頭をその客のほうへ向けているので、松浪のほうからは尻のぎりぎりまで露わになった太腿の横側しか見えないが、その客のほうからは、スカートの奥のデルタゾーンがすっかり丸見えになっている筈だ。
 松浪が気になっているのは、そのキャバ嬢のサービス精神旺盛な痴態だけではなかった。美人とは言い難いが、憎めない垂れ目風の眼差しは、何処かで見た記憶があったからだ。

03松浪垂涎

 先ほど試しに腿の上に手を載せてみて、ぴしゃりと叩かれ「お触りバーじゃないんだから、ここではそういうことは駄目よ。」ときっぱり窘められた隣の不細工なキャバ嬢ユミのほうを振り返りながら、松浪は思い切って尋ねてみた。
 「なあ、あそこの席にいるキャバ嬢は、何ていうんだ。」
 ユミは上目遣いに研二のほうをみやると、不愉快そうに言う。
 「まったく、男ってすぐ嫌らしいことをしたがるのね。あいつはサチっていうの。ああいう不細工系は、身体を投げ出してでもサービスをして客を取ろうとするの。うちの店では女の子が身体を客に触れさせるのは禁止ってことになっているけど、店長の目を盗んじゃああいうことをして、客の気を惹いてるの。それしか能がないブスって訳。」
 ユミは汚いものでも吐き捨てるようにサチというキャバ嬢のことをそう切り捨てた。しかし、ユミがそう言うほど、自分自身だって器量のあるほうとは言えない。(お前ももっと捨て身で客に当たるしかないんじゃないのか。)そう言いたい気持ちを松浪は喉元でぐっと呑み込んだ。
 「こんど、俺もサチってのを指名してみようかな。」
 ユミにもその気にさせるように、わざと聞こえる囁き声で、ユミにとも独り言とも取れるような言い方をしてみた松浪だった。しかし、ユミのほうは、身体を売ってまで客の指名を取りたい気は更々ないらしく、不機嫌そうにそっぽをむいて、テーブルのおつまみのポッキーをつまんだだけだった。




 「おっ邪魔しますう~。サチでえすう。」
 その声に研二が横を向くと、まず膝上30cmはゆうにありそうな超ミニのワンピースから伸びる太腿が目についた。身体つきは華奢で小柄なほうだ。金髪に染めた髪の下に覗く顔は、めりはりはあまりない。ただ、美人顔ではないが妙な愛嬌のある顔だちだ。薄っぺらな胸でセクシーなボティとは言い難いのに妙にコケティッシュな雰囲気を持っている。研二は前から「生まれながらの娼婦」というDNAを持った女は居ると思っていたが、サチはまさにその部類だった。
 「おう、ここに座わんなよ。」
 すかさず研二は隣のすぐ傍の席を叩いてみせる。
 スカートの裾の前を両手で隠しながら、松浪のすぐ横に滑り込んだサチだったが、研二の顔を見ると、凍りついたような表情になる。そのサチの変化を見逃さなかった松浪は思わずにやりとほくそえむ。
 「あ、あのう・・・。貴方はもしかしてえ・・・。」
 「サチっていうのか、君は。いいからまず一杯作ってくれよ。」
 素知らぬ顔で惚けながら、研二は傍らにやってきたキャバ嬢、サチに水割りを作るように促す。眉を潜めて客の顔色を覗いながら、幸江は松浪が入れているボトルに手を伸ばす。膝元から手を離さなければならないので、すかさずポシェットからハンカチを取り出すと、さりげなくずり上がってしまっているミニスカートの裾の上に置き、デルタゾーンが覗いてしまうのを隠す幸江だった。それを研二の視線は逃さずに見て取る。松浪のグラスにウィスキーを注ぎこみ、タンブラーで軽く混ぜてから、恭しく両手で松浪のほうへ差し出そうとする幸江に、研二は乾杯するから自分の分も作るようにと幸江に命じる。
 松浪のグラスを一旦置いてから、そそくさと自分の分のグラスに氷とウィスキー、そして薄めるミネラルウォーターを注いでからあらためて、松浪にグラスを差し出す。研二がグラスを受け取って、幸江も自分のグラスを掲げる。
 (かんぱーい)と声を挙げようとしたその瞬間だった。
 「あ、ちょっと。これ持っててくれる。」と松浪が自分のグラスを幸江のほうへ差し出してきたのだった。仕方なく片手で受け取り、両手に二つのグラスを手にした幸江だった。
 「ごめん、ちょっと水こぼしちゃった。ハンカチ、借りるよ。」
 そう言うや否や、幸江の膝元からハンカチを奪い取る研二だった。慌てて、両腿をすぼめる幸江だったが、極端に短いスカートが座ってずり上がっている上、低いソファのうえで膝を少し高く立てるようにして座っていた幸江だったので、デルタゾーンは隠しようもない。両手は二つのグラスで塞がっているので、手で隠すことすら出来ないのだった。
 研二は涼しい顔で露わになった眺めを楽しみながら、濡れてもいない自分のズボンの上を拭いている。拭き終わると、幸江のほうへ返すでもなく、却って幸江の手が届かないほうへハンカチを押しやってしまう。
 「あ、あの・・・。」
 何と言っていいのか判らない幸江だった。さすがにパンティを丸見えにさせられて、その部分を眺められているのは恥ずかしかった。
 「俺さあ、グラスは自分で飲むより飲ませて貰うのが好きなんだ。俺の口にグラスを寄せてくれよ。」
 図々しくそういうと、唇を突き出し、その分前傾になった姿勢を幸江の剥き出しの腿の上に両手を置いて支える松浪だった。松浪に両腿をしっかり抑えこまれてしまうと、最早逃れようがなくなってしまった。幸江は仕方なく、軽く二つのグラスを重ねると片方を目の前の研二の唇へ持ってゆく。
 「ああ、うまいっ。女の子に飲まして貰う酒ってのは、いつも美味いねえ。ほら、君も飲めよ。」
 幸江は仕方なく、松浪の分のグラスを掲げたまま、自分のグラスを口に運ぶ。一口だけくちに含むとすかさず自分のグラスをテーブルへ戻す。そのまま手を膝に戻して裾の上に置こうとするのを松浪の両手が手首を捉える。
 「ほら、もっと飲ませておくれよ。サッちゃん。」
 馴れ馴れしげに幸江の自由になりかけた手を捩じ上げるように引き寄せる研二だった。仕方なく、ミニスカートからパンツを丸見えにさせたままの格好で、グラスをおそるおそる松浪の口元に寄せる。グラスを斜めに傾けようとしたところで、一滴が松浪の口元から幸江の露わな太腿の上にぴちゃっと垂れた。
 「おっと・・・、こぼしちゃった。拭いたげるよ。」
 そう研二は言うと、片手で幸江の捕らえた手をしっかり握って離さないようにしながら、もう片方の手をさっき脇にどけた幸江のハンカチのほうへ手を伸ばす。そしてそのハンカチをいきなり、ぴっちり閉じていた幸江の両腿の間に割り込ませてきたのだった。
 「ああ、いやっ。」
 思わず小さな声を挙げてしまった幸江だったが、騒いでまわりに感づかれる訳にもいかなかった。研二のハンカチを持った手は、濡れたところとは関係なしに、ぐいぐいと脚の付根のほうへもぐりこんできていた。幸江はもうされるがままになるしかないと観念し始めていた。
 松浪はハンカチで幸江の内腿を拭う振りをしながらも、柔らかい肌の感触を指先で楽しむように、腿の裏側をまさぐっていた。
 「駄目よ、お客さん。ここでは女の子の身体に触れるのはご法度。」
 幸江はわざと陽気に振舞う振りをしながら、片目を閉じてウィンクして優しく松浪を窘める。
 「嘘言うなよ。この前、この向かいで見てたんだぜ。サッチーが客の手を股の間に挟みこんでんのを。」
 研二もすかさず耳元に逆襲する。幸江が困ったような顔をするのを見て、研二はさらににやりと嫌らしそうな目つきで幸江に迫る。
 松浪は一旦幸江の股ぐらから手を引っ込めると、ソファにのけぞるように深く座り直す。
 「俺はさあ、立木電機って会社で、法務室長をしててさあ・・・。」
 (立木電機・・・。やっぱり同じ会社の人間だった。)
 幸江は、最初に見た時に何処かで遭ったことがあると直感したのが間違いでなかったことを確認した。
 「うちの会社みたいにでかい会社だと、いろんな奴がいてさ。会社じゃ禁じられてるバイトなんかやってる奴もいるんだ。君みたいなホステス嬢とかさ。就業時間外に。」
 ごくんと幸江は唾を飲み込み、神妙な面持ちで松浪の次の言葉を待った。
 「そういうのをチクる奴もいてさ。法務室って立場だと、そういうのも取り締まらなくっちゃならない訳だ、俺としては。何せ、会社就業規則違反だからさ。」
 突然、松浪は幸江の顎に下から手を当てた。
 「でもさあ、いつでもそんな堅苦しく処罰をする訳でもないんだ。人はそれぞれに事情ってもんがあるからさ。な、そうだろ・・・。」
 そういいながら、小動物でもいたぶるように、幸江の顎を撫で回す研二だった。幸江は両手を拳に握って、腿の上に置いてじっとされるがままに堪えていた。
 (俺の言うことを聞いてりゃ、見逃してやらんでもないんだぞ)そう言っている目つきだった。

04お触り

 幸江は唇を噛んで、少し俯くと、腿の上に当てた拳を左右にゆっくり開く。幸江の腿の付根が露わになり、白い三角の布切れがはっきり覗くようになる。幸江は腰を動かしてソファに浅く座り直して膝頭をまっすぐ松浪のほうへ向けることで、他のボックス席のほうからは、下着が覗かれないように脚の位置を変える。しかし、松浪に向けては下着が覗くのを隠す訳にはゆかないのだった。幸江は両手を更に後ろに回して、無抵抗の意思を表し、爪先立ちになって更に膝頭の位置を高くする。そうすることでデルタゾーンが更に露わになるのを幸江自身もよく知っていた。服従の格好を取りながら目を伏せた幸江にも、自分の股間を覗き込んでいる目の前の松浪が、唾を呑み込むのを敏感に感じとる。
 「お前はいい娘だなあ。これからも指名して可愛がってやるよ。な、いいだろ。」
 更に幸江の喉下を撫で回しながら、研二はそう囁いた。
 「よろしくお願いしますぅ。」
 そう言ってキスでも求めるかのように目を瞑ったまま、唇を突き出す幸江。それに呼応するように、松浪は顎に当てていた手を上に挙げて、幸江の唇の中に人差し指を捻じ込む。幸江は目を閉じたまま、無理やり捻じ込まれた松浪の指に舌を絡ませて、嫌らしくしゃぶりあげるのだった。
 たっぷり幸江の唾液で湿らされた指を研二はゆっくり引き抜くと、目の前に露わになっているミニスカートからはみ出た幸江の太腿の上に置く。ぴっちりと閉じられた両腿の合わせ目にそって濡れた研二の指がゆっくりとその付根へ向かって這うようににじり寄る。なめくじが這うような悪寒の走る感触に、幸江は唇を噛みしめて堪える。幸江の閉じた腿の合わせ目を昇っていった指の先はやがて頼りなげな布切れに覆われた恥丘の上へ到達する。
 「あうっ・・・。」
 幸江は思わず、小さな喘ぎ声を洩らしてしまった。
 幸江の敏感な反応に気をよくした松浪は指の先をくの字に曲げて、関節の甲でクロッチの下の割れ目を、頭に思い描きながら、ゆっくりとその部分を撫で回す。
 (ううっ・・・。)
 堪らなくなって、幸江は背中の方に回していた手を口に当て、喘ぎ声を洩らすのを必死でこらえる。
 研二は微かに感じられる湿り気に、押し当てていた指先をそっと放すと、鼻先に持っていって、妖しい女のフェロモンの香りを確かめる。指を外された幸江の小さな逆三角形の布切れがその頂点部分に楕円形の染みを作っているのを研二は見逃さなかった。
 「なかなか感度がいいな、お前は。はっはっはぁ。・・・。さ、もう一杯、作って俺に飲ませてくれや。サッチーっ。」
 上機嫌で、にやけてみせる研二だった。松浪の要求に漸くじっと堪えているのから解放された幸江は、下着を露わにしてしまっている両腿の膝の上をさりげなく手で隠しながら、さっとソファから滑り降りると、松浪の前のテーブルに膝をついて傅き、新たに水割りを作り始める。下着の裏側が潤んで、染みを作るまでに濡らしてしまったのを幸江も気づいていた。これまでにも客に触られて、下着を汚してしまったことは何度かあった。もともと幸江は感じると濡れやすいほうだと自分でも思っていた。それでも、松浪ほど大胆でしつこい客はそれほどは多くない。しつこい客はさり気なく交わし、遠慮がちにどぎまぎしながら触ってくる初心な客には大胆に幸江のほうから仕掛けていたのだった。しかし今回は松浪というこの男の言うなりに今はなっておくしかないのだと幸江は敏感に悟っていたのだった。
 「はあい、水割りっいっちょう。」
 幸江はわざとおどけて明るく振舞い、フロアに膝を突いたまま、傍らの松浪にグラスを掲げて差し出す。しかし、松浪はそのグラスを受け取ろうとはしない。
 「グラスを持って、こっちへ来いよ。」
 松浪が指し示したのは、松浪の膝の上だった。幸江は一瞬躊躇う。が、所詮言うことを聞くしかないのだと思うと、曇りそうになる顔をさっと明るく表情を繕って松浪に微笑みかける。
 「失礼しまあすぅ。」
 そう言うと、グラスを片手に掲げ、松浪の首をもう片方の手で抱きかかえるようにして、松浪の膝の上にお尻を乗せる。スカートの裾は無防備なので、再び腿の付根に下着が覗いてしまう。クロッチに付いてしまった染みを隠すことも叶わなかった。
 「はあい。まずは一口、お飲みになってぇ。」
 甘ったるい声を出して、松浪の口許へグラスを運ぶ幸江だった。松浪のほうは、膝に乗せた幸江の腰に手を回して抱え込む。松浪は幸江にグラスを持たせているので、両手が自由に使える。一方の幸江のほうは、松浪の首筋へ手を掛けていないと滑り落ちてしまいそうで、もう片方の手は松浪のグラスを掲げていなければならないので、両手が塞がってしまっている。松浪はもう一方の自由なほうの手を幸江のお尻のほうへ回してきた。自分の股間のほうへ一旦手をいれて、指を立てるようにして尻のほうから幸江のミニスカートの裾へ手を伸ばす。裾を探り当てると、器用に手繰るようにスカートを捲り上げ、とうとうスカートの中のショーツにまで指先を届かせてしまう。

05指侵入

 「あ、いやん・・・。ね、そっちじゃなくて、お酒のほう。お飲みになって・・・。うっ・・・、あ、駄目。」
 幸江は周りの誰かに見咎められないかと気が気でない。が、松浪のほうは、他の客席からは陰になっているほうから幸江の尻のほうへ手を伸ばしているので、気づかれまいと思って容赦なく、幸江の陰部へ手を伸ばしてくる。松浪はストッキング越しに幸江のショーツを探り当てると、指の爪を立てた。
 ビリッ・・・。
 幸江の股間の裏側で、ストッキングが悲鳴を挙げた。こじ開けられたストッキングの破れ目へすぐに松浪の指が侵入してきた。
 (あ、いやっ・・・。)
 幸江は松浪がしようとしていることに気づいて、慌てて声を挙げてしまいそうになり、その言葉をぎりぎり喉元で呑み込んだ。
 (だ、駄目っ・・・。)
 しかし、その言葉は発することは出来なかった。ストッキングの破れ目へ侵入してきた松浪の指は人差し指、中指、薬指の三本に増えてきていた。人差し指と薬指がショーツのクロッチ部分を捉え横に引き剥がす。開いてしまった陰唇の襞めがけて、突き立てられた中指がこじ入って来たのだった。
 ぐにゅっ・・・。ぴちゃ、ぴちゃっ・・・・。
 幸江にはそんな音が聞こえた気がした。身体の内部に突き当てられた感触で、既にあの部分が相当潤ってしまっているのがはっきり判った。これ以上いじられたら、松浪の指を伝って汁が流れ出てしまうかもしれなかった。
 幸江はすぐ眼の下の松浪を哀れみを請うような目で見下ろした。が、松浪の目は血走るかのようにぎらついている。
 「お、お願い・・・。せめて、気づかれないようにして・・・。」
 そう小声でいうのが幸江には精一杯だった。

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